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第382話
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「ええでっ? 逃げへんよ!」
しばらく景との睨み合いが続いて、蛇に睨まれた蛙ってこんな感じなのかな? とバカみたいな事を思っていると、景はふっと一息吐いてから手を伸ばしてテーブルの上のスマホを取りあげる。
片手で器用に美しく操作する仕草を、俺は下から見上げていた。
今、詩音くんの連絡先を探してるんだろうな……と思っていたのに、景は突然、予想外の人の名を口にした。
「じゃあ、タケに電話しよーっと」
えっ! なんで? 詩音くんに電話するんじゃないの?!
詩音くんに電話して、「俺の家にいましたよ」で何事もなく一件落着かと思ってたのに。
景はスマホを耳に当てながら、俺と視線を合わせた。
「修介誘ったのはあいつだからね……」
うぅ、やばい。その顔カッコいい。
あ、そんな事考えてる場合じゃなかった。
『はーい、もしもし~?』
「もしもし~? じゃないよ。どういうつもり? 修介の事、勝手にさらっておいて」
『あーごめん、酔っててよく覚えてなくてー。修介ともう会えた?』
「うん、いるよ。目の前に」
俺と視線を合わせて話す景がいつになく笑顔で、それが返って不安を煽る。
タケさんの声はなんとなく聞こえるけど、断片的にしか聞き取れなくて、何を話しているのかはちゃんとは分からない。
景は身体を少し起こして俺の下半身に体重をかけて座ってくる。
そうされてしまうと、身動きが全く取れなかった。
「詩音の家にいたんだよね? みんなで」
『うん、いたよー。着いたらすぐ寝ちゃったんだけどさぁ』
「何か変わった事はなかった? 修介の様子が少しおかしいんだけど」
景は笑いながら俺の唇を親指でなぞったから、ビクッと身体を反応させてしまう。
電話の最中にこんな事をされて恥ずかしくて、ぐっと唇に力を入れて視線を反らした。
『えー何で? 別に無かったけど』
「本当に? 僕の事とか何か話してなかった?」
『景ちゃんの事? 別に何も。慌てて帰ってったからなぁ。俺達が景に殺されるから早く行けって桜理が言ったからー』
「俺達って?」
景は唇を撫でる指の動きを止めた。
えっ、俺達って、何?
『あ、俺と桜理の事ね。俺は勝手に修介の事連れて来ちゃったから殺されるぞって言われたけど、あいつは何しちゃったのかねー……あっ、これ言わない方が良かったのかなー、あはは』
景はタケさんが話してる最中にも関わらず、間髪いれずすぐさま電話を切った。
何が起こったのか分からなくて、ただその光景をキョトンとしながら眺めていた。
景はスマホを乱暴にソファーの上へ投げつけると、俺の顔の横に両手をつき、自らの顔をさらに近づけて見下してくる。
「桜理が何か関係ある?」
「えっ!?」
しばらく景との睨み合いが続いて、蛇に睨まれた蛙ってこんな感じなのかな? とバカみたいな事を思っていると、景はふっと一息吐いてから手を伸ばしてテーブルの上のスマホを取りあげる。
片手で器用に美しく操作する仕草を、俺は下から見上げていた。
今、詩音くんの連絡先を探してるんだろうな……と思っていたのに、景は突然、予想外の人の名を口にした。
「じゃあ、タケに電話しよーっと」
えっ! なんで? 詩音くんに電話するんじゃないの?!
詩音くんに電話して、「俺の家にいましたよ」で何事もなく一件落着かと思ってたのに。
景はスマホを耳に当てながら、俺と視線を合わせた。
「修介誘ったのはあいつだからね……」
うぅ、やばい。その顔カッコいい。
あ、そんな事考えてる場合じゃなかった。
『はーい、もしもし~?』
「もしもし~? じゃないよ。どういうつもり? 修介の事、勝手にさらっておいて」
『あーごめん、酔っててよく覚えてなくてー。修介ともう会えた?』
「うん、いるよ。目の前に」
俺と視線を合わせて話す景がいつになく笑顔で、それが返って不安を煽る。
タケさんの声はなんとなく聞こえるけど、断片的にしか聞き取れなくて、何を話しているのかはちゃんとは分からない。
景は身体を少し起こして俺の下半身に体重をかけて座ってくる。
そうされてしまうと、身動きが全く取れなかった。
「詩音の家にいたんだよね? みんなで」
『うん、いたよー。着いたらすぐ寝ちゃったんだけどさぁ』
「何か変わった事はなかった? 修介の様子が少しおかしいんだけど」
景は笑いながら俺の唇を親指でなぞったから、ビクッと身体を反応させてしまう。
電話の最中にこんな事をされて恥ずかしくて、ぐっと唇に力を入れて視線を反らした。
『えー何で? 別に無かったけど』
「本当に? 僕の事とか何か話してなかった?」
『景ちゃんの事? 別に何も。慌てて帰ってったからなぁ。俺達が景に殺されるから早く行けって桜理が言ったからー』
「俺達って?」
景は唇を撫でる指の動きを止めた。
えっ、俺達って、何?
『あ、俺と桜理の事ね。俺は勝手に修介の事連れて来ちゃったから殺されるぞって言われたけど、あいつは何しちゃったのかねー……あっ、これ言わない方が良かったのかなー、あはは』
景はタケさんが話してる最中にも関わらず、間髪いれずすぐさま電話を切った。
何が起こったのか分からなくて、ただその光景をキョトンとしながら眺めていた。
景はスマホを乱暴にソファーの上へ投げつけると、俺の顔の横に両手をつき、自らの顔をさらに近づけて見下してくる。
「桜理が何か関係ある?」
「えっ!?」
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