ストロベリーファンド ~はずれスキルの空間魔法で建国!? それ、なんて無理ゲー?~

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触らぬ女神にトラブルなし……ってありえないね???

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 「つまり、暗殺を含めた殆どがミランダ領から出ている依頼って事か?」
 「えぇ、その通りです。しっかりとウラも取ってありますから間違いないですわ。」
 エッヘンと、ない胸を逸らすシェラ。
 俺の考えが顔に出ていたのか、シェラに睨みつけられる。

 「流石シェラね、おいで、いい子いい子してあげる。」
 エルの言葉に、即座に擦りよっていくシェラ。
 そんなシェラの頭を撫でてあげるエル……ま、いっか。
 俺は二人の様子をあえて無視して、今後の事に思考を張り巡らす。
 ミランダ領の領主は野心家だけど小心者だと言う噂だ。
 正面切って戦う気が無いからこのような搦手できたのだろうが……。
 
 「俺の周りに手を出したことを後悔させてやるよ。」
 そろそろジャスワートの奴から詳細が伝わってると思うしな、その上でちょっかいをかけてくるというなら、相手をしてやるさ。
 俺は桃色空間を作り始めたこの部屋の主従を置いて、ミランダ領の領主を嵌める為の準備をする為に執務室に向かうのだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「あ、シンジ様、帝都についてなのですが……。」
 執務室に入るとアイリスが声をかけてくる。
 ウン、アイリスだけは変わらないな。
 俺はおもむろにアイリスに近寄ると、ギュっと抱きしめる。
 「えっ、あっ、どうしたんですか?いきなり……。」
 頬を赤らめながらも、抵抗せずに身を委ねてくるアイリス。
 変わった所と言えばよりしっかり者になったというくらいか……。
 「アイリスだけはそのままでいてくれよ。」
 思わずそう呟いてしまった。
 「ホントに、一体どうしちゃったんですか?もぅ……。私は私ですよ、いつまでもシンジ様が大好きなアイリスですよ。」
 そう言いながら目を閉じて唇を軽く突き出してくる……俺はそっと顔を近づけた……。

 「……コホンッ。」
 どれ位そうしていただろうか、突然の咳払いに俺達は慌てて距離を置く。
 「仲がいいのは結構ですが……時と場所を弁えてもらえませんか?」
 咳払いの主はリオナだった……書類を抱えて、少し怖い目をしている。
 「あれ?リオナだけ?」
 「……えぇ、どこかのご主人様がいきなりイチャイチャし始めましたので、皆様居た堪れなくなって出ていかれましたわ。」
 「あ、あはは……。」
 アイリスが、頬を染めたまま乾いた声を上げる。
 俺は気恥ずかしくなったが、何事もなかったかのように執務を始めることにした。

 「それで何があったんですの?」
 執務に一段落着いたところを見計らって、アイリスが声をかけてくる。
 「何がって?」
 「先程、……その……いきなり……。」
 アイリスがまた頬を染めて俯く……こういう所が可愛いんだよなぁ。
 「あ、あぁ、さっきまでシェラの報告をエルと受けていたんだけどなぁ……。」
 俺は遠い目をしながら、誰に話すともなしに語り始める。
 「出会った頃のエルとシェラはなぁ、なんていうか、もっと毅然としていてな。まぁ、シェラは少しポンコツな所もあるにはあったけど……。」
 「そうなんですか?」
 「あぁ、そうなんだよ。だけど久し振りにあったシェラは益々ポンコツ具合に磨きがかかっていて……エルが絡まない限り優秀って言うのが、よけいに頭痛のタネになっているよ。」
 「私はエル様と一緒にいるシェラさんを見た事が無いので……。」
 ちょっと困ったような表情を見せるアイリス。
 「見ないほうがいいよ。」
 と言うより、全裸で拘束されてお仕置きをされている姿なんてこの子には見せられない。

 「エルもなぁ、最近リディアに触発されてか、暴走気味になる事があるだろ?それがシェラが来てから、おかしな方向にタガが外れるようになったというか……。」
 「エル様もリディアさんも、暴走する一端はシンジ様にあるのですけどね?」
 アイリスがボソッと呟く。

