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44.妖狐
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最初の行方不明者が届けられてから二週間。全行方不明者は5人になった。
交野市以降は、29日京都府笠置町で1人。
そこでぱったりと途絶えた。
妖狐は吉野から岩湧山、飯盛山、交野市から笠置、と山を使って逃げている。
北に向かっているのなら、京都との県境付近に塒があるのではと見当をつけ、県境から南に向かってハイキングコースを歩きながら、枯れている箇所がないかを調べて回った。
ハイキングコースを大きく外れての捜索は、自分たちが遭難する可能性があるので、無理はできなかった。
幽世側も動いているのか、京都と三重に妖狐が入った形跡はないらしいと、所長から聞いたのは7月末。
奈良側の捜索は、柳生町の辺りで冬樺が葉の枯れを発見し、匂いを辿りながらさらに南に向かい、針インターを越えた所だった。
奈良にいるのはほぼ確定され、調査にも熱が入る。
そして宇陀市と桜井市の境にある鳥見山で、夏樹が痕跡を発見した。
2日前に降ったゲリラ豪雨のせいで、水分を含んだ山の土はぬかるみ、歩きにくい状態だった。だからこそ、その痕跡に気づいた。
細い登山道の一部に深めのくぼみがあった。水が少しだけ溜まっていて、避けようと思ったところで、おかしいと気がついた。
「これ動物の足跡か?」
大きさはゾウの足跡に近い。ひときわ大きなくぼみの前に、四つの小さなくぼみ。それは先が尖っていて、爪を立てたように見えた。
野生動物の可能性もあるけど、それにしては大きすぎる。ここがアフリカならライオンかと思えなくもないけど、ハイキングができる山にライオンがいれば、騒ぎにならないわけがない。
霊感のない人には視えない妖だからこそ、目立たず生息できているのではと思えた。
所長と冬樺も呼んで見てもらうと、冬樺は間違いなく妖狐の足跡、それに匂いから父親だと断定した。
そこからはハイキングコースを外れて調査をすることになった。
冬樺の鼻を頼りに歩き回り、洞窟を見つけたのは新月前日の昼頃だった。
「間違いありません。あそこにいます」
冬樺は苦い物でも噛み潰したかのような表情で、洞窟に目をやった。
「一度帰るぞ」
冬樺以外は新月の影響を受けている。妖狐も同じでケガも負っている、それでも三人では戦力が頼りない。佐和を含めた応援が必要だと、所長は判断した。
引き返そうとしたタイミングで、冬樺が「無理ですね」と呟いた。
洞窟からそれが姿を見せた。
ゾウよりもはるかに大きく、ライオンのような獰猛さで、夏樹たちを見下ろしてくる。
「でっか」
あまりの迫力に、夏樹はただただ茫然と見上げた。
「覚えのある匂いだと思うたら、お前は弟の方ではないか」
低くがらがらとした声からは、久しぶりの親子の再会とは思えないほど、情を感じなかった。
「匂いは変わらんが、器は成長したようだな。しかし、なんじゃそのちっぽけな妖力は。儂の血を分けたにも関わらず、貧弱よのう」
くくっと、馬鹿にするように喉の奥で嗤う。
振り返ると、冬樺は一声も出せず、苦痛そうに顔を歪めていた。
「お聞きしますが、あなたが吉野で天狗と揉め事を起こした妖狐ですか」
所長が歩いて、妖狐と夏樹たちの間に入り、妖狐に訊ねた。
「ふん。不愉快なことよ。ちいと間違えて吉野に入ってしもうてな、息の荒い天狗に見つかった。あんな小者に後れを取るとは、儂も歳を食ったな。情けなや」
「人の社会で行方不明者が出ています。あなたが襲ったのは間違いありませんか」
「人? ああ、喰った。天狗につけられた傷が思ったより深手でな。妖力が零れてしもうて、回復のためにな。ここまで逃げるのも、少々難儀した」
「認めるのですね。では、我々はあなたを退治せねばなりません。冬樺の父親といえど、人に害をなす妖は、退治の対象となります」
言うなり、所長は弓を作り出し構えた。
いきなりか、と思いつつも、夏樹も咄嗟に体が動いていた。
三本の矢が妖狐に向かって真っすぐに飛んで行く。
夏樹が、矢の後を追うように走る。
妖狐は軽々と跳び、矢をよけた。三人がいる方に向かってくる。
夏樹も走りながらジャンプし、妖狐を迎え撃つ。
空中で振り下ろされる爪をよけ、下から顎を蹴り上げた。
