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第370話
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「あと、ホットコーヒー二つ」
俺が言おうと思っていたのに、景が頼んでくれた。
店員さんは景の顔を見て返事をする。
その後、ほんの数秒、店員さんの動きが止まった気がした。
たぶん、景だって気付いたんだろう。
しかしそれ以上のアクションはなく、店員さんはコーヒー専用のプラスチックカップを持って来てくれた。
「ありがとう」
そう景が言うと、店員さんもペコリと頭を下げた。
カップにコーヒーを注いでから、店を出る。
チラッと店の方を振り返ってみたけど、店員さんはやっぱりこちらに視線を向けていた。
「たぶんあの人、景だって事気付いてたで」
「うん。なんだか、凄く見られてた気がするよ」
店員さんは俺らの事、まさか友達以上の関係だなんて思ってないんだろうな。
そう考えながらまた来た道を辿る。
裏道に入ると、今度は自分から左手を景の右手に絡ませる。
それに応えるように、景より一層深く繋がるように指を絡ませてきた。
景は俺を見下ろしながら、嬉しそうに言った。
「まるで高校生みたいだね。二人でコンビニ行って、手繋いで歩いてて」
「ふふ、そやなぁ」
高校生の頃、付き合っていた瞬くんとはこうやって手を繋いだ事は正直ある。
すごくドキドキした記憶も。
そんな事は絶対に口にしないけどね。
「もっと、高校生っぽい事しよか?」
そう言って、景の手を引く。
木が生い茂った、街灯もない近くの小さな児童公園の中に入り、その中のベンチに腰掛けた。
「ここで飲まへん? コーヒー」
「……高校生って、こんな事するっけ?」
「するする! たまにこういうとこでカップルがイチャイチャしてんで?」
この場所で本当に見た事はある。
しかしそんな事を言った手前、景とここでイチャイチャしたいと誤解されてしまうんじゃないかと少し焦った。
まぁ、ここでなければまたイチャイチャはしたいけど。
景も俺の隣に腰掛けてくれた。
俺はビニール袋から型に入ったプラスチックカップを取り出して、景に手渡した。
「ありがとう」
しんと静まり返った空気を肌に感じながら、二人で並んでコーヒーを飲んだ。
俺が言おうと思っていたのに、景が頼んでくれた。
店員さんは景の顔を見て返事をする。
その後、ほんの数秒、店員さんの動きが止まった気がした。
たぶん、景だって気付いたんだろう。
しかしそれ以上のアクションはなく、店員さんはコーヒー専用のプラスチックカップを持って来てくれた。
「ありがとう」
そう景が言うと、店員さんもペコリと頭を下げた。
カップにコーヒーを注いでから、店を出る。
チラッと店の方を振り返ってみたけど、店員さんはやっぱりこちらに視線を向けていた。
「たぶんあの人、景だって事気付いてたで」
「うん。なんだか、凄く見られてた気がするよ」
店員さんは俺らの事、まさか友達以上の関係だなんて思ってないんだろうな。
そう考えながらまた来た道を辿る。
裏道に入ると、今度は自分から左手を景の右手に絡ませる。
それに応えるように、景より一層深く繋がるように指を絡ませてきた。
景は俺を見下ろしながら、嬉しそうに言った。
「まるで高校生みたいだね。二人でコンビニ行って、手繋いで歩いてて」
「ふふ、そやなぁ」
高校生の頃、付き合っていた瞬くんとはこうやって手を繋いだ事は正直ある。
すごくドキドキした記憶も。
そんな事は絶対に口にしないけどね。
「もっと、高校生っぽい事しよか?」
そう言って、景の手を引く。
木が生い茂った、街灯もない近くの小さな児童公園の中に入り、その中のベンチに腰掛けた。
「ここで飲まへん? コーヒー」
「……高校生って、こんな事するっけ?」
「するする! たまにこういうとこでカップルがイチャイチャしてんで?」
この場所で本当に見た事はある。
しかしそんな事を言った手前、景とここでイチャイチャしたいと誤解されてしまうんじゃないかと少し焦った。
まぁ、ここでなければまたイチャイチャはしたいけど。
景も俺の隣に腰掛けてくれた。
俺はビニール袋から型に入ったプラスチックカップを取り出して、景に手渡した。
「ありがとう」
しんと静まり返った空気を肌に感じながら、二人で並んでコーヒーを飲んだ。
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