 俺達の執務の手が止まり話し込んでいると、横からそっとお茶が差し出される。
 「あ、ありがとう。」
 リオナだった。
 「ご休憩されるのでしたら、あちらに移動されてはいかがですか?」
 そう言ってテラスの方を指し示す。
 「……そうだな、リオナとレムも一緒にお茶をしてくれるなら、そうしようか。」
 すぐに執務再開と言う気分にはなれなかったので、リオナの提案を受け入れ、俺とアイリスはテラスの方へと移動する。

 リオナが新しくお茶を入れ直している間にレムがニナと共にやってくる。
 ニナはリオナとレムにお茶を注ぎ、一緒に運んできたお茶請けのデザートを並べると部屋を出ていく。
 お客様がいるときは傍で控えているが、今の様にプライベートな時間だと察すると、さりげなく部屋を出ていくあたり、教育が行き届いているのがよく分かる。

 「ニナも成長したなぁ。」
 俺がそう呟くと、三人から睨まれる。
 「シンジ様?ニナにまで手を出すおつもりですか?」
 「おにぃちゃん、ニナはダメだよ!」
 リオナとレムが更に釘を刺してくる。
 「そういう意味じゃなくてっ!」
 俺は慌てて否定する……これ以上ヘンな噂が広がってたまるかっ。

 「ほら、ニナだけじゃなくてここで働いている殆どの子達が貴族の館で働く経験なんてなかっただろ?それが今じゃ立派なメイドとしてどこに出してもおかしくないからな…成長したってそういう意味だよ。」
 「……そう言う事にしておきますね。」
 リオナはまだ疑っているらしい。
 「全部アセリア様のおかげだよ。あの人がいなかったら、私達だけじゃどうしていいか分からなかったから。」
 レムがそう教えてくれる。
 アセリアと言うのはミーアラントが出来た時にクリスから紹介されたメイドの一人だ。
 側使えとしての経験が長い為、アセリアにはメイド長として皆の教育を一任していたのだが、俺の予想以上に優秀で、何の経験もない子達を、短期間で優秀なメイドに育て上げてしまった。
 本人に言わせると、まだまだという事で、今も常に教育を進めているらしい。

 「えぇ、私もアセリア様に色々教えてもらって助かっています。今こうしてシンジ様のお手伝いができるのもアセリア様のおかげです。」
 リオナもそう言ってアセリアを持ち上げる。
 リオナの執務遂行能力の基礎知識はアセリアに教えてもらったものらしく、同時に護身術も教えてもらっているらしい。
 レムも側使えとしての基礎だけでなく、護身術に情報収集・解析などについて習っているという。
 なんでもアセリアの持論に『メイドたる者、常に主君の手足となり、足りないところを補い、時には盾となり、矛となるべし』と言うのがあるらしい。
 ……要は何でもできるのがメイドだとのこと……どこの完璧超人だよ。
 
 「アセリア様から合格を貰えるとこれを頂けるのです。」
 そう言ってリオナが懐から一振りのナイフを取り出して見せてくれる。
 ……それには十分すぎるくらいの見覚えがあった。
 以前アセリアに頼まれて俺が制作したものだ。
 護身用の武器が欲しいと依頼してきたのだ。
 普段何も欲しがらないアセリアからの珍しいおねだりと言うことで気合いを入れて作ってみた。

 切れ味は当然として、なるべく軽く手軽に扱えて、そして幾つかの魔法をエンチャントしてある……護身用なので身を守る事と、相手を無力化することを第一に考えて設計した結果だ。

 まずは『麻痺パラライズ』……相手を一瞬で無力化するには麻痺が一番だからな。
 それから、持っているだけで治癒効果と状態異常回復の効果がある『快癒リフレッシュ』。
 目晦ましにも合図にも使える『閃光フラッシュ
 念のための遠距離攻撃手段として『火の玉ファイアーボール』と『風刃エアスラッシュ
 防御用としての『水の壁アクアウォール』と『落とし穴ピットフォール
 そして何より、持っている者を常時簡易防護結界で守る仕様になっているというスグレモノだ。 
 魔力は本人だけでなく柄に仕込んだ魔晶石からも取り出せるので、魔力量が少ない人でもそれなりには使えるという親切設計だ。
 更に、普段は大気中のマナを取り込み、魔晶石に蓄積する様になっているので、そう簡単には魔力切れを起こさない様になっている。

