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第183話
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キッチンで準備をする景を見てから、窓の方に視線を向けた。
鳥の囀りがする。
見ると、ベランダに小さな鳥が二羽行ったり来たりしていた。
景はさっきこれを見てたのかな。
しばらくボーっと目で追っていた。
「はい。ちょっと熱いから気を付けてね」
「あ、ありがと」
カップの淵を持った景の手は少し血管が浮き出ていて、この手が俺を……とドキドキしながらそれを受け取った。
景も自分の分を用意したみたいで、隣に座って直ぐにコーヒーを飲み始めたから、よく考えもせずに俺もそれを見ていきなり口を付けて液体を喉の奥へと流し込む。
激しく後悔した。
「あっつ!!」
唇と舌がヒリヒリして、涙目になった。
そうだ。俺は猫舌だった。
景は俺の慌てる姿を見て、目を細めて呆れている。
「だから、熱いからって言ったでしょう……ほんとに天然だよね」
「だって、景、普通に飲んどるから、そんなでもないと思ったんやけどっ」
「僕と修介とじゃあ身体の作りが違うの」
「あ、それ、聞き捨てならへんな。まるで俺が小さいみたいに言うてるけど」
「そんな事言ってないし……実際、僕よりも遥かに背低いでしょ」
「は?」
わざとなのかいつも通りなのか、些細な事で憎まれ口を叩く。
俺は多分、照れ隠しのつもりだと思ってる。
一通り言い合ったところで、お互い黙り込んでしまった。
また部屋がしんとなるけど、別に気になんてならなかった。
昨日の出来事を思い出していて、美味しいコーヒーを飲みながら幸せな気分だった。
しばらくしてから景はまた、真面目な口調で切り出した。
「修介、どうもありがとう」
「……なにが?」
「僕としてくれて。実は僕もちょっと緊張してたんだけどさ。最後、修介の気持ち、すごく伝わってきた。僕も同じ気持ちだから」
あんなに俺にいろんな意地悪しといて、緊張してたやと?
心の中で呟く。
最後って、俺が訳分からず大好きだとか愛してるとか連呼してたやつか。今考えると本当に恥ずい事したなぁと後悔した。
「僕、前にも言ったかもしれないけど、こんなに人を好きになった事なんてないよ。修介の事、これからも大事にするから」
俺も、こんなに夢中になるなんて初めてだ。
それにしても昨日のは恥ずかしいよなぁ、泣いてたし俺。
あとちゃんとこれから自分で後ろも弄って開発していこ。
景に迷惑掛けたく無いし……
一人反省会をしていたら、景に肘で体をつつかれた。
「ちょっと、聞いてるの?」
「えっ、あ、ごめん」
「……修介。僕、折角自分の気持ち、想いを込めて伝えてたのに……」
「え、そうなん? ごめん、も一回言うて?」
肩を竦めて笑いながら、人差し指を立ててお願いした。
「もう、バカ修介。二度と言わないからね」
「ごめんごめん、お願い、もう一回!」
「やだ」
「はぁ? なんやねん、ここまでお願いしてるんに!」
「あ、何、逆ギレ?」
そんなに可笑しくもないのに、二人して大袈裟に笑った。
やっぱり、照れ隠しだ。
この後また甘い甘いキスをして仲直りをしてから、景は風呂の準備をしてくれて、まるでモデルハウスのように水滴やぬめりが一つもついていない風呂場に連れて行かれてシャワーを浴びた。
景は俺が寝ている間に入ったようだった。
俺がシャワーを浴びている間、景は昨日作ってくれていたミネストローネと野菜がたっぷり入ったハンバーグを温め直してくれていたようで、テーブルの上に並べて待っていてくれた。
鳥の囀りがする。
見ると、ベランダに小さな鳥が二羽行ったり来たりしていた。
景はさっきこれを見てたのかな。
しばらくボーっと目で追っていた。
「はい。ちょっと熱いから気を付けてね」
「あ、ありがと」
カップの淵を持った景の手は少し血管が浮き出ていて、この手が俺を……とドキドキしながらそれを受け取った。
景も自分の分を用意したみたいで、隣に座って直ぐにコーヒーを飲み始めたから、よく考えもせずに俺もそれを見ていきなり口を付けて液体を喉の奥へと流し込む。
激しく後悔した。
「あっつ!!」
唇と舌がヒリヒリして、涙目になった。
そうだ。俺は猫舌だった。
景は俺の慌てる姿を見て、目を細めて呆れている。
「だから、熱いからって言ったでしょう……ほんとに天然だよね」
「だって、景、普通に飲んどるから、そんなでもないと思ったんやけどっ」
「僕と修介とじゃあ身体の作りが違うの」
「あ、それ、聞き捨てならへんな。まるで俺が小さいみたいに言うてるけど」
「そんな事言ってないし……実際、僕よりも遥かに背低いでしょ」
「は?」
わざとなのかいつも通りなのか、些細な事で憎まれ口を叩く。
俺は多分、照れ隠しのつもりだと思ってる。
一通り言い合ったところで、お互い黙り込んでしまった。
また部屋がしんとなるけど、別に気になんてならなかった。
昨日の出来事を思い出していて、美味しいコーヒーを飲みながら幸せな気分だった。
しばらくしてから景はまた、真面目な口調で切り出した。
「修介、どうもありがとう」
「……なにが?」
「僕としてくれて。実は僕もちょっと緊張してたんだけどさ。最後、修介の気持ち、すごく伝わってきた。僕も同じ気持ちだから」
あんなに俺にいろんな意地悪しといて、緊張してたやと?
心の中で呟く。
最後って、俺が訳分からず大好きだとか愛してるとか連呼してたやつか。今考えると本当に恥ずい事したなぁと後悔した。
「僕、前にも言ったかもしれないけど、こんなに人を好きになった事なんてないよ。修介の事、これからも大事にするから」
俺も、こんなに夢中になるなんて初めてだ。
それにしても昨日のは恥ずかしいよなぁ、泣いてたし俺。
あとちゃんとこれから自分で後ろも弄って開発していこ。
景に迷惑掛けたく無いし……
一人反省会をしていたら、景に肘で体をつつかれた。
「ちょっと、聞いてるの?」
「えっ、あ、ごめん」
「……修介。僕、折角自分の気持ち、想いを込めて伝えてたのに……」
「え、そうなん? ごめん、も一回言うて?」
肩を竦めて笑いながら、人差し指を立ててお願いした。
「もう、バカ修介。二度と言わないからね」
「ごめんごめん、お願い、もう一回!」
「やだ」
「はぁ? なんやねん、ここまでお願いしてるんに!」
「あ、何、逆ギレ?」
そんなに可笑しくもないのに、二人して大袈裟に笑った。
やっぱり、照れ隠しだ。
この後また甘い甘いキスをして仲直りをしてから、景は風呂の準備をしてくれて、まるでモデルハウスのように水滴やぬめりが一つもついていない風呂場に連れて行かれてシャワーを浴びた。
景は俺が寝ている間に入ったようだった。
俺がシャワーを浴びている間、景は昨日作ってくれていたミネストローネと野菜がたっぷり入ったハンバーグを温め直してくれていたようで、テーブルの上に並べて待っていてくれた。
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