リプレイ!

こすもす

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第298話

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 ゆきちゃんと莉奈と三人で、あの時の駅前のカフェに来た。
 向かい合わせに俺とゆきちゃんが座り、90度の角度の位置に莉奈が座っている。
 ゆきちゃんは足を組みながら一人リラックスした様子で、先ほど頼んだアイスコーヒーを待っている。
 俺と莉奈も待っていることに変わりはないが、どちらも背筋を伸ばし、膝の上で拳を作りながらゆきちゃんの様子を伺っていた。
 店員さんはこの状況、どう思っているのだろうか。
 はたから見れば、まるで俺が莉奈に手を出したのがゆきちゃんにバレて、修羅場なんだろうなとか思われてそう。
 いや、もしかしたらゆきちゃんは誤解をしていて、本当にそう思っているのかもしれない。
 なぜ俺を連れて来たのか疑問過ぎて、これから何を言われるのか内心ひやひやしている。

「西村くんってさー、大学生なの?」

 さっきからわざと言っているな。
 でもいちいち言うのも気が引けるから、あえて突っ込まずに顔を上げた。

「高宮さんと同じ大学の、四年です」
「えっ! 俺より上なの? 童顔ってよく言われない?」
「言われます……」

 確かゆきちゃんは莉奈の一つ上だから大学二年生。
 そして俺が年上だと知ったのにあえて崩さないその態度。
 うん。見た目通りで別に驚かない。

「俺より下だと思ってた。てゆーかいきなり確信ついちゃうけど、莉奈の事好きなわけ?」

 あぁ、やっぱり。
 さっき俺に注意されたのが気にくわないんだ。
 何か言おうとしたけど、その前に莉奈が先に口を出した。

「違うよ。北村さん、ちゃんと彼女いるし。私の事心配してくれてたんだよ。ゆきちゃん、たまに怒ると怖いから、どうしたらいいのかなって相談してて」
「はぁ? おまえ……」

「お待たせしました」

 ゆきちゃんの言葉を遮るように、店員さんがアイスコーヒーを持って来てくれた。
 ふぅ。ナイスタイミング店員さん。
 無言でそれを飲みながら、今度は俺から話しかけた。

「あの、誤解されてるみたいですが、高宮さんとは普通の友達です。前に高宮さんが怪我をして腕に包帯を巻いていたので、心配になって話を聞いただけです」
「ふーん」

 ゆきちゃんは頬杖をついて顔を近づけてくる。

「だからさっき、『やめてほしいって思ってるみたいなので』って言ってたわけ? 相談とか言って俺の知らないところで、俺の事コソコソそうやって話してたわけ?」
「いや、コソコソっていうか~……」

 ゆきちゃんのその細い目にぎろりと睨みつけられると、全身が緊張してしまう。
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