 これを見せた時、アセリアさんが声を失うくらい感激したのを覚えている……まぁその後で「自爆用の魔法」も追加してほしいと言われたときは少し引いたが……。
 数が欲しいと言うので数十本作成した覚えがあるが、まさかメイドの子達に配っているとは思いもよらなかった。
 「これ、シンジ様が作ってくださったのですよね?アセリア様から授けられた時『私がドン引く位のご主人様の愛が詰まっている代物ですから大事にしなさい。』と言われたのです。」
 そう言ってナイフを大事そうにしまうリオナ。
 それを羨ましそうに見ているレム。
 なんでもレムはまだ最終的な合格がもらえていないそうで、今は頑張っているとのことだった。
 しかし、あの時のアセリアの様子は感動していたのじゃなくてドン引きしていたのか……。
 初めて知る事実に打ちのめされる俺の肩を、アイリスが優しくポンポンと叩く。
 「シンジ様の愛は私達がよく分かっていますから……今更ですよ?」
 そう言いながら指輪に視線を向け、ネックレスを軽く触るアイリス。
 ……まぁ、この子達に送った指輪等のチャームも似たようなものだしな。

 そんな俺達を微笑ましそうに眺めるリオナとレム……昼下がりに執務室でよくみられる光景だった。

 ◇

 「ところでシンジ様、このシンジ様から出された帝城建設についての案なんですが……。」
 執務を再開したところでアイリスが訊ねてくる。
 「ん?無理そうか?」 
 帝城を作るのには複数の人間で行う『城塞創造クリエイトキャッスル』と言う集団魔法を使用するらしい。
 複数人とはいっても、クリエイトの魔法が使えるのは一人いれば十分らしく、他の人員は要は魔力供給の為に必要なんだそうだ。
 そしてその規模が大きくなればなるほど沢山の魔力が必要となり、それだけ人が必要となるのだが……。

 「いえ、無理ではありませんが……本当に大丈夫なんでしょうか?」 
 「使用する魔法の事を考えると、関わる人間は少ない方がいい……違うか?」
 「いえ、その通りなんですが……でもシンジ様お一人でと言うのは無茶が過ぎます。」
 クリエイト系の魔法はイメージが一番重要な意味を持つ。
 なので複数人で行う場合、共通のイメージを持つため詳細な設計が必要となるが、複数の人間が全く同じ共通イメージを持つと言うのは中々難しい。
 なのでこういう場合は専門のチームが請け負う事になる。
 彼等は、寝食を共にし常日頃から同じ考えが出来るようにしているため、集団合成魔法においてブレが少ないのだ。
 それでも、帝城の建設となると、彼等だけでは魔力が足りないため、人員の補充が必要になり、イメージの調整に時間が掛かることになる。

 しかし、そもそも一人でならイメージの共有は必要なく、問題は魔力量だけと言うのであれば、俺一人でやるのが早くね?と思いアイリスに相談したのだが……。

 「俺の内包魔力量は桁外れだし、補助用のアイテムもこうして作成してある。」
 俺はそう言って一対のグローブをアイリスに見せる。
 見た目はごく普通のタクティカルグローブだが、打突部分と手の甲に『魔晶結石マジカルクリスタル』を埋め込んである。
 この大きさのモノだと満タンまで魔力を貯めるのに数日かかるが、その分蓄えることの出来る魔力量は半端ない。

 本来の用途で使用しても十分な威力を発揮するが、俺はこれを魔力タンクとして使用することを考えている。
 同じ物を予備として後5個作ってあるので、いくら帝城とはいえ魔力は十分足りるだろう。

