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第3話
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ケントくんは個室から飛びだしました。
後ろから「なんだこれ!?」と声が聞こえてきましたが、気にしません。ケントくんの頭の中は、なにを描こうかでいっぱいだからです。
てはじめに、トイレの建物に沿って、お花を描いてみました。
黄色や青のチューリップ、赤やオレンジのヒマワリ、茎と葉っぱを描くと、ぽよーんと起き上がりました。
「わ! お花」
キヨカちゃんぐらいの年の女の子が、嬉しそうな声をあげてくれました。
おじいさんやおばあさんも、立ち止まって見つめてくれます。
ケントくんは、オレが描いたんだぜと言わなかったけれど、少しだけ、えっへんと思いながら、トイレから離れました。
次はなにを描こうかなとキョロキョロしていると、
「ケント!」
パパが走ってきました。
「迷子になってるのかと思ったよ。おそかったけど、なにかあったのか?」
「なにもないよ」
ケントくんは、パパに不思議なペンを拾ったことを言いませんでした。ポケットにそっとしまいこみます。
このペンはもう自分のもの。パパに言ったら取り上げられてしまう。そう思ったからでした。
しばらくは家族について行って、キヨカちゃんに合わせた乗りたくないアトラクションに乗っていました。
汽車に乗って草花が植わっているところを行くだけ。キヨカちゃんは動物の置物を見つけて喜んでいるけれど、ケントくんは楽しくありません。
メリーゴーランドも、上下に動きながら、くるくると同じところを回るだけ。汽車よりおもしろくありません。
観覧車に乗りたくてパパに言ってみたけれど、キヨカちゃんが怖がるから、もう少し大きくなってからみんなで乗ろうと言われてしまいました。
「もういい! オレひとりで遊んでくる。閉園時間に出口のゲートに集合でいいだろう!」
「待ちなさい!」
ちっとも楽しめないケントくんは、パパの静止の声も聞かず、だっとかけだしました。
ひとりでジェットコースターに乗ろうとして、身長制限で止められてしまいます。
ひとりで観覧車に乗ろうとしたけれど、フリーパス券はパパが持っているので、乗れません。
いまさら、家族のところに戻ることもできなくて、むしゃくしゃしました。
アトラクションで遊ぶのは諦めて、絵を描こう。ポケットからペンを取り出しました。
そこで思いついたのです。楽しくなかったメリーゴーランドに仕返しをしてやろうと。
後ろから「なんだこれ!?」と声が聞こえてきましたが、気にしません。ケントくんの頭の中は、なにを描こうかでいっぱいだからです。
てはじめに、トイレの建物に沿って、お花を描いてみました。
黄色や青のチューリップ、赤やオレンジのヒマワリ、茎と葉っぱを描くと、ぽよーんと起き上がりました。
「わ! お花」
キヨカちゃんぐらいの年の女の子が、嬉しそうな声をあげてくれました。
おじいさんやおばあさんも、立ち止まって見つめてくれます。
ケントくんは、オレが描いたんだぜと言わなかったけれど、少しだけ、えっへんと思いながら、トイレから離れました。
次はなにを描こうかなとキョロキョロしていると、
「ケント!」
パパが走ってきました。
「迷子になってるのかと思ったよ。おそかったけど、なにかあったのか?」
「なにもないよ」
ケントくんは、パパに不思議なペンを拾ったことを言いませんでした。ポケットにそっとしまいこみます。
このペンはもう自分のもの。パパに言ったら取り上げられてしまう。そう思ったからでした。
しばらくは家族について行って、キヨカちゃんに合わせた乗りたくないアトラクションに乗っていました。
汽車に乗って草花が植わっているところを行くだけ。キヨカちゃんは動物の置物を見つけて喜んでいるけれど、ケントくんは楽しくありません。
メリーゴーランドも、上下に動きながら、くるくると同じところを回るだけ。汽車よりおもしろくありません。
観覧車に乗りたくてパパに言ってみたけれど、キヨカちゃんが怖がるから、もう少し大きくなってからみんなで乗ろうと言われてしまいました。
「もういい! オレひとりで遊んでくる。閉園時間に出口のゲートに集合でいいだろう!」
「待ちなさい!」
ちっとも楽しめないケントくんは、パパの静止の声も聞かず、だっとかけだしました。
ひとりでジェットコースターに乗ろうとして、身長制限で止められてしまいます。
ひとりで観覧車に乗ろうとしたけれど、フリーパス券はパパが持っているので、乗れません。
いまさら、家族のところに戻ることもできなくて、むしゃくしゃしました。
アトラクションで遊ぶのは諦めて、絵を描こう。ポケットからペンを取り出しました。
そこで思いついたのです。楽しくなかったメリーゴーランドに仕返しをしてやろうと。
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