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こすもす

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第157話

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「ふぁ……ン…」

 そのまま俺の舌を追いかけるように中で動き始める。
 やっぱり体が強張ってしまったけれど、俺もそれに応えるように、口を開けて舌を絡ませにいった。
 チュク、チュ、とやらしく水っぽい音が部屋中に響き渡る。

 ダメだよ、ここ、お店なのに。
 いくら完全個室とはいえ、外に音が漏れていないだろうか。
 今、誰かにその襖を開けられたらどうしよう。

 頭では焦ってそう考えているのに、唇は止まらなかった。
 溺れないようにしながら、自分も必死で景の舌を追いかける。
 あまりの快楽に眉尻が下がって、身体中の力が抜けた。

 一度快楽を味わってしまったら、お互い簡単に引き下がれなくなった。
 唇が腫れそうになるくらいの熱いキス。
 最初はたどたどしく動いていたそれは、どんどんとブレーキが効かなくなって、何度も角度を変えながら味わった。
 景とのそれは、やっぱり凄く気持ち良かった。

「っ……はぁ……」

 このまま蕩けてしまいそうだったけど、どちらからともなく唇を離す。
 瞼を少しずつ持ち上げると、頬に手を添えられて笑われた。

「修介。顔真っ赤だよ」
「だっ! だって……」

 座ったまま背中に手を回され、ギュッと抱き締められる。
 景の胸に埋まると、心臓の音がドキンドキンと言っているのが聞こえて、俺に劣らず、景も早鐘を打っているのが分かって嬉しくなった。
 何でも完璧で冷静な景なのに、俺との行為でこんなにもドキドキしてくれるなんて。

「帰りたくなくなっちゃうから、なるべく触れないように我慢してたんだよ? それなのにもっと触ってもいいだなんて、僕には毒だよ」
「あっ……そうだったんや……」
「修介は、酔うと素直になるんだね」

 より一層手の腕の力を込められる。
 さっきからお互いの膝も当たっていて、なんだかエロい感じだ。
 すごい。景がこんな風になるなんて知らなかった。
 フワフワの毛布に包まれている暖かい朝のように、ジワジワと幸福感に包まれていく。

「景って、キス、上手やなぁ……」
「ふっ。そう? ありがと」
「なんか……力抜けてしもうたやんか」
「相性バッチリだね。僕達」

 身体を起こすと、俺の頭を撫でてくれた。

「これからよろしくね、修介。大事にするからね」
「う、うん。俺も、大事にするから、景の事。ホンマに……好きやで?」
「うん。ありがと。もうそろそろ、帰らないといけない時間だよね……最後に、もう一回キスしよう?」
「……うん」

 夢みたい。でも、夢じゃない。
 この人と、これから一緒にいられるんだ。
 俺たちは飽きもせず、キスをし続けた。
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