3 / 60
3. 8月 お菓子作り
しおりを挟む
残暑厳しい8月下旬。
エアコンを稼働させた快適なキッチンで、私は鼻歌を歌う。ミディアムショートをゴムでひとつにくくりながら。
今日は母の誕生日。好物のラムレーズンサンドを手作りしようと思っていた。
まずはクッキー生地作りから。
室温に戻したバターをゴムベラで練り、グラニュー糖と塩を加えて混ぜる。
ゴムベラから泡立て器に持ち替えて、白っぽくなるまで練ってから、卵黄を投入。
しっかり混ぜて乳化させてから、アーモンドプードル・ふるっておいた薄力粉を加える。
粉っぽさがなくなるまで、切るように混ぜて、
「最後は、手で押さえる」
のが私のやり方。
まとまったら、ラップで挟んで、冷蔵庫へ。一時間冷やし固める。
クッキー生地を作る時に分けておいた卵白をボウルに入れて、ラップを張り、これも冷蔵庫へ。
お菓子作りは趣味で、失敗をしながらもいろいろと作ってきた。
クッキー、ロールケーキ、プリン、シフォンケーキなどなど。
ラムレーズンサンドを作るのは初めて。数日前から様々なレシピサイトを見て、勉強をした。
お菓子を作っている時が、一番楽しい。うまくできるかなあと期待が膨らむ。
食べてくれた人が美味しい顔で頬張ってくれるのが、なにより楽しい瞬間。
怒っていても、悲しいことがあっても、お菓子はみんなを笑顔にする。美味しい物は正義だ。
紅茶を飲みながら、お菓子作りの動画を見て時間を待ち、冷やしたクッキー生地を取り出す。
アクリルルーラーを使って、めん棒で伸ばして、生地の厚みを均一にする。もう一度冷蔵庫へ。
お菓子作りは手間と時間がかかるし、後片付けもしないといけない。
だからなのか手作りお菓子をあげると、ほとんどの人からすごいねと言われる。
私はそんなにすごいことだと思わない。ただの趣味で気軽に作っているだけから。
でも、プロはすごいと思う。何十種類もあるケーキを作って店頭に並べて、お客さんの目と舌を楽しませている。
表からは見えない努力と苦労で技術を習得し、美味しいものが出来上がる。
私はパティシエたちを心から尊敬している。
憧れるけれど、私は趣味で、満足かな。
固まった生地に包丁を入れて、長方形にカット。これを天板に移して予熱をしたオーブンで焼き上げる。
「15分くらいかな」
焼き上がったら、冷めるのを待つ。熱いと、これから作るクリームを挟めない。
その間に、バタークリーム作り。
お鍋に水とグラニュー糖を入れて煮詰めて、シロップを作る。
冷蔵庫から卵白を取り出し、メレンゲ作り。
ハンドミキサーを低速で混ぜて、白っぽくなったらさっき作ったシロップを少しずつ投入。
メレンゲが温まって、ツノが立ったら、メレンゲの完成。
常温に戻した無塩バターにメレンゲ加えて混ぜて、50度のお湯で融かしたホワイトチョコと塩をひとつまみ。
最後にラムレーズンの汁気をとって投入。
ラムレーズンは昨日のうちに仕込んでおいた。
水とグラニュー糖を沸騰させて、レーズンを入れて煮詰めてから、ラム酒を加えたものを冷蔵庫の奥に。
たぶん母には見つかっていないはず。
出来上がったバタークリームは、冷蔵庫で冷やしておく。
クッキーが冷めたのを確認して、バタークリームを冷蔵庫から取り出した。
クッキーにバタークリームをのせて、もう一枚のクッキーでサンド。
8個作って、再び冷蔵庫へ。
少し固まった頃に冷蔵庫から取り出し、バタークリームをスプーンの裏できれいに整えて、
「完成」
見た目から美味しそうなラムレーズンサンドが出来上がった。
バターとラム酒のいい香りが、部屋中に漂っている。
透明袋に入れて、シーラーで閉じて、再び冷蔵庫へ。
出来上がりをすぐに食べられるのが手作りの一番の楽しみで、味見もしたい。
だけど、これは母にプレゼントするものだから。
私は食べたい気持ちを堪えて、母の帰宅を待った。
次回⇒4.バリキャリ母