んぐっと堪えるような声が妖狐から聞こえる。
妖狐の腹に、所長の弓が三本刺さっていた。真下から所長が打ったらしい。
夏樹は妖狐の鼻をむんずとつかむと、体の向きを変え、下顎に両足をかけた。
膝を曲げて力をこめ、蹴りながら手を離した。
反動で妖狐は飛んで行き、洞窟に当たり、崩れた洞窟の上で腹を見せた。
所長の矢が、どすどすと刺さっていく。
立ち上がろうとしているのか、妖狐が悔しそうに歯をぎりぎりと軋ませながら、体を動かした。
着地した夏樹は、すぐさま妖狐に向かった。立ち上がる前に、ぼこぼこにしようと。
「この、小童が!」
怒りの声とともに、きらきらとしたものが押し寄せてくるのが視えた。
「夏樹!」
「夏樹さん!」
あっと思った直後にきらきらに飲み込まれ、夏樹の頭が割れそうなほど激しい頭痛を訴えた。
*
「‥‥‥つき、夏樹。朝よ。早く起きなさい」
「うるさいなあ。もうちょっと寝かせて」
「もしかして、ゆうべまた家から抜け出したの」
「うーん」
眠い目をこすりながらいやいや瞼を開けると、姉の顔が覗き込んでくる。
十歳年の離れた姉の百合恵は、いたずらっぽく笑ってから、夏樹の鼻をつまんだ。
「うぐぐ、姉さま、やめてよー」
「ほら、早く起きなさい。今朝は卵が食べられるよ」
「ほんまに!?」
ぱっと目を覚まし、夏樹は飛び起きた。
夏樹が面倒を任されている鶏が、近ごろさっぱり卵を産まなくなった。
藁を代え、冷たい水を汲んでやり、夏の暑さが少しでもやわらぐように布をかけ、とあれこれやってみた。
そしてやっと卵を産んでくれた。
汲んであった井戸水で顔を洗い、朝食を用意している母の元へ駆けつけた。
「母さま、こっこらが卵を産んでくれたって」
「ああ、そうだよ。夏樹が頑張って面倒をみたからだね。今日の卵は夏樹がお食べ」
「一個だけ?」
「そうよ。暑さがやわらいだら、また二個三個と産んでくれるからね」
「そっか。一個だけなんだ」
食事の支度が整い、家族六人が席に着く。
いただきますと手を合わせて、箸を取った。
胚芽を残して精米した少し茶色の米、父さまと爺さまが朝から川で釣ってきた鮎、きゅうりのお漬物、お味噌汁の具材はナス。そして、夏樹にだけ卵。
「今日は卵があるなあ。良かったのう」
婆さまがにこにこして、夏樹の頭を撫でた。
「みんなの分も産んでくれるように、お世話いっぱいするから」
「うん。任せるよ」
卵を溶いてご飯にかけ、半分を百合恵にあげる。
「わたしは大丈夫やから、夏樹がお食べ」
「姉さまと半分こするとおいしいから、食べて」
「じゃあもらうね。ありがとう」
朝食を食べ終えると、母さまと姉さまは食器を洗いに井戸へ向かい、婆さまは繕いものを、爺さまと父さまは、畑の手入れに向かった。
夏樹は鶏小屋の掃除をして、明日も卵を産んで欲しいとお願いしておいた。
昼には、またみんな集まり、お茶漬けと漬物を食べて、また仕事に向かった。
暗くなる前にはみんな家に戻ってきて、夕食を食べ、早々に床に就く。
夏樹も暑い中、たくさん動いて、近所の子らとも相撲を取って遊んだのに、目が覚めて眠れなかった。
満月間近になると、いつも目が冴えて眠れない。
そして今夜は満月、体の中の何かが激しく猛り、何度も寝返りをうった。
昨夜も家を抜け出して、山の中を走り回った。
夜の山は危ないからいけないと家族どころか、見つかった里の人たちにもよく叱られた。
でも、体を使わないとじっとしていられないほど、落ち着かない。
家族が寝静まった頃、夏樹は今夜も家を抜け出した。
夜の山は昼間とは、違う顔をしている。
動物たちが息を潜めて、時々走っていく際に折る枝の音がパキッとする。
何かがはいずるガサガサ音。
ピーと、動物が鳴く声が響き渡る。
慣れているはずなのに、方向を見失う時がある。
里が谷にあるお陰で、山で迷子になったことはない。
里を囲むように山々に配置されているお地蔵さまだけは越えてはいけない。と、耳にタコが出来るほど言われているから、それだけは気をつけている。
どれくらい走り回ったのか、そろそろ家に帰らないと、姉に見つかると叱られてしまう。
里に向かって走り出した。
ぴくりと鼻が動き、夏樹は足を止めた。
空気の中に、血の臭いを感じた。
大人たちが狩りで仕留めてくる獣の血は嗅ぎ慣れている。
それを何十倍にも増幅させたような、強烈な臭い。
むせ返りそうになって鼻をつまみ、できるだけ嗅がないようにしながら、谷から月明かりに照らされた里を見下ろした。
交野市以降は、29日京都府笠置町で1人。
そこでぱったりと途絶えた。
妖狐は吉野から岩湧山、飯盛山、交野市から笠置、と山を使って逃げている。
北に向かっているのなら、京都との県境付近に塒があるのではと見当をつけ、県境から南に向かってハイキングコースを歩きながら、枯れている箇所がないかを調べて回った。
ハイキングコースを大きく外れての捜索は、自分たちが遭難する可能性があるので、無理はできなかった。
幽世側も動いているのか、京都と三重に妖狐が入った形跡はないらしいと、所長から聞いたのは7月末。
奈良側の捜索は、柳生町の辺りで冬樺が葉の枯れを発見し、匂いを辿りながらさらに南に向かい、針インターを越えた所だった。
奈良にいるのはほぼ確定され、調査にも熱が入る。
そして宇陀市と桜井市の境にある鳥見山で、夏樹が痕跡を発見した。
2日前に降ったゲリラ豪雨のせいで、水分を含んだ山の土はぬかるみ、歩きにくい状態だった。だからこそ、その痕跡に気づいた。
細い登山道の一部に深めのくぼみがあった。水が少しだけ溜まっていて、避けようと思ったところで、おかしいと気がついた。
「これ動物の足跡か?」
大きさはゾウの足跡に近い。ひときわ大きなくぼみの前に、四つの小さなくぼみ。それは先が尖っていて、爪を立てたように見えた。
野生動物の可能性もあるけど、それにしては大きすぎる。ここがアフリカならライオンかと思えなくもないけど、ハイキングができる山にライオンがいれば、騒ぎにならないわけがない。
霊感のない人には視えない妖だからこそ、目立たず生息できているのではと思えた。
所長と冬樺も呼んで見てもらうと、冬樺は間違いなく妖狐の足跡、それに匂いから父親だと断定した。
そこからはハイキングコースを外れて調査をすることになった。
冬樺の鼻を頼りに歩き回り、洞窟を見つけたのは新月前日の昼頃だった。
「間違いありません。あそこにいます」
冬樺は苦い物でも噛み潰したかのような表情で、洞窟に目をやった。
「一度帰るぞ」
冬樺以外は新月の影響を受けている。妖狐も同じでケガも負っている、それでも三人では戦力が頼りない。佐和を含めた応援が必要だと、所長は判断した。
引き返そうとしたタイミングで、冬樺が「無理ですね」と呟いた。
洞窟からそれが姿を見せた。
ゾウよりもはるかに大きく、ライオンのような獰猛さで、夏樹たちを見下ろしてくる。
「でっか」
あまりの迫力に、夏樹はただただ茫然と見上げた。
「覚えのある匂いだと思うたら、お前は弟の方ではないか」
低くがらがらとした声からは、久しぶりの親子の再会とは思えないほど、情を感じなかった。
「匂いは変わらんが、器は成長したようだな。しかし、なんじゃそのちっぽけな妖力は。儂の血を分けたにも関わらず、貧弱よのう」
くくっと、馬鹿にするように喉の奥で嗤う。
振り返ると、冬樺は一声も出せず、苦痛そうに顔を歪めていた。
「お聞きしますが、あなたが吉野で天狗と揉め事を起こした妖狐ですか」
所長が歩いて、妖狐と夏樹たちの間に入り、妖狐に訊ねた。
「ふん。不愉快なことよ。ちいと間違えて吉野に入ってしもうてな、息の荒い天狗に見つかった。あんな小者に後れを取るとは、儂も歳を食ったな。情けなや」
「人の社会で行方不明者が出ています。あなたが襲ったのは間違いありませんか」
「人? ああ、喰った。天狗につけられた傷が思ったより深手でな。妖力が零れてしもうて、回復のためにな。ここまで逃げるのも、少々難儀した」
「認めるのですね。では、我々はあなたを退治せねばなりません。冬樺の父親といえど、人に害をなす妖は、退治の対象となります」
言うなり、所長は弓を作り出し構えた。
いきなりか、と思いつつも、夏樹も咄嗟に体が動いていた。
三本の矢が妖狐に向かって真っすぐに飛んで行く。
夏樹が、矢の後を追うように走る。
妖狐は軽々と跳び、矢をよけた。三人がいる方に向かってくる。
夏樹も走りながらジャンプし、妖狐を迎え撃つ。
空中で振り下ろされる爪をよけ、下から顎を蹴り上げた。
んぐっと堪えるような声が妖狐から聞こえる。
妖狐の腹に、所長の弓が三本刺さっていた。真下から所長が打ったらしい。
夏樹は妖狐の鼻をむんずとつかむと、体の向きを変え、下顎に両足をかけた。
膝を曲げて力をこめ、蹴りながら手を離した。
反動で妖狐は飛んで行き、洞窟に当たり、崩れた洞窟の上で腹を見せた。
所長の矢が、どすどすと刺さっていく。
立ち上がろうとしているのか、妖狐が悔しそうに歯をぎりぎりと軋ませながら、体を動かした。
着地した夏樹は、すぐさま妖狐に向かった。立ち上がる前に、ぼこぼこにしようと。
「この、小童が!」
怒りの声とともに、きらきらとしたものが押し寄せてくるのが視えた。
「夏樹!」
「夏樹さん!」
あっと思った直後にきらきらに飲み込まれ、夏樹の頭が割れそうなほど激しい頭痛を訴えた。
*
「‥‥‥つき、夏樹。朝よ。早く起きなさい」
「うるさいなあ。もうちょっと寝かせて」
「もしかして、ゆうべまた家から抜け出したの」
「うーん」
眠い目をこすりながらいやいや瞼を開けると、姉の顔が覗き込んでくる。
十歳年の離れた姉の百合恵は、いたずらっぽく笑ってから、夏樹の鼻をつまんだ。
「うぐぐ、姉さま、やめてよー」
「ほら、早く起きなさい。今朝は卵が食べられるよ」
「ほんまに!?」
ぱっと目を覚まし、夏樹は飛び起きた。
夏樹が面倒を任されている鶏が、近ごろさっぱり卵を産まなくなった。
藁を代え、冷たい水を汲んでやり、夏の暑さが少しでもやわらぐように布をかけ、とあれこれやってみた。
そしてやっと卵を産んでくれた。
汲んであった井戸水で顔を洗い、朝食を用意している母の元へ駆けつけた。
「母さま、こっこらが卵を産んでくれたって」
「ああ、そうだよ。夏樹が頑張って面倒をみたからだね。今日の卵は夏樹がお食べ」
「一個だけ?」
「そうよ。暑さがやわらいだら、また二個三個と産んでくれるからね」
「そっか。一個だけなんだ」
食事の支度が整い、家族六人が席に着く。
いただきますと手を合わせて、箸を取った。
胚芽を残して精米した少し茶色の米、父さまと爺さまが朝から川で釣ってきた鮎、きゅうりのお漬物、お味噌汁の具材はナス。そして、夏樹にだけ卵。
「今日は卵があるなあ。良かったのう」
婆さまがにこにこして、夏樹の頭を撫でた。
「みんなの分も産んでくれるように、お世話いっぱいするから」
「うん。任せるよ」
卵を溶いてご飯にかけ、半分を百合恵にあげる。
「わたしは大丈夫やから、夏樹がお食べ」
「姉さまと半分こするとおいしいから、食べて」
「じゃあもらうね。ありがとう」
朝食を食べ終えると、母さまと姉さまは食器を洗いに井戸へ向かい、婆さまは繕いものを、爺さまと父さまは、畑の手入れに向かった。
夏樹は鶏小屋の掃除をして、明日も卵を産んで欲しいとお願いしておいた。
昼には、またみんな集まり、お茶漬けと漬物を食べて、また仕事に向かった。
暗くなる前にはみんな家に戻ってきて、夕食を食べ、早々に床に就く。
夏樹も暑い中、たくさん動いて、近所の子らとも相撲を取って遊んだのに、目が覚めて眠れなかった。
満月間近になると、いつも目が冴えて眠れない。
そして今夜は満月、体の中の何かが激しく猛り、何度も寝返りをうった。
昨夜も家を抜け出して、山の中を走り回った。
夜の山は危ないからいけないと家族どころか、見つかった里の人たちにもよく叱られた。
でも、体を使わないとじっとしていられないほど、落ち着かない。
家族が寝静まった頃、夏樹は今夜も家を抜け出した。
夜の山は昼間とは、違う顔をしている。
動物たちが息を潜めて、時々走っていく際に折る枝の音がパキッとする。
何かがはいずるガサガサ音。
ピーと、動物が鳴く声が響き渡る。
慣れているはずなのに、方向を見失う時がある。
里が谷にあるお陰で、山で迷子になったことはない。
里を囲むように山々に配置されているお地蔵さまだけは越えてはいけない。と、耳にタコが出来るほど言われているから、それだけは気をつけている。
どれくらい走り回ったのか、そろそろ家に帰らないと、姉に見つかると叱られてしまう。
里に向かって走り出した。
ぴくりと鼻が動き、夏樹は足を止めた。
空気の中に、血の臭いを感じた。
大人たちが狩りで仕留めてくる獣の血は嗅ぎ慣れている。
それを何十倍にも増幅させたような、強烈な臭い。
むせ返りそうになって鼻をつまみ、できるだけ嗅がないようにしながら、谷から月明かりに照らされた里を見下ろした。
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