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閑話 僕の天使(ダニエル)
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僕はダニエル。
この家、ヘルツォーク公爵家の子供になって半年が過ぎた。
僕は今まで色んな家で、使用人以下の扱いを受けてきた。
そんな生活の中、僕を人間扱いする人はいなかった。
初めは皆笑顔で受け入れてくれていた。
(この人は大丈夫かもしれない。)
期待する度に、僕は絶望を味わっていく。
あの家も、この家も、皆。
ああ、まただ。
(ぼくがなにをしたの…?)
いつからだろう。
何も感じなくなったのは…。
笑い方も…涙の流し方もおもいだせない…。
(もう、ぼくをかあさんたちにあわせて…。かあさんたちのところへいかせて…。)
色んな家を次々と変わる中、最後に孤児院に連れて行かれそうになった時、ヘルツォーク公爵が僕を引き取りたい。と、申し出たらしい。
僕に選択肢は無い。
(…どうせまた、おなじだ。)
僕の手を取ると、ヘルツォーク公爵は優しく微笑んでくれる。
「私の家族にならないかい?」
その優しさはいつまで続くの?
どうせ今だけだー。
そう思うと、気持ちが幾分かマシだった。
連れて来られた家はお城みたいに大きかった。
今まで行った家で一番大きいかもしれない。
「改めて、ダニエル。ヘルツォーク家へようこそ。」
「歓迎するわ。それから、ここにいる子達が…。」
「ルーチェよ。よろしくね、ダニエル。」
「ルークスだよ。よろしく、ダニエル。」
皆、笑顔で僕に話かけてくれた。
でも、最初だけだ…。
そう思うと、どうしても笑うことも出来なかった。
僕の目の前に影が出来て、少し顔を上げると天使がいた。
その天使は、両手で優しく僕の手を包み込んで微笑んだ。
「だにえりゅ!わたしはせーりゃよ。よろしくね!!」
そう微笑んだ天使は、僕に《もう大丈夫だよ。》そう言ったような気がしたんだ。
あれから、セーラはいつも一緒にいてくれた。
僕が泣かないように、寂しくないように。
手を伸ばせばいつでも天使はそこに居てくれる。
可愛いセーラ。 優しいセーラ。
僕はセーラが大好きになった。
ルークス兄様とルーチェ姉様も優しくて好きだけど、セーラに対する気持ちとは何処か違う気がする。
なんだろう…。
そして、ルークス兄様はセーラに近づき過ぎだとよく注意する。
けれど、ルークス兄様はセーラをずっと抱きしめている。
ずるい…。
(ずるい…?なにが…?)
訳が分からない。
でもセーラが『ダニー』って呼ぶと、 胸の中が暖かくなる。
(ずっとセーラのそばにいたいな。)
僕の天使。
ずっと側にいてねーー。
この家、ヘルツォーク公爵家の子供になって半年が過ぎた。
僕は今まで色んな家で、使用人以下の扱いを受けてきた。
そんな生活の中、僕を人間扱いする人はいなかった。
初めは皆笑顔で受け入れてくれていた。
(この人は大丈夫かもしれない。)
期待する度に、僕は絶望を味わっていく。
あの家も、この家も、皆。
ああ、まただ。
(ぼくがなにをしたの…?)
いつからだろう。
何も感じなくなったのは…。
笑い方も…涙の流し方もおもいだせない…。
(もう、ぼくをかあさんたちにあわせて…。かあさんたちのところへいかせて…。)
色んな家を次々と変わる中、最後に孤児院に連れて行かれそうになった時、ヘルツォーク公爵が僕を引き取りたい。と、申し出たらしい。
僕に選択肢は無い。
(…どうせまた、おなじだ。)
僕の手を取ると、ヘルツォーク公爵は優しく微笑んでくれる。
「私の家族にならないかい?」
その優しさはいつまで続くの?
どうせ今だけだー。
そう思うと、気持ちが幾分かマシだった。
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皆、笑顔で僕に話かけてくれた。
でも、最初だけだ…。
そう思うと、どうしても笑うことも出来なかった。
僕の目の前に影が出来て、少し顔を上げると天使がいた。
その天使は、両手で優しく僕の手を包み込んで微笑んだ。
「だにえりゅ!わたしはせーりゃよ。よろしくね!!」
そう微笑んだ天使は、僕に《もう大丈夫だよ。》そう言ったような気がしたんだ。
あれから、セーラはいつも一緒にいてくれた。
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可愛いセーラ。 優しいセーラ。
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なんだろう…。
そして、ルークス兄様はセーラに近づき過ぎだとよく注意する。
けれど、ルークス兄様はセーラをずっと抱きしめている。
ずるい…。
(ずるい…?なにが…?)
訳が分からない。
でもセーラが『ダニー』って呼ぶと、 胸の中が暖かくなる。
(ずっとセーラのそばにいたいな。)
僕の天使。
ずっと側にいてねーー。
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