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大好きな人との!?

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    初投稿です!拙作なのですごーくあたたかい目で見て頂ければです!




トントン

 父の書斎の扉を軽く叩く

「入りなさい」

 中から声がかかりそれに従い書斎の中へと入っていく。

 ワーズベル・エル  20歳 容姿は美男美女の両親の血をとてつもなく薄く引いた凡庸である。この20年間特に大きな出来事もなく学力も体力も平均 友人に恵まれ両親にも愛されて育つ、絵に描いたような家庭だ。

 そんな僕に人生最大の出来事が起ころうとしている。


 「、、、は、お父様、、、いま、、何と、」

  「だから、、、その、、、公爵家のマドーゼル・レイン様との婚約を、、、」

 父の歯切れの悪い返答を不思議に思いながらもその言葉を反芻する。
 "マドーゼル・レイン"
 その名前は僕の心を踊らせ 酷く浮かれた気分にさせる。僕が愛してやまない人の名前。
  嘘、うそ、嘘だ。僕なんかに?婚約を?
僕は浮かれ父の前だというのに口角が上がるのを抑えることが出来なかった。が、父の次の言葉に口角は下がっていった。

「、、、政略結婚だけどな。」

 父は僕の恋心を見透かしたかのように呟く。
"政略結婚" その言葉に僕の心はどん底へと突き落とされる。が、大好きな人との結婚には間違いないのだ。
 政略結婚ということはレイン様もそこに愛は無いということで了承しているのだろう。
 レイン様を想いはや10年。嬉しさの半面、レイン様から微塵たりとも想われていなかったことにショックを受ける複雑な心境のまま、部屋を後にした。
















 部屋に入り夕食の時間までベッドにうつ伏せになる。
 泣いていると悟られないよう枕に顔を押し付け静かに涙を流した。
 

 ふと気が付くと窓の向こうが明るくなっており、昨日はそのまま寝てしまっていたのだと気が付く。
 ベッドから降り、洗面所へと向かう。
 鏡には目が真っ赤に腫れており、誰から見ても「泣いていたな」と勘づかれる僕が映っていた。
 これは父と母に心配されるか、と思ったが何も触れられることはなくあっさりとしたものだった。
 こんなものかと拍子抜けし、レイン様への気持ちにも少し整理がついた。
 政略結婚でも何でも構わない。僕のこの気持ちに嘘偽りはないのだから。レイン様を生涯愛し抜こう。そう意気込んだ時、ふとノックの音がした。
 ドアを開けると、今にも泣きそうな兄が。兄も絶世の美形で僕だけがぼんやりとした顔立ちなのだ。
 兄は僕の顔を見るなり抱きついて来た。

「ああ、僕の可愛い弟よ、泣いていたのだね。
  政略結婚だから何だ、きっとマドーゼル公爵もエルを愛しているに違いない。」
 
そう言って僕の背中を擦る。
 政略結婚と聞き、僕の恋心を知っている兄は僕を慰めに駆けつけてくれたのだろう。
 兄の優しさに傷が癒えてじんわりと心が温かくなる。
 兄の背中に腕を回し抱きつく

 「お兄様、ありがとう。でも、大丈夫です。大好きな方と結婚できるのですから。この想いを背負って生きていくことはとっくに覚悟できています。」

 と、逆に兄を宥めるように微笑んでみせる。
 兄はまた顔を崩壊させ、

「ああ、なんていい子なんだ!!」

と、先程より強く抱きつかれる。それに僕も嬉しくなり抱きつく。そんなことをして僕の心も決まり、公爵家へと旅立って行くことになった。
 レイン様への期待と、これからの不安を抱えながら

 
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