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第396話 (本編最終話♪)
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……ボクノジッカ?
そんな名前のお店あったっけ、なんて馬鹿な事を一瞬考えた後、そうじゃない、とまたさっきみたいに顔を熱くさせながら何度か瞬きを繰り返した。
「えっ、けっ、景の、実家?」
「今日、付き合ってる人を連れて行くからって言ってある」
「……はぁ?!」
「本当は早く会わせたかったんだけどね。こっちも向こうも、なかなか都合が合わなくて」
「いやいや、景、何でそんなん急に言うんや! 心の準備ってもんがあるやろ!」
「準備なんていらないよ。あ、和菓子くらいは買っていってあげようか。後でお店寄っていくね」
「そうやなくて! 俺を紹介するん? 付き合ってるんやって?」
「だって、一緒に住むんでしょう?」
景は口の端を上げてニコリと微笑んだ後、俺の髪の毛を指先で摘んで離した。
「今度、修介の実家にも行こうね」
この人はいつもそうだ。自分勝手で、自己中で、自由奔放で。
俺は呆気に取られて、もう出てくる言葉はこれしかなかった。
「景ってホンマ、アホやな……」
「でも、そんな僕が好きなくせに」
景は余裕の表情でそう言いながら、今度は俺の手を握った。
指を絡ませながら、俺の薬指にあるいばらの形の指輪を親指でなぞった。
「なんで右手にしてるの? 左手にしなよ」
「……はいはい」
照れ隠しの為に、わざと冷たい態度を取りながら、おずおずと左手の薬指へと嵌め変えた。
そこで丁度信号が青に変わる。
満足気な顔をして運転をする景の綺麗な横顔を見た途端、色々な感情が沸いてきて、フッと笑みが零れた。
きっとこの先も、景とはこんな感じなんだろうな。
喧嘩して、仲直りして、で、また喧嘩して、仲直りして。
お互い嫉妬もするし。
でも、きっと、景となら大丈夫。
乗り越えられる。
普段はネガティブ思考な俺だけど、それだけは自信を持って言える。
それに、俺たちの恋はまだ始まったばっかりだ。
俺は景の方へ身体を寄せて、耳元で「めっちゃ好きやで」と呟いてから、その頬に柔らかくキスをした。
*fin*
→→→景の実家へGO✩.*˚
そんな名前のお店あったっけ、なんて馬鹿な事を一瞬考えた後、そうじゃない、とまたさっきみたいに顔を熱くさせながら何度か瞬きを繰り返した。
「えっ、けっ、景の、実家?」
「今日、付き合ってる人を連れて行くからって言ってある」
「……はぁ?!」
「本当は早く会わせたかったんだけどね。こっちも向こうも、なかなか都合が合わなくて」
「いやいや、景、何でそんなん急に言うんや! 心の準備ってもんがあるやろ!」
「準備なんていらないよ。あ、和菓子くらいは買っていってあげようか。後でお店寄っていくね」
「そうやなくて! 俺を紹介するん? 付き合ってるんやって?」
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俺は呆気に取られて、もう出てくる言葉はこれしかなかった。
「景ってホンマ、アホやな……」
「でも、そんな僕が好きなくせに」
景は余裕の表情でそう言いながら、今度は俺の手を握った。
指を絡ませながら、俺の薬指にあるいばらの形の指輪を親指でなぞった。
「なんで右手にしてるの? 左手にしなよ」
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喧嘩して、仲直りして、で、また喧嘩して、仲直りして。
お互い嫉妬もするし。
でも、きっと、景となら大丈夫。
乗り越えられる。
普段はネガティブ思考な俺だけど、それだけは自信を持って言える。
それに、俺たちの恋はまだ始まったばっかりだ。
俺は景の方へ身体を寄せて、耳元で「めっちゃ好きやで」と呟いてから、その頬に柔らかくキスをした。
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