リプレイ!

こすもす

文字の大きさ
上 下
60 / 454

第60話

しおりを挟む
 俺のいきなりの声にビックリしたのか、向こうからハハ、と笑った声が聞こえた。
 その後すぐに、景ほどの低い声の持ち主が俺に話しかけてきた。

『もしもし、久しぶり。俺やけど。覚えてる?』

 瞬くんの声が聞こえた途端、懐かしさで嬉しくなった。
 全然変わってない。俺やけど、って言うところ。

「お、覚えてるに決まっとるやろ? めっちゃ久しぶりやんか! どうしたんいきなり!」
『元気にしとる? 修介。いま関東の大学通ってるんやろ?』
「元気元気! そやで! 千葉で一人暮らししてんねん」

 瞬くんととりとめのない話をした。
 四年のブランクなんて感じないくらい、盛り上がった。
 不思議だ。瞬くんとこうやって電話で話すなんて。
 彼の事を酷く憎んだ事もあったのに、人って嫌なことがあっても時間が経てば大抵の事は許せるものなのか、なんだか付き合いたての頃を思い出して、こうやっているのが嬉しくなってしまう。

『今度、修介のクラスで集まるんやろ? 俺も誘われたんやけど、行こうかなぁ思うてて』
「あ、そうなん? じゃあ久々に会えるね。楽しみにしとる」
『その前に、おれ修介に会いに行こうかなぁ思うてんねん』
「へっ? どゆ事?」

 瞬くんの好きなロックバンドが東京でライブをするらしく、それが終わったら無期限活動休止に入るからどうしても行きたくてチケットを申し込んだら奇跡的に取れたらしい。
 瞬くんがそのバンドを好きだっていうのは高校の時も言っていたから知っている。
 ライブが行われる土曜日の夜、俺の家に泊めてほしいと瞬くんは言った。

「よくチケット取れたねぇ。そのバンドのライブって人気過ぎて倍率めっちゃ高いって有名やん」
『まぁそこは? 俺の実力かな? なんちゃって。だから、迷惑や無かったら泊まってもええ?』
「うん、俺は別にええよ。次の日に帰るんか?」
『いやー、もう一泊くらいしたいなと思っとるから、次の日は漫喫に泊まる予定』
「え、そんなん大変やんか。二日とも俺んち泊まれば?」
『え、ホンマ? ええの? ありがとう修介、感謝しとる! じゃあ、折角やからどっか遊びに行かへん? 買い物とか付きおうてくれたら嬉しいな』
「えっ、もちろんええよ! 楽しみにしとる!」

 電話を切った後、なんだかワクワクした。
 まさか、瞬くんが会いに来るなんて。

 瞬くんも大学生だから、髪とか染めて、服もオシャレにしてるのかな。
 相変わらず大学でも色んな男に告白されて、何人も同時に付き合ってるんだろうな。
 ますますカッコよくなってそうだな。

 俺の中での瞬くんとの忌々しい記憶は払拭されて、どんどん美化されていく。

 新しく人生をやり直す為にこっちに来たのに、結局会う事になってしまった。
 けれど嫌な気持ちは全く無い。
 逆に会いたい気持ちの方が強い自分がいて、今の浮き足立ってる自分が晴人や秀明にバレないようにしなくては、と心構えして教室へ向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...