9 / 9
第9話
しおりを挟む
「ママ! それ! 消しゴム!」
ママから答えをもらったケントくんは、ポケットからペンを取り出しました。
消しゴムをかんがえながら、地面に白い長方形の絵を描きました。
むくむくとふくれあがった消しゴムで、青いインクをゴシゴシとこすってみました。
すると、こすった部分が消えていきます。
小さい消しゴムなので、ほんの少ししか消えていないけれど、一歩前進しました。
「ママにもできる?」
ママのために、消しゴムを描きました。
「パパもやるよ」
「キヨカもやる」
家族の分を描いて、四人でこすっていると、話しあっていた大人たちもやってきました。
ケントくんは大人たちの分の消しゴムを描きました。
「手伝おうか」
「わたしもやるよ」
逃げていた大人や子供たちが、戻ってきました。
ケントくんは、せっせと消しゴムを描いていきます。
消しゴムをもらった人たちが、青いインクのそばに座りこんで、ゴシゴシこすっていきます。
とても時間がかかると思えた作業は、たくさんの人がくわわってくれたので、どんどん進んでいきました。
そして、怪獣だった青いインクは、あとかたもなく、きれいになくなりました。
「終わった」
「やったー」
近くにいる人たちでハイタッチをして、喜びあいました。
そしてみんなかえっていきます。もう夕方になっていました。
「ぼくたちもかえろう」
パパがいいました。
退場ゲートに向かう途中には、ケントくんが描いたものがまだ残っていました。
落書きを消しながら進みます。
人を困らせたカラフルなフンも、ネズミも。楽しんでくれた人もいたお花も。ぜんぶ消しました。
最後に、消しゴムのひとかけらと、不思議なペンが残りました。
ペンは持ってかえりたくありません。ケントくんには、もういらないものです。
ゴミ箱に捨てようと思いましたが、誰かが見つけるとまた大変なことになってしまうかもしれません。
残った消しゴムで、こすってみたら、みるみるうちになくなっていきました。
そしてペンが消えるのと同時に、消しゴムもなくなりました。
「ケント」
パパに呼ばれてケントくんは走っていきました。パパとママとキヨカちゃんが待っているところへと。
Fin.
最後までお読みくださって、ありがとうございました。
第2回きずな児童書大賞にエントリーしています。
投票いただけますと、嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
ママから答えをもらったケントくんは、ポケットからペンを取り出しました。
消しゴムをかんがえながら、地面に白い長方形の絵を描きました。
むくむくとふくれあがった消しゴムで、青いインクをゴシゴシとこすってみました。
すると、こすった部分が消えていきます。
小さい消しゴムなので、ほんの少ししか消えていないけれど、一歩前進しました。
「ママにもできる?」
ママのために、消しゴムを描きました。
「パパもやるよ」
「キヨカもやる」
家族の分を描いて、四人でこすっていると、話しあっていた大人たちもやってきました。
ケントくんは大人たちの分の消しゴムを描きました。
「手伝おうか」
「わたしもやるよ」
逃げていた大人や子供たちが、戻ってきました。
ケントくんは、せっせと消しゴムを描いていきます。
消しゴムをもらった人たちが、青いインクのそばに座りこんで、ゴシゴシこすっていきます。
とても時間がかかると思えた作業は、たくさんの人がくわわってくれたので、どんどん進んでいきました。
そして、怪獣だった青いインクは、あとかたもなく、きれいになくなりました。
「終わった」
「やったー」
近くにいる人たちでハイタッチをして、喜びあいました。
そしてみんなかえっていきます。もう夕方になっていました。
「ぼくたちもかえろう」
パパがいいました。
退場ゲートに向かう途中には、ケントくんが描いたものがまだ残っていました。
落書きを消しながら進みます。
人を困らせたカラフルなフンも、ネズミも。楽しんでくれた人もいたお花も。ぜんぶ消しました。
最後に、消しゴムのひとかけらと、不思議なペンが残りました。
ペンは持ってかえりたくありません。ケントくんには、もういらないものです。
ゴミ箱に捨てようと思いましたが、誰かが見つけるとまた大変なことになってしまうかもしれません。
残った消しゴムで、こすってみたら、みるみるうちになくなっていきました。
そしてペンが消えるのと同時に、消しゴムもなくなりました。
「ケント」
パパに呼ばれてケントくんは走っていきました。パパとママとキヨカちゃんが待っているところへと。
Fin.
最後までお読みくださって、ありがとうございました。
第2回きずな児童書大賞にエントリーしています。
投票いただけますと、嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
69
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(9件)
あなたにおすすめの小説
笛ふきの少年とお姫さま
山城木緑
絵本
ある村に笛ふきの少年がおりました。
村人たちは少年の音色に日々癒されていました。
そこへお姫さま一行が現れます。
少年の奏でる笛の音に魅せられたお姫さまはお城では教えてもらえない大切な心を学んでいきます……。
べっさつ うごく!ちびりゅうたちの だましえ
関谷俊博
絵本
長くなって、おまけじゃなくなっちゃいました。
フリースペースが足らなくなったので、別冊です。
今回、初めて3D作成アプリを使ってみました。
【完結】小さな大冒険
衿乃 光希
絵本
動物の子供たちが、勇気を出して一歩を踏み出す、小さくても大きな冒険物語。主人公は毎回変わります。作者は絵を描けないので、あなたの中でお好きな絵を想像して読んでくださいね。漢字にルビは振っていません。絵本大賞にエントリーしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ペンという子どもにとっても身近で普段から使用しているものがモチーフになってるのが良いですね。大事なことに気づいて一歩成長したケントくんが素敵でした。(訪問&投票がギリギリになってしまってごめんなさいです)
蒼真先生、読みに来てくださったんですね。わーい、嬉しいです。
感覚と閃きで書いたので、身近な物が良いんだと、逆に教えて頂きました。
勉強になります。
感想をくださってありがとうございます。
最終話まで読みました(*´▽`*)
ケントくんのいたずらの規模がどんどんと大きくなっていくのが、子どもの無敵さだなぁと思いました。
自分のしたことにきちんと最後まで責任をもつケントくん、素敵です。
ママに答えをもらって、家族みんなで消しゴムを使い消していくなか、戻ってきて手伝いを申し出てくれる人たちがいて良い人たちだなぁと和みました!
素敵な物語をありがとうございます(*´▽`*)
秋月さん、読んでくださってありがとうございます。
責任を取ることも大切だけど、困っている人を助けることも大切だよ。
と助け合える世の中であって欲しいという希望も乗せました。
感想、ありがとうございました。
さっそく読んでくださってありがとうございます。
たくさん褒めてくださいまして、嬉しいです。
大人も子供さんにも、一緒に読んで頂けるようにと気をつけて書いたので、違和感なく読み進められると書いて頂けて、安心しています。
感想まで書いてくださり、ありがとうございました。