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初めての決意。
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そう僕の名前はレイン、北方飴と書いてキタカタレインと読む。今まで僕の名前を呼べた人はいない。生まれた病院ではアメちゃんとかスイートちゃんとか呼ばれていた。母ちゃんと父ちゃんが僕の名前を話し合っているのをお腹の中で聞いていたのを僕ははっきり、くっきり、意識的に、興味深く聞いていたのを忘れもしないで、確実に覚えている。
「太郎とかにしようか。いや最近の皆の名前に違和感ないように溶け込めるようにしなくてはいけない気もするし、母さんどんな名前にしようか」
「そうね。アクアとかどうかしら」
「アクアか。悪くはないけど、良く聞く名前だし、だったら水繋がりで、レインはどうだ?」
「レイン? 良いわね。でもレインボーの方がいいわ」
「レインボーも良いね。雨、虹と来て、空繋がりか。じゃあそのイメージで行ったらメルヘンチックな感じだから、何か他に候補はないかな、母さん。ないならレインかレインボーに決めようか」
「そうね。メルヘンねえ。メルヘンと言ったら空から飴が降ってくるイメージがあるから、キャンディーにしようかしたらどう?」
「うーん。男の子にキャンディーはなあ。女の子だったらそれでもいいんだけど。そうだ!じゃあ俺と母さんの間をとって、俺は雨、つまりレイン、母さんは飴つまりキャンディー、その間というか妥協点なのかな。飴という字で、アメと読むから、レインにしないか?」
「どういうこと? レインって名前で、漢字は飴玉の飴にするってこと?」
「うん。そういうことだ。どうだい母さん」
「うーん……なんちゃって。それ最高! 名案ね!」
母ちゃんが弾むような声で言ったのを鮮明に僕はお腹の中で覚えている。そしてその時は名案じゃなくて、迷案だろとか思ったけど、お腹の中で母親と繋がっていて、母親の気持ちも僕に伝達して来て、それがその場の乗りで決めた名前ではなくて、実は母親が名前の候補に飴、レインという名前が前もってあったというのが、心の中の声というか、以心伝心で伝わってきたので、こんなこともあるんだと驚きを感じ、生命の神秘を感じたと同時に、僕の名前の事を色々と真剣に考えてくれていたんだと、嬉しくもあり、そしてそれ以降、僕は自分の名前、飴という漢字の読み方レインという名前を僕は好きになって、今じゃ僕はレインで良かった。レインじゃなきゃ嫌だと思う様になっていた。とそこでようやく僕の発した言葉で放心状態だった母ちゃんが、放心状態から目覚め、我に返ったように首を横に何度も大きく振った。
「レイン、今、喋ったの……?」
僕は次の言葉は更なる一歩つまり先ほどは母親の幻聴、あるいは何かの聞き間違いで済んだのかもしれないが、次に喋ったらもう二度とこの道は引き返せないだろうと分かった上で、意を決して、もう一度言葉を発した。
「はい、母さん」
「太郎とかにしようか。いや最近の皆の名前に違和感ないように溶け込めるようにしなくてはいけない気もするし、母さんどんな名前にしようか」
「そうね。アクアとかどうかしら」
「アクアか。悪くはないけど、良く聞く名前だし、だったら水繋がりで、レインはどうだ?」
「レイン? 良いわね。でもレインボーの方がいいわ」
「レインボーも良いね。雨、虹と来て、空繋がりか。じゃあそのイメージで行ったらメルヘンチックな感じだから、何か他に候補はないかな、母さん。ないならレインかレインボーに決めようか」
「そうね。メルヘンねえ。メルヘンと言ったら空から飴が降ってくるイメージがあるから、キャンディーにしようかしたらどう?」
「うーん。男の子にキャンディーはなあ。女の子だったらそれでもいいんだけど。そうだ!じゃあ俺と母さんの間をとって、俺は雨、つまりレイン、母さんは飴つまりキャンディー、その間というか妥協点なのかな。飴という字で、アメと読むから、レインにしないか?」
「どういうこと? レインって名前で、漢字は飴玉の飴にするってこと?」
「うん。そういうことだ。どうだい母さん」
「うーん……なんちゃって。それ最高! 名案ね!」
母ちゃんが弾むような声で言ったのを鮮明に僕はお腹の中で覚えている。そしてその時は名案じゃなくて、迷案だろとか思ったけど、お腹の中で母親と繋がっていて、母親の気持ちも僕に伝達して来て、それがその場の乗りで決めた名前ではなくて、実は母親が名前の候補に飴、レインという名前が前もってあったというのが、心の中の声というか、以心伝心で伝わってきたので、こんなこともあるんだと驚きを感じ、生命の神秘を感じたと同時に、僕の名前の事を色々と真剣に考えてくれていたんだと、嬉しくもあり、そしてそれ以降、僕は自分の名前、飴という漢字の読み方レインという名前を僕は好きになって、今じゃ僕はレインで良かった。レインじゃなきゃ嫌だと思う様になっていた。とそこでようやく僕の発した言葉で放心状態だった母ちゃんが、放心状態から目覚め、我に返ったように首を横に何度も大きく振った。
「レイン、今、喋ったの……?」
僕は次の言葉は更なる一歩つまり先ほどは母親の幻聴、あるいは何かの聞き間違いで済んだのかもしれないが、次に喋ったらもう二度とこの道は引き返せないだろうと分かった上で、意を決して、もう一度言葉を発した。
「はい、母さん」
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