リプレイ!

こすもす

文字の大きさ
上 下
394 / 454

第393話

しおりを挟む

 * * *

「だから大丈夫だって言ったじゃん。意外と他人の事なんて、そこまで見てないんだって」

 景は食後の紅茶を飲みながら、俺に笑いかけた。
 最近、俺の家の近くのショッピングモールの中に、新しくパンケーキ屋さんがオープンした。テレビでも取り上げられるくらいの人気のお店らしく、ずっと気になっていた。
 景と食べてみたいなぁ、と電話で何気なく言ったら、「じゃあ、行こうよ」とあっさり返事をしてもらえて、今日、念願叶ってここに来ることが出来た。

 ランチの時間はそこそこ混みあっているから、景だってバレたら大変な事になるんじゃないかと思って冷や冷やしていたけど、周りの人は気づいていないのか、それとも遠慮して話しかけてこないだけなのか、今のところ普通にデートできている。

 バレずにデートできているのは、景のオーラの消し方が上手なんだと思うけど、この人のおかげでもあるんじゃないかと思い、俺は隣に座る人に視線を移した。

「いやー、お前がまさかこんな田舎出身で、こんな平日の真っ昼間にいるとは誰も思わねーだろ。しかもこんなショッピングモールの、飲食店街に」

 俺の隣に座る翔平は、ケラケラ笑いながらアイスコーヒーをずずっとストローで吸った。
 朝、偶然にも翔平から俺に電話が掛かってきた。
 話があるから会えないか? と言われて、今日は景とデートだから会えないと言ったのにも関わらず、なぜか翔平は俺の家に押し掛けに来てしまったのだ。

「翔平。それ飲み終わったら、さっさと帰ってよね」

 景は翔平に冷たい視線を送る。
 景はお昼前、俺のアパートに迎えに来てくれた。

 部屋で待っていたのは俺だけじゃなかったって認識した時から少々機嫌が悪い。
 車の中でも「せっかくのデートなのに」とブツブツ言いながら煙草を吸っていた。
 俺はホットコーヒーを飲みながら、景にぶつくさ言われて唇を尖らせている翔平に尋ねてみた。

「そういえば翔平、電話で言っとった話ってなんなん?」
「あぁ、それね。俺、就職決まったー」
「えぇ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...