144 / 454
第144話
しおりを挟む
景は今なんて言った?
愛してるんだよ、君の事を?
え? 何、どういう事?
アイシテル? I,siteru?
愛してるって単語、どういう意味だったっけ?
それくらい、俺は頭がフリーズしてしまった。
ついでに口はあんぐりと半開きにした状態で固まってしまった。
景はゆっくりと体を起こしてから、また曇りない眼差しでこちらを見据えた。
「ごめん。いきなり変な事言って。あいつとキスしたって聞いたら、なんだか興奮しちゃって責め立てちゃった。修介、これからする僕の話よく聞いてくれる? あぁ、とりあえず車ちゃんと端に寄せるね」
景は我に返ったように落ち着いた口調になって、車を走らせて周りに迷惑がかからないところに止めてからエンジンを切った。
途端にシンと車内が静まり返り、また緊張感が増してくる。
俺は未だ呆然としながら、ただ景の横顔をジッと見ていた。
景はそんな俺をまたまっすぐ見つめながらゆっくりと話し始めた。
「順番を間違えた。まず謝らないと。ごめん、あの日、無理やりキスなんかして」
「……」
「何であんな事をしたのか、あの時自分でも理解出来なかったんだ。気付いた時にはもう、唇を奪っていて。それで修介が泣いて、大変な事をしたって。でも僕は弱いから謝りもせずに強がって。馬鹿だった。怖い思いさせて、本当にごめん。あと手首もかなり強く掴んでた筈だから、痛かったと思うし……大丈夫だった? 跡に残ったりとか」
「あ、うん、別に大丈夫やったけど……」
「ごめん本当に。あの日から、修介に言われた台詞が頭の中から離れなかったんだ。僕の事はもう信じてないとか、会わなきゃ良かったって言われた事が。嫌われるような事をしたし、このまま会わなければいいんだと何度も思ったよ。でも無理だった。ようやく気付いたんだ。何故僕があんなに怒りに満ちていたのか。君が、誰かのものになるなんて、耐えられなかったんだ」
また、そんな風な言い方。
もう騙されない。自惚れない。
「君が笑う度、泣く度、僕の心はいつもそれに踊らされて、翻弄されたんだ。君が笑えば暖かい気持ちになれたし、泣いたり怒ったりすれば、胸がズキズキと痛くなるし。僕の心の中にはいつも君がいたんだよ」
「……」
「女の子だったら彼女にしてたなんて、はじめは本当にそう思っていたよ。でもね、今はもうそんな気持ちは持ってない。女とか男とか関係なく、君の側にいたい。修介という存在は、もう僕の中からこの先消え去る事は絶対に無いんだ。だから、君に選んで欲しい」
愛してるんだよ、君の事を?
え? 何、どういう事?
アイシテル? I,siteru?
愛してるって単語、どういう意味だったっけ?
それくらい、俺は頭がフリーズしてしまった。
ついでに口はあんぐりと半開きにした状態で固まってしまった。
景はゆっくりと体を起こしてから、また曇りない眼差しでこちらを見据えた。
「ごめん。いきなり変な事言って。あいつとキスしたって聞いたら、なんだか興奮しちゃって責め立てちゃった。修介、これからする僕の話よく聞いてくれる? あぁ、とりあえず車ちゃんと端に寄せるね」
景は我に返ったように落ち着いた口調になって、車を走らせて周りに迷惑がかからないところに止めてからエンジンを切った。
途端にシンと車内が静まり返り、また緊張感が増してくる。
俺は未だ呆然としながら、ただ景の横顔をジッと見ていた。
景はそんな俺をまたまっすぐ見つめながらゆっくりと話し始めた。
「順番を間違えた。まず謝らないと。ごめん、あの日、無理やりキスなんかして」
「……」
「何であんな事をしたのか、あの時自分でも理解出来なかったんだ。気付いた時にはもう、唇を奪っていて。それで修介が泣いて、大変な事をしたって。でも僕は弱いから謝りもせずに強がって。馬鹿だった。怖い思いさせて、本当にごめん。あと手首もかなり強く掴んでた筈だから、痛かったと思うし……大丈夫だった? 跡に残ったりとか」
「あ、うん、別に大丈夫やったけど……」
「ごめん本当に。あの日から、修介に言われた台詞が頭の中から離れなかったんだ。僕の事はもう信じてないとか、会わなきゃ良かったって言われた事が。嫌われるような事をしたし、このまま会わなければいいんだと何度も思ったよ。でも無理だった。ようやく気付いたんだ。何故僕があんなに怒りに満ちていたのか。君が、誰かのものになるなんて、耐えられなかったんだ」
また、そんな風な言い方。
もう騙されない。自惚れない。
「君が笑う度、泣く度、僕の心はいつもそれに踊らされて、翻弄されたんだ。君が笑えば暖かい気持ちになれたし、泣いたり怒ったりすれば、胸がズキズキと痛くなるし。僕の心の中にはいつも君がいたんだよ」
「……」
「女の子だったら彼女にしてたなんて、はじめは本当にそう思っていたよ。でもね、今はもうそんな気持ちは持ってない。女とか男とか関係なく、君の側にいたい。修介という存在は、もう僕の中からこの先消え去る事は絶対に無いんだ。だから、君に選んで欲しい」
0
お気に入りに追加
222
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる