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第422話
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左右から勢いよく出てくるお湯に刺激されて、足や腰がマッサージされているみたいに心地よくなってくる。
景に後ろからぎゅっと抱き締められると安心して、またトロンと目が垂れた。
「あぁ、ええなぁ。こうやってブクブク出てくんの、家にも欲しい」
「修介ってお風呂好きだよね? 家でもちゃんと湯船に浸かってるんでしょう?」
「好き好き。一時間は入ってられるなぁ」
「なら今度、温泉とか行ってみたいね。二人で貸し切っちゃったりして」
「あっ、それええな! 美味しいものもたくさん食べて!」
「夏は浴衣着て打上花火見て、夜の海を散歩して」
「うんうん!」
「秋は紅葉見に行って、冬は雪山で一緒に滑ったり」
「行きたい行きたい! 普通のデートみたいでええやん!」
「まぁ、全部就職が決まったらの話だけどね」
「……」
一気に現実に戻され、顔を半分湯船に沈めて口でブクブクとさせる。
せっかくいい気分だったのに。
とたんに黙った俺の頬に、景はキスをしてくる。
「大丈夫、ちゃんと決まるよ。ごめんね、せっかく楽しい事考えてたのに」
泡がつく手で頭を撫でられ、顎を持ち上げられた。
いつもとは違う感触に余計に肌が栗立って、唇を少し横に引いていると、景の鼻先で俺の目の下を掠められて、静かに唇を塞がれた。
何度もしているのに、いつもはじめての感覚。
気泡が噴射する音が響く中、濡れた舌や唇で口腔をなぞられて。
あっという間に体に火がついた。
エロい事はしないって言ってたのに。
じんじんする股間を誤魔化すように足を擦り合わせながら、なけなしの力で景の胸を押した。
「ここじゃ、逆上せる……」
「じゃあ、続きはベッドでする?」
うん、と頷いてしばらく浸かった後に湯船から上がり、体を拭いて置いてあった白いバスローブに着替えた。
どうせ脱ぐんだから着なくていいのに、という景の言葉は無視して腰で紐をきゅっと縛り、ベッドに座った俺たちはまたお互いの頭をタオルで拭きあった。
その最中、景の首筋に視線を滑らせる。
雫が滴る柔らかい髪の先にある、男らしい喉仏と鎖骨。
目の前の鏡で自分を見ても、景みたいに首は太くないし、胸も厚くない。
神様はこの人に一物どころか十物くらい与えたんじゃないだろうか。
鏡を見ていた俺に気付いた景は、なんだか含みのある笑いをした。
「鏡、気になるの?」
「え、あぁ、なんでこんなとこに付いとるんやろうなぁ。場所おかしない?」
「……それ、本気で言ってる?」
「え? うん」
何でそんな責めるように言われるのかさっぱり分からずにいると、景はますます笑顔になって俺の耳元で呟いた。
「後でちゃんと教えてあげる」
「へっ」
「今日はせっかくホテルに来たんだから、楽しんで行こうね」
景はそう言いながら、自分の腰に巻いたバスローブの紐をするりと解いた。
景に後ろからぎゅっと抱き締められると安心して、またトロンと目が垂れた。
「あぁ、ええなぁ。こうやってブクブク出てくんの、家にも欲しい」
「修介ってお風呂好きだよね? 家でもちゃんと湯船に浸かってるんでしょう?」
「好き好き。一時間は入ってられるなぁ」
「なら今度、温泉とか行ってみたいね。二人で貸し切っちゃったりして」
「あっ、それええな! 美味しいものもたくさん食べて!」
「夏は浴衣着て打上花火見て、夜の海を散歩して」
「うんうん!」
「秋は紅葉見に行って、冬は雪山で一緒に滑ったり」
「行きたい行きたい! 普通のデートみたいでええやん!」
「まぁ、全部就職が決まったらの話だけどね」
「……」
一気に現実に戻され、顔を半分湯船に沈めて口でブクブクとさせる。
せっかくいい気分だったのに。
とたんに黙った俺の頬に、景はキスをしてくる。
「大丈夫、ちゃんと決まるよ。ごめんね、せっかく楽しい事考えてたのに」
泡がつく手で頭を撫でられ、顎を持ち上げられた。
いつもとは違う感触に余計に肌が栗立って、唇を少し横に引いていると、景の鼻先で俺の目の下を掠められて、静かに唇を塞がれた。
何度もしているのに、いつもはじめての感覚。
気泡が噴射する音が響く中、濡れた舌や唇で口腔をなぞられて。
あっという間に体に火がついた。
エロい事はしないって言ってたのに。
じんじんする股間を誤魔化すように足を擦り合わせながら、なけなしの力で景の胸を押した。
「ここじゃ、逆上せる……」
「じゃあ、続きはベッドでする?」
うん、と頷いてしばらく浸かった後に湯船から上がり、体を拭いて置いてあった白いバスローブに着替えた。
どうせ脱ぐんだから着なくていいのに、という景の言葉は無視して腰で紐をきゅっと縛り、ベッドに座った俺たちはまたお互いの頭をタオルで拭きあった。
その最中、景の首筋に視線を滑らせる。
雫が滴る柔らかい髪の先にある、男らしい喉仏と鎖骨。
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神様はこの人に一物どころか十物くらい与えたんじゃないだろうか。
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「鏡、気になるの?」
「え、あぁ、なんでこんなとこに付いとるんやろうなぁ。場所おかしない?」
「……それ、本気で言ってる?」
「え? うん」
何でそんな責めるように言われるのかさっぱり分からずにいると、景はますます笑顔になって俺の耳元で呟いた。
「後でちゃんと教えてあげる」
「へっ」
「今日はせっかくホテルに来たんだから、楽しんで行こうね」
景はそう言いながら、自分の腰に巻いたバスローブの紐をするりと解いた。
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