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第81話
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次の日。
昨日のライブが想像以上に素晴らしく感動したようで、瞬くんは朝から幸せのため息を何度も漏らしていた。
「あぁーマジで最高やった……アリーナの後方やったから本人なんて小指くらいの大きさでしか見えへんかったけど、そんなん気にならんくらい良かったで……。俺、最後のMCで泣いてしもうたもん。必ずまた帰って来るから、それまで待ってろよって、俺に言うてくれて……」
瞬くん以外のファンの人も、自分に言ってくれたって思ってるのかな、と思いながら、新宿にあるパンケーキのお店で、昼食を兼ねた遅めの朝食を食べていた。
「でも、解散やなくて良かったね。活動休止言うても、長くても二、三年やないの?」
「それくらいで済めばええんやけどなぁ。五年も十年も活動休止やったら、ほんま何を楽しみに生きていけばええんや……」
瞬くんは今度は嘆息を漏らしたから、俺は笑ってアイスコーヒーを飲んだ。
今日は一日、瞬くんとデートだ。
この後映画を観てから、瞬くんが事前に調べていた古着屋を巡る予定。
今日は買い物するには絶好の清々しい日和でなにより。
食べ終えて店を出て、映画館の方へ向かっていると、瞬くんがおのぼりさん状態で周りをキョロキョロし始めた。
俺が初めて都内に出てきた頃を見ているようで懐かしい。
「はぁー、やっぱり凄いんやなぁ東京って。こんなに人が歩いてるんやから」
「地元やと、すれ違う人といえば爺さん婆さんやもんね」
「昨日、藤澤 景のマンション行った言うてたよな? 何処らへんにあるん?」
「渋谷。ヤバイで。めっちゃくちゃ広くて綺麗でホテルみたい。家賃二十万くらいするんちゃうかなぁ?」
「渋谷ー? 藤澤 景クラスやったら二十万なんかで収まらんやろ。最低四十はいくな」
「えぇっ! マジで……」
景の年収は一体いくらなんだろう… と考えながら、昨日彼から来たメッセージを瞬くんに見せた。
「これ、景から来たんよー」
画面には、チョコレート色をした可愛い猫の写真。
昨日の撮影中、すぐ近くに寄ってきたから撮ってくれたらしい。
「へー。ホンマに仲ええんやなぁ。で? 佐伯 紗知子との事は訊いたん?」
「う、まだ……」
かわええな、とメッセージを送ったら、その後向こうから何も返信がなかったから、いきなりそういう話をするのも変だと思い訊けずじまいである。
「ハハ。まぁしょうがないな。もしその人と付き合うて無かったとしても、いずれかは美人な彼女が出来るやろ。いつまでも夢見とらんで、修介は早よ諦めて他にいけばええんよ」
「まっ、またそうやってズバズバ傷つく事言うんやから……」
翔平は適当に物を言ってくるけど、瞬くんは適当のように見えて全部的を得ているから、反論できずに落ち込むしかない。
昨日のライブが想像以上に素晴らしく感動したようで、瞬くんは朝から幸せのため息を何度も漏らしていた。
「あぁーマジで最高やった……アリーナの後方やったから本人なんて小指くらいの大きさでしか見えへんかったけど、そんなん気にならんくらい良かったで……。俺、最後のMCで泣いてしもうたもん。必ずまた帰って来るから、それまで待ってろよって、俺に言うてくれて……」
瞬くん以外のファンの人も、自分に言ってくれたって思ってるのかな、と思いながら、新宿にあるパンケーキのお店で、昼食を兼ねた遅めの朝食を食べていた。
「でも、解散やなくて良かったね。活動休止言うても、長くても二、三年やないの?」
「それくらいで済めばええんやけどなぁ。五年も十年も活動休止やったら、ほんま何を楽しみに生きていけばええんや……」
瞬くんは今度は嘆息を漏らしたから、俺は笑ってアイスコーヒーを飲んだ。
今日は一日、瞬くんとデートだ。
この後映画を観てから、瞬くんが事前に調べていた古着屋を巡る予定。
今日は買い物するには絶好の清々しい日和でなにより。
食べ終えて店を出て、映画館の方へ向かっていると、瞬くんがおのぼりさん状態で周りをキョロキョロし始めた。
俺が初めて都内に出てきた頃を見ているようで懐かしい。
「はぁー、やっぱり凄いんやなぁ東京って。こんなに人が歩いてるんやから」
「地元やと、すれ違う人といえば爺さん婆さんやもんね」
「昨日、藤澤 景のマンション行った言うてたよな? 何処らへんにあるん?」
「渋谷。ヤバイで。めっちゃくちゃ広くて綺麗でホテルみたい。家賃二十万くらいするんちゃうかなぁ?」
「渋谷ー? 藤澤 景クラスやったら二十万なんかで収まらんやろ。最低四十はいくな」
「えぇっ! マジで……」
景の年収は一体いくらなんだろう… と考えながら、昨日彼から来たメッセージを瞬くんに見せた。
「これ、景から来たんよー」
画面には、チョコレート色をした可愛い猫の写真。
昨日の撮影中、すぐ近くに寄ってきたから撮ってくれたらしい。
「へー。ホンマに仲ええんやなぁ。で? 佐伯 紗知子との事は訊いたん?」
「う、まだ……」
かわええな、とメッセージを送ったら、その後向こうから何も返信がなかったから、いきなりそういう話をするのも変だと思い訊けずじまいである。
「ハハ。まぁしょうがないな。もしその人と付き合うて無かったとしても、いずれかは美人な彼女が出来るやろ。いつまでも夢見とらんで、修介は早よ諦めて他にいけばええんよ」
「まっ、またそうやってズバズバ傷つく事言うんやから……」
翔平は適当に物を言ってくるけど、瞬くんは適当のように見えて全部的を得ているから、反論できずに落ち込むしかない。
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