一貫性と整合性、皆無小説

草ゾンビが現れた。

「いたわ。雑草モンスターよ」
　アスファルトの切れ目から雑草に混じって雑草モンスターがいた。
　魔女達が近付くと種攻撃などを仕掛けて来た。
「痛っ！」
　茶屋の主人に種子が当たる。
「茶屋、気を付けて。その種子攻撃は人間の体内に入ると、体内で芽が出て、生きたままゾンビみたいな状態になるわ。そして操られて、やがて死ぬの」
「こ、怖っ」
「まあ、私達は普通の人間ではないからそうそう種が体内で芽を出す事はないでしょうけど。ほら見て、ここら変に動物の死体が沢山あるでしょ」
「本当だ」
「これは雑草モンスターに攻撃された形跡よ。そして今の種攻撃がもし成功していたとするならば……。やっぱりね。気を付けて、生きたまま種に操られやがて死んだ草ゾンビよ！」
　魔女が指差す方向から体の至る所から草を生やしたゾンビが魔女達の方へ向かって来ていた。
「草ゾンビ、聞いた事あるけど、雑草モンスターの種が入った事で操られ、やがて死んで生まれたモンスターなのか。初めて知ったよ」
　茶屋の主人が眉根を寄せて言った。
「あいつはもう人間じゃない。モンスターよ。だから遠慮はいらないわ」
「分かった」
　茶屋の主人はそう言うと、手刀を切った。すると一瞬で草ゾンビの体を真っ二つに切った。
「何だ、その技は」
「これは、レベルアップした事で覚えた手包丁だ。手で遠距離から包丁で切るような事が出来る」
「かまいたちとは違うの？」
「ああ、風ではなくある種のエネルギー、みたいなものだな。念動力の動かすじゃなく、切る感じと言ったら良いのかな」
「自分でも良く分かっていないのね」
「そうだな。自転車に意識しないで乗っているような感覚に近いかも」
「なるほどね」
　納得した魔女だった。