ただ、そばにいさせて。

こすもす

文字の大きさ
上 下
40 / 65

39 ドキドキの夜*

しおりを挟む
 * * *

「ふ……あっ……ぁ……」

 信じられないことに、森下くんの手が僕のを握っている。
 浴衣はそのままで、履いていたボクサーパンツを太腿まで引き下ろされ、張り詰めた性器を手で包み込まれている。
 ゆっくりと上下されると、しっかりと天を向いているその先端からとめどなく蜜があふれ、森下くんの指を汚していった。

 僕は立てた膝をくっつけたまま、今まで感じたことのない鋭い快感に悶えていた。
 気持ちいい。自慰の時よりもずっと感じる。

 森下くんは空いた僕の首筋を唇でなぞっていく。
 少しずつ箇所を変え、柔らかく吸うみたいにちゅっ、と音を鳴らして。

「はっ……あ……っ、あ──……」

 くびれの部分を執拗に弄られると弱い。敏感になっているそこは、少しの指の動きでも反応してしまう。
 ひくんと性器が揺れ、先走りがとぷとぷとあふれ出るのを見て、森下くんは熱っぽい息を吐いた。

「すごいね……こんなに濡らしてる」
「ん……っ」

 そんな、僕が変態みたいに言わないで。
 しかしそれは口には出せず、恥ずかしい声を漏らすことしかできない。

 今起こっているのは、現実なんだよな。
 夢みたいだ。好きな人の目の前で、あられもない姿になっているだなんて。
 今度は、布の上から胸の突起を親指でこすられた。
 ジンとして、僕は大袈裟に声を上げた。

「あぁ……ッ!」
「わ、すごい。これ好きなの?」
「ふ、あ……や……っそれっ……いやです……っ」

 ずり、ずりと衣擦れの音を鳴らして、そこばかりを引っ掻いたりしてくる。
 柔らかかったのにあっという間に芯を持ち、浴衣の上からでも場所が分かるくらい、二個共しっかりと立ち上がっていた。

「──あ……っ! ……あぁっ」

 はしたない姿の自分を見て、余計に腰が砕けた。
 こんなにまで、感じたことはない。
 自慰とは全く比べ物にならない。
 怖かった。僕は一体、どこまで破廉恥な姿をこの人の前でさらけ出してしまうのか。
 
「ご……ごめんなさ……っ、僕、こんな……っ」

 眉を八の字にさせて泣きながら謝ると、ふふっと笑われた。

「いいよ。気にしないで。俺、店長のこと変だなんて思わないよ」

 ぐり、と先端を割って中に指の腹を押し込められたら、目の前に星が散り、もう限界なのだと思い知らされる。

「や……っ……ん、もぅ……っ許して……」
「イッちゃっていいよ。イッて? 俺の手で」

 優しく、暖かく。僕の顔を覗き込んで、何にも心配はないと、目の前の彼は言う。

 僕は涙の雫を弾けさせながら達した。
 森下くんの手の中に、熱い欲望を放った。

「……んん……っ、ぁ……ん……っ」

 足も腰も、ガクガクと震えている。
 はーはーと荒く呼吸を繰り返しながら、ふと自分の口元に手をやると、唾液が口の端から一筋漏れていた。
 こんな風になるくらい、僕は君に溶かされていたのか。
 恥ずかしい。けれど、すごく気持ちが良かった。

 森下くんが後処理をして、浴衣もきちんと着させてくれた。
 様子を伺っていたけれど、森下くんは寝転がる僕の頭を「すっごい可愛かった」と言って撫でてから、自分の布団に入ってしまった。

「もう、日付変わっちゃった。このままじゃ、朝ごはんの時間に起きれなくなっちゃうかもね。もう寝ようか」

 またにっこりと目を細められたので、素直に頷いてしまったけれど。
 されっぱなしで、僕は君にしなくていいのかな……。

 目を閉じられたので、声をかけるのも悪い気がした。
 暫くしたら、森下くんの寝息が聞こえてきたので、僕もようやく冷静さを取り戻していった。

 (どうしてこんなことに……)

 逃げないならしちゃうよ、という話から始まったんだっけ?
 あぁ違う、しても逃げないじゃん、という話か?
 いや、それよりも遡ると、事の発端は森下くんの告白が始まりで……。

 僕は彼を受け入れたということで、いいんだろうか?
 ここまでさせておいて、まだそんなことを考えている自分がいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

首輪をつけたら俺たちは

倉藤
BL
 家賃はいらない、その代わりペットになって欲しい。そう言って差し出された首輪を、林田蓮太郎は悩んだ末に受け取った。  貧乏大学生として日々アルバイトと節約にいそしむ林田。いつも懐は寂しく、将来への不安と絶望感が拭えない。そんなどん底の毎日を送っていたところに話しかけてきた謎の男、鬼崎亮平。男はルームシェアという形で林田に住む場所をタダで提供してくれるという。それだけならば良かったが、犬用の首輪をつけろと要求された。  林田は首輪をつけて共に暮らすことを決意する。そしてルームシェアがスタートするも、鬼崎は硬派で優しく、思っていたような展開にならない。手を出されないことに焦れた林田は自分から悪戯を仕掛けてしまった。しかしどんなに身体の距離縮めても、なぜか鬼崎の心はまだ遠くにある。———ねぇ、鬼崎さん。俺のことどう想ってるの? ◇自作の短編【ご主人様とルームシェア】を一人称表記に直して長編に書き換えたものです ◇変更点→後半部、攻めの設定等々 ◇R18シーン多めかと思われます ◇シリアス注意 他サイトにも掲載

【完】俺が"しり"を愛でるようになった、その訳とその記憶とその結果について

たまとら
BL
ある夜、イースタンの屋敷の執務室にしりが現れた。

王様のナミダ

白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。 端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。 驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。 ※会長受けです。 駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

こんな異世界望んでません!

アオネコさん
BL
突然異世界に飛ばされてしまった高校生の黒石勇人(くろいしゆうと) ハーレムでキャッキャウフフを目指す勇人だったがこの世界はそんな世界では無かった…(ホラーではありません) 現在不定期更新になっています。(new) 主人公総受けです 色んな攻め要員います 人外いますし人の形してない攻め要員もいます 変態注意報が発令されてます BLですがファンタジー色強めです 女性は少ないですが出てくると思います 注)性描写などのある話には☆マークを付けます 無理矢理などの描写あり 男性の妊娠表現などあるかも グロ表記あり 奴隷表記あり 四肢切断表現あり 内容変更有り 作者は文才をどこかに置いてきてしまったのであしからず…現在捜索中です 誤字脱字など見かけましたら作者にお伝えくださいませ…お願いします 2023.色々修正中

たとえ性別が変わっても

てと
BL
ある日。親友の性別が変わって──。 ※TS要素を含むBL作品です。

捨てられ子供は愛される

やらぎはら響
BL
奴隷のリッカはある日富豪のセルフィルトに出会い買われた。 リッカの愛され生活が始まる。 タイトルを【奴隷の子供は愛される】から改題しました。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

処理中です...