8 / 25
遠征
しおりを挟む
「遠征?」
「はい。行きだけで1ヶ月はかかるので、かなり遠くの遠征になるそうです。」
執事さんからレイン様の遠征を聞く。遠くに行くようで、半年は帰って来られないようだ。僕は、彼に御守りを作りたくて庭園へと向かう。1つの花を摘み、それを加工してペンダントにする。
レイン様をお見送りする時に
「あの、今回の遠征はかなりのものだと聞いて、お守りを、作りました。良ければ、、」
とそっとペンダントを差し出す。するとレイン様は信じられないものも見るような目で僕とペンダントを交互に見る。何とも言えない時間が流れる。それから何秒かしてレイン様がそっとペンダントを持ち上げる。
「媚び売りか、、、ふん、いいだろう乗ってやる。」
そう僕に告げ、ペンダントを首にかけると馬車へと乗っていった。
何をしてもレイン様の僕に対する評価は変わらない。
分かっていたはずだがズキンと心臓が痛む。
ぐっと涙を堪えながら屋敷へと引き返して行った。
自室に戻りレイン様がいない間に任された仕事に取り掛かろうとした時、コンコンと音がし、執事さんが入って来た。
「奥様、少し宜しいでしょうか。レイン様の奥様に対するあの態度についてなんですが、」
「レイン様の?うん、話して欲しいです!」
と息巻く。レイン様のあの態度の理由が分かるのだ。
僕はこれをきっかけにレイン様に寄り添えたらいいと思うのだ。執事さんの言葉に身構える。
「レイン様は幼い頃からあの美貌でして、それはもう沢山の貴族の方に迫られていました。レイン様はその頃から人間不信になられたようで、昔から傍で仕えていた者にだけ、心を許すようになりました。それは大人になっても続き、婚約までいくもののレイン様のあの態度に誰も耐えられず、ご子息、ご令嬢は1ヶ月で逃げ出しました。元々、親同士の勝手な婚約だったので、、、ただ、奥様だけは、レイン様に寄り添って下さった。たった1人の特別な方です。レイン様は今まで都でずっと仕事に明け暮れていましたが、奥様がいらっしゃってから、ずっとこの屋敷にいらっしゃるのです。、、、レイン様が以前よりも明るくなったとこの家のもの一同申しております。」
と震える声で何とか声を絞り出している執事さん。
レイン様の過去を思うと自然とポロポロ涙が零れ落ちる。
「レイン様にそんな、、、辛い過去があったのですね、、、。僕がレイン様を少しでも支えられるのなら支えたい。」
僕は初め、レイン様に絶望した。昔のレイン様と違いすぎて。ただ、その原因がレイン様の過去にあるならそれを拭えるような今を僕がレイン様に与えられたら良い。
僕はこの恋を諦めないだろう
「はい。行きだけで1ヶ月はかかるので、かなり遠くの遠征になるそうです。」
執事さんからレイン様の遠征を聞く。遠くに行くようで、半年は帰って来られないようだ。僕は、彼に御守りを作りたくて庭園へと向かう。1つの花を摘み、それを加工してペンダントにする。
レイン様をお見送りする時に
「あの、今回の遠征はかなりのものだと聞いて、お守りを、作りました。良ければ、、」
とそっとペンダントを差し出す。するとレイン様は信じられないものも見るような目で僕とペンダントを交互に見る。何とも言えない時間が流れる。それから何秒かしてレイン様がそっとペンダントを持ち上げる。
「媚び売りか、、、ふん、いいだろう乗ってやる。」
そう僕に告げ、ペンダントを首にかけると馬車へと乗っていった。
何をしてもレイン様の僕に対する評価は変わらない。
分かっていたはずだがズキンと心臓が痛む。
ぐっと涙を堪えながら屋敷へと引き返して行った。
自室に戻りレイン様がいない間に任された仕事に取り掛かろうとした時、コンコンと音がし、執事さんが入って来た。
「奥様、少し宜しいでしょうか。レイン様の奥様に対するあの態度についてなんですが、」
「レイン様の?うん、話して欲しいです!」
と息巻く。レイン様のあの態度の理由が分かるのだ。
僕はこれをきっかけにレイン様に寄り添えたらいいと思うのだ。執事さんの言葉に身構える。
「レイン様は幼い頃からあの美貌でして、それはもう沢山の貴族の方に迫られていました。レイン様はその頃から人間不信になられたようで、昔から傍で仕えていた者にだけ、心を許すようになりました。それは大人になっても続き、婚約までいくもののレイン様のあの態度に誰も耐えられず、ご子息、ご令嬢は1ヶ月で逃げ出しました。元々、親同士の勝手な婚約だったので、、、ただ、奥様だけは、レイン様に寄り添って下さった。たった1人の特別な方です。レイン様は今まで都でずっと仕事に明け暮れていましたが、奥様がいらっしゃってから、ずっとこの屋敷にいらっしゃるのです。、、、レイン様が以前よりも明るくなったとこの家のもの一同申しております。」
と震える声で何とか声を絞り出している執事さん。
レイン様の過去を思うと自然とポロポロ涙が零れ落ちる。
「レイン様にそんな、、、辛い過去があったのですね、、、。僕がレイン様を少しでも支えられるのなら支えたい。」
僕は初め、レイン様に絶望した。昔のレイン様と違いすぎて。ただ、その原因がレイン様の過去にあるならそれを拭えるような今を僕がレイン様に与えられたら良い。
僕はこの恋を諦めないだろう
81
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!

その部屋に残るのは、甘い香りだけ。
ロウバイ
BL
愛を思い出した攻めと愛を諦めた受けです。
同じ大学に通う、ひょんなことから言葉を交わすようになったハジメとシュウ。
仲はどんどん深まり、シュウからの告白を皮切りに同棲するほどにまで関係は進展するが、男女の恋愛とは違い明確な「ゴール」のない二人の関係は、失速していく。
一人家で二人の関係を見つめ悩み続けるシュウとは対照的に、ハジメは毎晩夜の街に出かけ二人の関係から目を背けてしまう…。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

会計のチャラ男は演技です!
りんか
BL
ここは山奥に作られた金持ちの学園 雨ノ宮学園。いわゆる王道学園だ。その学園にいわゆるチャラ男会計がいた。しかし、なんとそのチャラ男はまさかの演技!?
アンチマリモな転校生の登場で生徒会メンバーから嫌われて1人になってしまう主人公でも、生徒会メンバーのために必死で頑張った結果……
そして主人公には暗い過去が・・・
チャラ男非王道な学園物語
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる