リプレイ!

こすもす

文字の大きさ
上 下
258 / 454

第258話

しおりを挟む
「景、やっぱ格好ええなぁ……」
「何いきなり?」

 景は笑いながら俺の右隣に入って、肘を立てて手で頭を支えた。
 見ると景の手には、水の入ったペットボトルが握られている。

「水、飲む?」
「……飲む」

 口を尖らせて、困ったふりをする。
 多分、普通に飲ませてはくれないんだろう。

 景がペットボトルのキャップを開けて水を口に含んだから、眼を閉じて、唇が来るのを待った。
 唇から生暖かい水が流れ込んでくる。俺は何回かに分けて、コクコクとそれを飲み込んでいく。喉が鳴る度に、景の舌が俺の口内に入ってきた。
 水が無くなっても唇は離れない。水のお陰で潤されて、いつまでもキスしていたくなる心地よさだった。
 でも景の方から唇を離されてから、俺は瞼を持ち上げた。

「ごめん、眼鏡、邪魔だったね?」

 心臓が止まるかと思った。
 さっき朝井さんの胸ぐらを掴んで殴ろうとしていた人と同一人物だなんて想像も出来ない。
 それは甘くて優しいとびっきりの笑顔で、俺の事をいつも可愛いって言うけど、今の景の方が何十倍も可愛い。

「景、テレビでもそんな顔すればいいのに。めっちゃファン増えるで?」
「えー、やだよ。修介だからこんな顔になっちゃうんだよ」

 ファンは修介だけでいいよ、と今度は頬にキスをくれた。

「色々あって疲れたでしょう。そろそろ寝ようか」
「うん」

 景は眼鏡を外してサイドテーブルに置くと、枕に横向きに頭を置いて寝転がる。
 その体に擦り寄り、これ以上ない程に密着する。脚を絡ませ、頭を首元に埋めた。
 景はそんな俺を見て、頭を撫でたり、怪我をした手首をさすったりしてくれた。

「多分、修介が起きる頃には僕はいないと思うけど、ゆっくりしてっていいからね」
「ごめん、忙しいのに、泊まらせてくれて。ほんま、迷惑かけてしまって……」
「いいから。もう気にしないでよ」

 上目遣いで見ると景は俺の髪を梳かすように指先を遊ばせる。
 俺はやっぱりこの人の隣が安心するな、と再確認してから呟いた。

「なんか、こうやって一緒に寝るのって新鮮やな」
「そうだね。この間は修介が先に寝ちゃったしね」
「だって……」
「修介がいるとあったかい。仕事が落ち着いたら、いつでも泊まりにおいでよ。一人じゃ寂しくて」

 景は仕事が忙しいようで、この先二ヶ月くらいはハードスケジュールだ。
 ゆっくりデート、というのは当分出来そうに無いから、俺が時間を見つけてこのマンションに来ることにしよう。あくまで、景の負担にならないように、迷惑はかけないように。

「うん。じゃあ、今度暇見つけて泊まりにくるね」
「うん。ありがと。じゃあおやすみ」

 軽いキスをして、俺は眠りについた。
 景の甘い香りを嗅ぎながら。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...