1 / 25
大好きな人との!?
しおりを挟む
初投稿です!拙作なのですごーくあたたかい目で見て頂ければです!
トントン
父の書斎の扉を軽く叩く
「入りなさい」
中から声がかかりそれに従い書斎の中へと入っていく。
ワーズベル・エル 20歳 容姿は美男美女の両親の血をとてつもなく薄く引いた凡庸である。この20年間特に大きな出来事もなく学力も体力も平均 友人に恵まれ両親にも愛されて育つ、絵に描いたような家庭だ。
そんな僕に人生最大の出来事が起ころうとしている。
「、、、は、お父様、、、いま、、何と、」
「だから、、、その、、、公爵家のマドーゼル・レイン様との婚約を、、、」
父の歯切れの悪い返答を不思議に思いながらもその言葉を反芻する。
"マドーゼル・レイン"
その名前は僕の心を踊らせ 酷く浮かれた気分にさせる。僕が愛してやまない人の名前。
嘘、うそ、嘘だ。僕なんかに?婚約を?
僕は浮かれ父の前だというのに口角が上がるのを抑えることが出来なかった。が、父の次の言葉に口角は下がっていった。
「、、、政略結婚だけどな。」
父は僕の恋心を見透かしたかのように呟く。
"政略結婚" その言葉に僕の心はどん底へと突き落とされる。が、大好きな人との結婚には間違いないのだ。
政略結婚ということはレイン様もそこに愛は無いということで了承しているのだろう。
レイン様を想いはや10年。嬉しさの半面、レイン様から微塵たりとも想われていなかったことにショックを受ける複雑な心境のまま、部屋を後にした。
部屋に入り夕食の時間までベッドにうつ伏せになる。
泣いていると悟られないよう枕に顔を押し付け静かに涙を流した。
ふと気が付くと窓の向こうが明るくなっており、昨日はそのまま寝てしまっていたのだと気が付く。
ベッドから降り、洗面所へと向かう。
鏡には目が真っ赤に腫れており、誰から見ても「泣いていたな」と勘づかれる僕が映っていた。
これは父と母に心配されるか、と思ったが何も触れられることはなくあっさりとしたものだった。
こんなものかと拍子抜けし、レイン様への気持ちにも少し整理がついた。
政略結婚でも何でも構わない。僕のこの気持ちに嘘偽りはないのだから。レイン様を生涯愛し抜こう。そう意気込んだ時、ふとノックの音がした。
ドアを開けると、今にも泣きそうな兄が。兄も絶世の美形で僕だけがぼんやりとした顔立ちなのだ。
兄は僕の顔を見るなり抱きついて来た。
「ああ、僕の可愛い弟よ、泣いていたのだね。
政略結婚だから何だ、きっとマドーゼル公爵もエルを愛しているに違いない。」
そう言って僕の背中を擦る。
政略結婚と聞き、僕の恋心を知っている兄は僕を慰めに駆けつけてくれたのだろう。
兄の優しさに傷が癒えてじんわりと心が温かくなる。
兄の背中に腕を回し抱きつく
「お兄様、ありがとう。でも、大丈夫です。大好きな方と結婚できるのですから。この想いを背負って生きていくことはとっくに覚悟できています。」
と、逆に兄を宥めるように微笑んでみせる。
兄はまた顔を崩壊させ、
「ああ、なんていい子なんだ!!」
と、先程より強く抱きつかれる。それに僕も嬉しくなり抱きつく。そんなことをして僕の心も決まり、公爵家へと旅立って行くことになった。
レイン様への期待と、これからの不安を抱えながら
トントン
父の書斎の扉を軽く叩く
「入りなさい」
中から声がかかりそれに従い書斎の中へと入っていく。
ワーズベル・エル 20歳 容姿は美男美女の両親の血をとてつもなく薄く引いた凡庸である。この20年間特に大きな出来事もなく学力も体力も平均 友人に恵まれ両親にも愛されて育つ、絵に描いたような家庭だ。
そんな僕に人生最大の出来事が起ころうとしている。
「、、、は、お父様、、、いま、、何と、」
「だから、、、その、、、公爵家のマドーゼル・レイン様との婚約を、、、」
父の歯切れの悪い返答を不思議に思いながらもその言葉を反芻する。
"マドーゼル・レイン"
その名前は僕の心を踊らせ 酷く浮かれた気分にさせる。僕が愛してやまない人の名前。
嘘、うそ、嘘だ。僕なんかに?婚約を?
僕は浮かれ父の前だというのに口角が上がるのを抑えることが出来なかった。が、父の次の言葉に口角は下がっていった。
「、、、政略結婚だけどな。」
父は僕の恋心を見透かしたかのように呟く。
"政略結婚" その言葉に僕の心はどん底へと突き落とされる。が、大好きな人との結婚には間違いないのだ。
政略結婚ということはレイン様もそこに愛は無いということで了承しているのだろう。
レイン様を想いはや10年。嬉しさの半面、レイン様から微塵たりとも想われていなかったことにショックを受ける複雑な心境のまま、部屋を後にした。
部屋に入り夕食の時間までベッドにうつ伏せになる。
泣いていると悟られないよう枕に顔を押し付け静かに涙を流した。
ふと気が付くと窓の向こうが明るくなっており、昨日はそのまま寝てしまっていたのだと気が付く。
ベッドから降り、洗面所へと向かう。
鏡には目が真っ赤に腫れており、誰から見ても「泣いていたな」と勘づかれる僕が映っていた。
これは父と母に心配されるか、と思ったが何も触れられることはなくあっさりとしたものだった。
こんなものかと拍子抜けし、レイン様への気持ちにも少し整理がついた。
政略結婚でも何でも構わない。僕のこの気持ちに嘘偽りはないのだから。レイン様を生涯愛し抜こう。そう意気込んだ時、ふとノックの音がした。
ドアを開けると、今にも泣きそうな兄が。兄も絶世の美形で僕だけがぼんやりとした顔立ちなのだ。
兄は僕の顔を見るなり抱きついて来た。
「ああ、僕の可愛い弟よ、泣いていたのだね。
政略結婚だから何だ、きっとマドーゼル公爵もエルを愛しているに違いない。」
そう言って僕の背中を擦る。
政略結婚と聞き、僕の恋心を知っている兄は僕を慰めに駆けつけてくれたのだろう。
兄の優しさに傷が癒えてじんわりと心が温かくなる。
兄の背中に腕を回し抱きつく
「お兄様、ありがとう。でも、大丈夫です。大好きな方と結婚できるのですから。この想いを背負って生きていくことはとっくに覚悟できています。」
と、逆に兄を宥めるように微笑んでみせる。
兄はまた顔を崩壊させ、
「ああ、なんていい子なんだ!!」
と、先程より強く抱きつかれる。それに僕も嬉しくなり抱きつく。そんなことをして僕の心も決まり、公爵家へと旅立って行くことになった。
レイン様への期待と、これからの不安を抱えながら
98
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
その部屋に残るのは、甘い香りだけ。
ロウバイ
BL
愛を思い出した攻めと愛を諦めた受けです。
同じ大学に通う、ひょんなことから言葉を交わすようになったハジメとシュウ。
仲はどんどん深まり、シュウからの告白を皮切りに同棲するほどにまで関係は進展するが、男女の恋愛とは違い明確な「ゴール」のない二人の関係は、失速していく。
一人家で二人の関係を見つめ悩み続けるシュウとは対照的に、ハジメは毎晩夜の街に出かけ二人の関係から目を背けてしまう…。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです
俺はすでに振られているから
いちみやりょう
BL
▲花吐き病の設定をお借りしている上に変えている部分もあります▲
「ごほっ、ごほっ、はぁ、はぁ」
「要、告白してみたら? 断られても玉砕したら諦められるかもしれないよ?」
会社の同期の杉田が心配そうに言ってきた。
俺の片思いと片思いの相手と病気を杉田だけが知っている。
以前会社で吐き気に耐えきれなくなって給湯室まで駆け込んで吐いた時に、心配で様子見にきてくれた杉田に花を吐くのを見られてしまったことがきっかけだった。ちなみに今も給湯室にいる。
「無理だ。断られても諦められなかった」
「え? 告白したの?」
「こほっ、ごほ、したよ。大学生の時にね」
「ダメだったんだ」
「悪いって言われたよ。でも俺は断られたのにもかかわらず諦めきれずに、こんな病気を発病してしまった」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる