嘘と嘘

こすもす

文字の大きさ
上 下
4 / 10

4 明日夏-asuka- 1

しおりを挟む
 日付けが変わり、二時間ほどした頃。
 ついに眠気の限界がやってきたので、僕は一足先に寝させてもらうことにした。

「みんなはまだ起きてるの?」

 目蓋を擦りながら問うと、拓海が欠伸をしながら答えた。

「あぁ、俺もそろそろ寝ようかな」
「じゃあ机、どかそうか」

 テーブルを部屋の隅に移動させ、ロフトから下ろしておいたタオルケットや布団を適当に敷き詰めていく。
 真央だけが手伝わずに、ソファーの上に寝そべっていた。

「俺ここで寝ていいー?」
「は? どうする、拓海」
「うん、俺は床でいいよ。櫂は?」
「まぁ俺も、基本どこでも寝れるからいいけどさ。真央、ソファから落ちたりすんなよ。俺が潰れる」
「はいはーい」

 櫂はソファのすぐ横で寝るらしい。部屋が狭いので三人並んで寝ることは出来ない。真央と櫂は頭を北向き、拓海が東向きにして寝ることになった。僕は一人、ロフトへ。
 固定されている木製の梯子に足をかけ、一段ずつ上っていく。
 上から三段目にはそっと足を乗せるだけにし、両手で体重を支えて負荷がかからないようにした。
 ロフトからひょっこり顔を出すと、僕を見上げる三人と目が合った。

「真央と櫂は、まだ起きてる? 電気はどうしようか」
「消していいよ。俺たちも適当に寝るから」

 櫂に言われ、僕はリモコンを操作して照明の明かりをオフにした。 
 暗闇の中で、真央と櫂のスマホの画面がしばらく煌々と光っていたけど、それが消えるよりも前に、僕は深い眠りに落ちていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ペイン・リリーフ

こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。 優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。 記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。 ★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*) ★素敵な表紙は らテて様✧︎*。 ☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

父のチンポが気になって仕方ない息子の夜這い!

ミクリ21
BL
父に夜這いする息子の話。

愛人は嫌だったので別れることにしました。

伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。 しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...