エアコンを稼働させた快適なキッチンで、私は鼻歌を歌う。ミディアムショートをゴムでひとつにくくりながら。
今日は母の誕生日。好物のラムレーズンサンドを手作りしようと思っていた。
まずはクッキー生地作りから。
室温に戻したバターをゴムベラで練り、グラニュー糖と塩を加えて混ぜる。
ゴムベラから泡立て器に持ち替えて、白っぽくなるまで練ってから、卵黄を投入。
しっかり混ぜて乳化させてから、アーモンドプードル・ふるっておいた薄力粉を加える。
粉っぽさがなくなるまで、切るように混ぜて、
「最後は、手で押さえる」
のが私のやり方。
まとまったら、ラップで挟んで、冷蔵庫へ。一時間冷やし固める。
クッキー生地を作る時に分けておいた卵白をボウルに入れて、ラップを張り、これも冷蔵庫へ。
お菓子作りは趣味で、失敗をしながらもいろいろと作ってきた。
クッキー、ロールケーキ、プリン、シフォンケーキなどなど。
ラムレーズンサンドを作るのは初めて。数日前から様々なレシピサイトを見て、勉強をした。
お菓子を作っている時が、一番楽しい。うまくできるかなあと期待が膨らむ。
食べてくれた人が美味しい顔で頬張ってくれるのが、なにより楽しい瞬間。
怒っていても、悲しいことがあっても、お菓子はみんなを笑顔にする。美味しい物は正義だ。
紅茶を飲みながら、お菓子作りの動画を見て時間を待ち、冷やしたクッキー生地を取り出す。
アクリルルーラーを使って、めん棒で伸ばして、生地の厚みを均一にする。もう一度冷蔵庫へ。
お菓子作りは手間と時間がかかるし、後片付けもしないといけない。
だからなのか手作りお菓子をあげると、ほとんどの人からすごいねと言われる。
私はそんなにすごいことだと思わない。ただの趣味で気軽に作っているだけから。
でも、プロはすごいと思う。何十種類もあるケーキを作って店頭に並べて、お客さんの目と舌を楽しませている。
表からは見えない努力と苦労で技術を習得し、美味しいものが出来上がる。
私はパティシエたちを心から尊敬している。
憧れるけれど、私は趣味で、満足かな。
固まった生地に包丁を入れて、長方形にカット。これを天板に移して予熱をしたオーブンで焼き上げる。
「15分くらいかな」
焼き上がったら、冷めるのを待つ。熱いと、これから作るクリームを挟めない。
その間に、バタークリーム作り。
お鍋に水とグラニュー糖を入れて煮詰めて、シロップを作る。
冷蔵庫から卵白を取り出し、メレンゲ作り。
ハンドミキサーを低速で混ぜて、白っぽくなったらさっき作ったシロップを少しずつ投入。
メレンゲが温まって、ツノが立ったら、メレンゲの完成。
常温に戻した無塩バターにメレンゲ加えて混ぜて、50度のお湯で融かしたホワイトチョコと塩をひとつまみ。
最後にラムレーズンの汁気をとって投入。
ラムレーズンは昨日のうちに仕込んでおいた。
水とグラニュー糖を沸騰させて、レーズンを入れて煮詰めてから、ラム酒を加えたものを冷蔵庫の奥に。
たぶん母には見つかっていないはず。
出来上がったバタークリームは、冷蔵庫で冷やしておく。
クッキーが冷めたのを確認して、バタークリームを冷蔵庫から取り出した。
クッキーにバタークリームをのせて、もう一枚のクッキーでサンド。
8個作って、再び冷蔵庫へ。
少し固まった頃に冷蔵庫から取り出し、バタークリームをスプーンの裏できれいに整えて、
「完成」
見た目から美味しそうなラムレーズンサンドが出来上がった。
バターとラム酒のいい香りが、部屋中に漂っている。
透明袋に入れて、シーラーで閉じて、再び冷蔵庫へ。
出来上がりをすぐに食べられるのが手作りの一番の楽しみで、味見もしたい。
だけど、これは母にプレゼントするものだから。
私は食べたい気持ちを堪えて、母の帰宅を待った。
次回⇒4.バリキャリ母
40
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる