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初めての将来図。

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 家での生活は退屈とばかり思っていたけど、そうではなかった。
 病院では本当に同じ空間で身動きが取れなかったが、両親は僕のことを良く考え、僕に心地よい空間を常に提供してくれた。僕がうんちをすると、泣きもしないのにすぐに気づきオムツを取り換えてくれた。僕がしばらくうんちを放置していた時は、逆に「どうしてうんちをしているのに泣かないのかしら?」と心配される始末。なので僕はうんちをした時は、泣くことを覚えた。両親からすればうんちを放置している状態よりもすぐに取り換えた方が処理がしやすいのかもしれない、とだんだんと相手の望んでいることをすることも、時には大事なんだと思った。それが仕事であれば、需要と供給ということなのかもしれない。仕事である以上、必ずしも自分のしたいことと、相手の望んでいる物が同じではない。相手の望んでいる仕事をしなければ、相手がやりやすいようにしてあげなければ、自己満足では仕事が上手く出来たとは言えないのかもしれない。まあ赤ちゃんのうんちの世話とは話が違うのかもしれないが。これはうんちの世話の話で仕事の話ではない。赤ちゃんのうんちは仕事ではないのだから。ただ相手がやりやすいようにする。これは思いやりの話だな。
 両親は僕に心地よい音量でクラシック音楽や、様々な年代の名曲をかけてくれる。でも僕がうざいなと思っていたら、すぐに音楽を止めてくれるし、これが血と血が繋がった、両親のなせる技なんだなと思った。しかし血が繋がっているだけでなく、僕は両親と心が繋がっているようにも感じるのは不思議な感覚だ。血だけでなく、もしかしたら心というのも繋がるのではないだろうか。例えば虫の知らせとか言う話を聞いたことがある。それは血だけでなく、心が通っているからこそ、なのではないだろうか。第六感とも言うかもしれないが、しかし自分の知り合いの話なので、やはり心の繋がっているという説が僕の中では有力だ。将来そういった事について研究してみるのも良いかも知れないな。とは言え、まだ僕の将来の夢は白いキャンバスの状態だ。これから何を描くのかは僕次第。僕自身が決めることになるのだろう。両親は何か家業をやっているわけではないし、農家でもない。もしそうであったならば、僕はそれを引き継ぐ決意はあるだろうが(なぜならば両親を僕は愛しているからだ)そうでない以上、僕は自身で進路を決めなくてはならない。時として両親に迷惑をかけるかもしれないが、それでも自分の夢を探し、両親を安心させたいなとそんな将来図を僕は頭の中で描いていた。
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