リプレイ！

第177話*

　肩を手で優しく包まれて、額、唇、頬、首筋、あらゆる所にキスの雨が降ってくる。
　触れられた所がジンジンと疼いてむず痒くて、体を捩らせた。

「さっき、イッたばかりなのにね」

　やっぱり景は意地悪く言う。
　景の言う通り、先ほど欲を吐き出したのにも関わらず、その行為だけで俺の中心は再度熱を帯び始めていた。
　性感帯の一つでもある耳を舌で弄られながら、俺は反論する。 

「っ、景やって、苦しそうやで……ッ」
「そりゃあ、好きな人の乱れてる姿見たら、勃たない訳ないでしょ……」

　好きな人。好きな人。
　何回も頭で繰り返すと幸せな気分になる。
　景のそれも見るからに腫れていて。景も興奮してくれたんだ…と嬉しくなって、またゾクゾクした。

「今度は、俺の番……」

　景の中心に手を伸ばす。
　俺の手ではとても全部は包み込めないけれど、どうにか気持ち良くなってもらいたくて、景にやられたように優しく上下させる。
　すごく、すごくやらしい。
　俺も裸で、景も裸で、俺は今景のモノを弄ってるんだ。

　しばらくして擦りながら人差し指を先端に絡ませたりすると、俺の行為を見下ろしていた景の眉が少しだけ歪んでいた。そして熱っぽい吐息を吐き出したから、心の底から嬉しくなった。

「景、気持ちええん？」
「……うん。凄く上手だよ」

　さっきまで余裕に満ち溢れる景だったのに、今はなんだか弱々しく見える。こんな景が見れるだなんて。
　もっと悦ばせたい。

「俺も、ええ？」
「……いいよ」

　無理しないでね……そう景は呟いたけど俺は聞こえないふりをして正座して、上半身だけを前に倒して景のそれに唇をつけた。
　俺は顎が小さいし、景のそれは大きすぎるしで、根元まではとてもじゃないけど咥えきれない。
　正直、口内がもう一杯で、息も出来ない程苦しい。
　どうやって舌を動かせばいいのか分からないけど、それでも必死に舌を這わせた。
　景の顔を一回だけチラリと見たけれど、目を細めて微笑んで俺の行為を見下ろしていて、あぁ、多分気持ち良くは無いんだろうなと思ったけど、なんだか嬉しかった。
　景は俺の頭を撫で続けてくれる。

「ん──……」

　苦しいけど、全然嫌じゃない。
　むしろ、嬉しい。景の為だったら、俺、なんだってしてあげたい。

　好き。大好き、景。
　心の中でそう何度も呟きながら続けた。
　たどたどしく頭を上下させていたら、頭を撫でていた景の手が俺のお尻に伸びてきて、いやらしく撫でまわされた。
　そのまま割れ目を長い指でツーと撫でられて、俺は逃げるように腰を振ってしまう。

「──む……っ!?　んん……」
「修介、本当に、君って人は」

　そして、奥の方に指を引っ掛けられたから驚いて、思わず口を離して顔を上げた。

「あ……ッ！」
「ありがとう。苦しいのに、僕の為に一生懸命にしてくれて。おかげでもう、我慢できなくなっちゃったよ」
「景……」
「いい？」

　顔を傾けて問われると、いつでも俺は拒否なんて出来ない。
　心臓が破裂しそうになりながら、俺は唇を噤んで うん、と頷いた。

　景は少しだけ微笑むと、俺の肩を掴んでベッドヘッドに立てかけたフワフワの柔らかい枕の上に凭れさせるように押しやった。
　サイドテーブルに手を伸ばしてローションを取り、キャップを開けて中からトロリとする液体を自らの右手に垂らしていく。五本の指と掌全体に馴染むように動かすと、クチュクチュと卑猥な水音が聞こえてくる。

「……っ……」

　音だけでそれだけでも十分感じてしまった。
　まだ触られていないのに、想像してしまうと眉間に皺が寄って、自分の中心がドクンと疼いたのが分かった。
　心臓が早鐘を打って、顔が熱くて、恥ずかしくて、やっぱりやめようって言いそうになる。
　けど、やめたくない。
　恥ずかしいのに、触って欲しいって思っている自分がいる。