 「今回必要な魔力量はこちらです。……可能であるならば『皇帝が一人で自ら創造した』と言うことで他国に対する牽制にもなりますが……。」
 人一倍気苦労の耐えない年下の女の子は、人一倍心配性だったらしい。
 「俺の力は知ってるだろ?安心して任せておけよ。」
 俺は安心させるようにアイリスの頭を撫でる。

 「知っているから心配なのですわ。私たちの部屋や城のあちこちに、余計なギミックを仕掛けそうで……。」
 「心配ってそっち!?」
 「当たり前ですわ、他に何を心配しろと?……謁見の間の入り口のドアを開けると上から物が落ちてきたりとか……やめてくださいね?」
 ……そんな風に見られていたのか。
 やらないと言い切れない所がまた……アイリスの言葉に地味にショックを受けるのだった。

 「それで大丈夫なのですか?」
 再度問いかけてくるアイリスから視線を逸らす。
 何と言われようが絡繰り屋敷は漢のロマンなんだよ。
 造るチャンスがあるのに見過ごすなんて事は女神が許しても俺が許さない!

 「はぁ・・・・・・程々にお願いしますね。」
 しばらくしてアイリスが諦めた様に言いながら引き下がる。
 アイリスには申し訳ないが、男には引き下がれない時があるのだよ。

 「それで、完成予定はいつぐらいになりそうでしょうか?」
 アイリスが予定を確認してくる。
 「そうだな、魔力を貯めるのに1週間は欲しいのと、ちょっとミランダ領の相手をしたいから、1ヶ月後位を目処でどうかな?」
 「・・・・・・少し慌ただしくなりそうですね。」
 魔術師の手配、準備、移動で約1ヶ月、魔術を行使するための準備期間が1ヶ月、魔力を行使して完成までに約1ヶ月で計3ヶ月を予定としていたらしいので、それが2ヶ月も前倒しになると色々不都合が出てくるのだろう。

 「何ならもう少し後でも構わないぞ?」
 『城塞創造クリエイトキャッスル』について俺なりに調べて検証した結果、俺一人で行使した場合、かなりの安全マージンをとったとしても3日もあれば終了する事がわかった。
 想定外の事が起きたとしても、1週間掛かることはない。
 アイリスに告げた1ヶ月後と言うのは、単にミランダ領にかける時間だけのことなので、完成予定日を後に回しても、ミランダ領にかける時間に余裕ができるだけで何の問題もない。

 「いえ、シンジ様のお陰で大幅なコストダウンが出来ますので、その分を回せば・・・・・・でもそうですね、余裕を見て1ヶ月半後でいいですか?」
 そう言ってくるアイリスに了承の意を出し、今後の予定を立てていく。
 アイリスには全体の指揮を執ってもらい、リディアとエレナにはサウシュの街周りの警護と整備をしてもらおう。
 リオナとレムを中心に、この王宮内の準備を進めてもらい、クリスには無理しない程度にクラリス領をまとめてもらう。
 帝城が出来る頃にはクリスも回復するだろうし、クラリス領も落ち着くだろうしな。
 そうしたら、マリアちゃんとナターシャさんと共にクリスには帝城に来てもらえばいい。
 
 「じゃぁ、ミランダ領へはエル様と?」
 「あぁ、ちょっと色々やるのでエルとシェラを連れて行くよ。」
 「分かりましたわ、お気をつけて。」
 その後も、色々と細かいことを決めてから、俺は執務室を後にしてエルの部屋へと向かう事にする。

 
 (……いーい?あなたのご主人様は私とシンジなのよ。それだけは絶対忘れちゃだめだからね。……返事は?)
 (はひぃぃぃ……。)
 (ウン、シェラはいい子ねぇ……そう言う素直でいい子なら、何時も可愛がってあげるわよ。)
 (姫サマぁ、姫サマぁ……もうダメですぅ……。)
 (まだまだよ……あなたの立場を言ってごらんなさい。)
 (私は、私は、姫様のぉ……。)

 ……ウン、明日にしよう。
 よく分からないが、今部屋に入るのは色々ヤバいと感じた俺は、説明と出発を翌日に回すことにした。
 触らぬ神に祟りなしってね……って、ここだと女神様か……まぁ、どっちでもいいか。
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