上 下
7 / 8

第7話*

しおりを挟む
「あ……馬鹿っ、そんな……舐め……っ」
「しーちゃんのこれ、トロトロしてて凄く甘くて美味しいよ。蜂蜜かかってるみたい」

 春のねっとりした熱い舌が、俺のものを包み込む。
 もうすでに二度射精しているのに、あっという間に昂りを取り戻しているそれを、春はしつこく攻め続けた。
 すっぽりと奥まで咥えられたかと思ったら、先端を割って舌先が押し入ってくる。
 チロチロと動かされる度に、腰全体に甘い疼きが広がる。ビリビリとした快感を逃すように尻を浮かして逃げる仕草をするも、両手でがっちりと固定されてしまった。

「ん……っ、ぁ……」
「しーちゃん、先っぽが本当に弱いんだね。今日はずっと弄ってあげる。しーちゃんがもう、無理って言うまで」

 とっくのとうに限界なんて超えている。
 なるべく顔を見られないように、右手の甲で口元を隠した。下から聞こえてくる卑猥な音にも敏感に反応する。眉が八の字になり、顔全体がクシャクシャになってしまう。
 
「しーちゃん、顔見せて」
「だめ、やだ……」
「隠してないで、今の気持ち、ちゃんと聞かせて」

 春は意地悪く、口元を覆っていた手を剥がしてしまう。片方の手も捕えられて、顔を隠すものが何もない。
 春は視線だけで愛撫しているみたいに、俺に熱っぽい眼差しを送り続けた。
 お互いの顔も、体も、沸騰し続けている。

 いつもはふにゃっと笑ってるくせに、セックスの最中は俺よりもずっと余裕な顔して大人びている、俺の恋人。
 本当に好きだ。春という存在が。
 その気持ちはいつも胸の中で留めておくだけなのだけど、これからはちゃんと、伝えていこう。
 そしてちゃんと、春の心も幸せ太りさせてあげなくちゃ。

「春……っ、気持ち、い……っ」
「しーちゃん」
「俺……いつも、気持ち良すぎて、どうにかなりそうで……春のこと、ほんとうに……」
「何?」
「愛してる、から」

 春の顔が忙しなく降りてきて、唇を塞がれた。
 舌を搦めとられて、じゅっと激しく吸われる。
 そうされてる最中に、春の右手が尻の方に伸びてきて、唾液や他の液体で滑りを帯びているそこに指を入れられた。
 一気に二本を入れられて、内側に折り曲げられた瞬間に背中を大きく仰け反らせた。

「あぁ……っ!」
「しーちゃん」

 中のコリコリしたところを指先でこすられる度に、鈴口から透明の汁がぷくっとにじみ出て、竿を伝ってシーツを濡らした。

「んっ、や、春……っ、んぅ……」
「さっきは、言わなくてもいいって言ったけど……やっぱりたくさん言って。俺、ほんとに嬉しくて……幸せな気持ちになる」

 春はもう一本指を増やして、前後にゆっくり動かした。片方の手は、熟れたいちごみたいになっている乳首を弄っている。これもさっき、散々引っ掻き回された結果だ。
 しばらくしたら指が抜かれ、春のものがそこにあてがわれた。
 息を吐いて、受け入れる準備をする。
 いつもは少しずつ入ってくるのに、今日はいきなりドン!と思い切り押し入って来たので、目を見開いた。

「あっ……」
「しーちゃん。しーちゃん」

 腰を引かれ、ギリギリ抜けるか抜けないかの瀬戸際のところで留まり、再度腰をガツンと落とされる。何度もやられていると目の前に星が飛び、先端から蜜がとめどなく溢れ出た。

「んっ、あっ、あぁ、春……っ」
「大好きだよ、しーちゃん」
「……俺も」

 顎を持ち上げると、春はすぐさま濃厚な接吻を俺にくれた。
 春の心を満たすように何度も「気持ちいい」や「大好きだ」と口にしていると、不思議と自分の心も満たされていく感覚だった。
 そうか。春を幸せにしたいと願うのは、自分も幸せにしたいと願うのと一緒なのか。
  
 新たな発見に気付いた夜、カーテンの隙間から月の光が俺たちを照らしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

涙は流さないで

水場奨
BL
仕事をしようとドアを開けたら、婚約者が俺の天敵とイタしておるのですが……! もう俺のことは要らないんだよな?と思っていたのに、なんで追いかけてくるんですか!

腐れ縁LOVERS

Q.➽
BL
綺麗で浮気性な僕の恋人。 でもそんな彼の度重なる浮気なんかより、僕には最近頭を悩ませている事がある。 ◇出原 祥(いずはら さち)24歳 会社員 ※自分にも他人にも興味薄。2次元の住人は大好き。 ◆七居 陽呂 (なない ひろ)24歳 美容師 ※自分と出原が大好き。綺麗なものは取り敢えず好き。出原とは腐れ縁の恋人関係。 ★伊藤 琉太 (いとう りゅうた)20歳、男前大学生 ※七居の浮気相手になってた最中に帰ってきた出原に一目惚れ。 七居はまあまあ好きだが出原はもっと好き。何とか出原を奪いたい。 9/22、出原父視点の前後編追加しました。本作品はこれにて完結です。 ありがとうございました。

【完結】夫と親友に裏切られた先に待つものは

華抹茶
BL
子供の時に両親が死に、その後孤児院で育ったクルト。大人になったクルトは孤児院時代からの友人である、パン屋の息子のフリッツと結婚した。 平民だが宰相補佐官付きの官吏として働くクルトは、私生活も仕事も充実していて幸せを満喫していた。 だが地方へと出張で出かけ、家に帰ると夫と親友が同じベッドにいて――。 ⚫︎全10話です。 ⚫︎浮気・寝取られの話です。地雷の方はお気をつけ下さい。 ⚫︎エロの所は※印付けてます。

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。 その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。 その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。 早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。 乃木(18)普通の高校三年生。 波田野(17)早坂の友人。 蓑島(17)早坂の友人。 石井(18)乃木の友人。

年上が敷かれるタイプの短編集

あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。 予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です! 全話独立したお話です! 【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】 ------------------ 新しい短編集を出しました。 詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。

オーバーキラー

鳫葉あん
BL
ケツイキにハマった男が本物を求めてしまう話。 ※♡喘ぎ・ネット用語などあります ※他のサイトにも投稿してます

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

大好きな先輩に言いなり催眠♡

すももゆず
BL
R18短編です。ご注意ください。 後輩が先輩に催眠をかけて、言うこと聞かせていろいろえちなことをする話。最終的にハッピーエンドです。 基本♡喘ぎ、たまに濁点喘ぎ。 ※pixivでも公開中。

処理中です...