リプレイ!

こすもす

文字の大きさ
上 下
150 / 454

第150話

しおりを挟む
 四月になり、俺は無事大学四年生になった。

 景と両想いだったって事が分かって、あんなに平凡だった毎日は輝き出した。俺の頭の中は、学校の正門の前に満開に咲く桜の木のようにピンク色になって、浮かれモード全開になっていた。
 あの日以来、朝起きて一番に頭に浮かぶのは景の顔。
 そしてあの時の甘いキスと香り、抱き締められた時の背中の手の温もり。
 いつまでも覚めない夢を見ているようで、幸福感でいっぱいになる。

 今日は履修届を出す為に久々に大学に来ている。
 単位はほとんど取れているから、今年は必修のゼミと少しの授業に出ればいい。
 時間には余裕ができるけど、その分就活に力を入れなくてはならない。
 講堂のベンチに向かうと、すでに晴人と秀明が仲良く話して座っているのが見えた。
 こちらに気付いた秀明が笑顔で手を振ってくれて、隣にいた晴人も片手を上げて微笑んでくれた。

「修介ー、久しぶり!」
「久しぶりやなぁ。どうする? 学食行く?」
「そうだな。混む前に行こうか」

 晴人の後ろについて秀明の隣を歩いていると、顔を覗き込まれた。

「実家どうだった? 元彼にはちゃんと返事したの?」
「うっ!」

 そうだ。忘れていた。
 晴人と秀明には、瞬くんにやり直そうと言われて返事をする予定だと言ったっきり会っていなかったから、まさか短期間のうちにこんな状況になっているなんて思いもよらないだろう。
 秀明は少し慌てた様子の俺を見て不思議そうな顔をしていた。

「どうした?」
「あの、実は色々とありまして……」
「色々って?」

 前を歩いていた晴人も俺を振り返ったけど、とりあえず学食で、と言って話題を変えながら移動した。
 皆考えることは同じみたいで、まだお昼前なのに食堂は満席になりそうなくらい混んでいた。混み合っている中、なんとか三人分の席を見つけて座った。
 バックからホッチキスで留められた紙の束を取り出して眺めながら、俺は切りだした。

「あの、実は俺、景と付き合う事になって……」
「「え?」」

 キョトンとする二人の声が重なる。
 俺はしどろもどろになりながら、事の経緯を語った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...