183 / 331
色々な幽霊がいた。
しおりを挟む
「ちょっと、どうするのよ。この動物幽霊引き連れて出て行きなさいよ」
「そんな事を言わないでくれ。どうやら俺達は、俺と動物達は後天的な地縛霊になってしまったようなのだ」
「後天的な地縛霊? 地縛霊って死んだ時になるものでしょう?」
「そう、それが一般的だ。しかしビジネスホテルが建てられて恨めしい気持ちが出て来て地縛霊に俺達はなったんだ。だから後天的な地縛霊って事だ」
「そう言う事なの。でも、動物達も死んだのに成仏していなかったって事は少なからず、動物園にも満足していなかったんじゃないの?」
「あっ……」
どこか盲点を突かれたかのような顔で幽霊は言った。
「でも地縛霊でしょ。全ての幽霊を成仏させるのはどうしようかしら……」
「やってくれ。一思いに。俺はこいつらと一緒ならば怖くはない」
「何よそれ。それは全部あなたのエゴじゃない。我儘よ」
「えっ」
「だってあなた一人が全部を決める権利なんてないわよ。動物達の気持ちはどうなのかって事なのよ」
動物達は魔女の動物にも理解できる、動物言語魔法を使い同時に全員の動物に分かるように話していたのだ。すると、動物達から俺達はまだ死にたくないとの声が多数だった。
「そうでしょ。あなた達は既に死んでいるけど死にたくないのよね。矛盾しているけど矛盾していないのよね。肉体は死んでいるけど、魂は死んでいない。まだやり残している事があるって事よね」
「やり残している事はない。ただ誰の好奇の目に触れることなく穏やかに死んでいたい。死んでいるけど」
象の幽霊、エレファントゴーストが言った。
「なるほどね。分かったわ。あなた達の望みは。あなた達が自然に成仏出来る方法は穏やかに暮らす事。そしてそれが満足いく時間達成された時、あなた達は本当の意味で天国へと旅立つの。召されるのね」
「そういう事か。だが、それを達成するには穏やかに暮らせる場所、土地が必要だ。どうすれば……」
幽霊人間は嘆くように言った。
すると魔女はどこか悪戯な笑みを浮かべ「とても良い案があるのよ」と言った。
その案とはビジネスホテルとの永久契約。それも全ての部屋の。
「そんな事が可能なのか?」
「ええ、問題ないわ。金なら腐る程あるわ。いえ、むしろ既にあり過ぎて腐っているわ」
魔女は札束が重なり過ぎて湿度を帯び、カビが生え、腐っているような紙幣を取り出し、皆に見せて言った。
「そんなに金が」
「あらっ、幽霊でも驚く事があるのね」
「俺も幽霊でこんなに驚いたのは生まれて初めてかもしれない」
「そうっ、でも紛らわしいわね。生命が生まれたわけじゃなくて死んで幽霊として生まれて、初めて分かりづらいわね」
「そうかな?」
「まあ、いいわ。でも私にはそれだけの資金があるの。そしてビジネスホテル側の了承が取れれば専属ビジネスホテルとしてここはやって行けばいいだけの話なのよ。そうすれば私達は永遠にここに、好きな部屋に泊まれるしね」
「なるほど。良い案だ」
「早速ビジネスホテル側に打診してみましょう?」
魔女達はその案をホテル側に提案したのであった。
そしてすぐにそれは了承され、契約されたのであった。
「そんな事を言わないでくれ。どうやら俺達は、俺と動物達は後天的な地縛霊になってしまったようなのだ」
「後天的な地縛霊? 地縛霊って死んだ時になるものでしょう?」
「そう、それが一般的だ。しかしビジネスホテルが建てられて恨めしい気持ちが出て来て地縛霊に俺達はなったんだ。だから後天的な地縛霊って事だ」
「そう言う事なの。でも、動物達も死んだのに成仏していなかったって事は少なからず、動物園にも満足していなかったんじゃないの?」
「あっ……」
どこか盲点を突かれたかのような顔で幽霊は言った。
「でも地縛霊でしょ。全ての幽霊を成仏させるのはどうしようかしら……」
「やってくれ。一思いに。俺はこいつらと一緒ならば怖くはない」
「何よそれ。それは全部あなたのエゴじゃない。我儘よ」
「えっ」
「だってあなた一人が全部を決める権利なんてないわよ。動物達の気持ちはどうなのかって事なのよ」
動物達は魔女の動物にも理解できる、動物言語魔法を使い同時に全員の動物に分かるように話していたのだ。すると、動物達から俺達はまだ死にたくないとの声が多数だった。
「そうでしょ。あなた達は既に死んでいるけど死にたくないのよね。矛盾しているけど矛盾していないのよね。肉体は死んでいるけど、魂は死んでいない。まだやり残している事があるって事よね」
「やり残している事はない。ただ誰の好奇の目に触れることなく穏やかに死んでいたい。死んでいるけど」
象の幽霊、エレファントゴーストが言った。
「なるほどね。分かったわ。あなた達の望みは。あなた達が自然に成仏出来る方法は穏やかに暮らす事。そしてそれが満足いく時間達成された時、あなた達は本当の意味で天国へと旅立つの。召されるのね」
「そういう事か。だが、それを達成するには穏やかに暮らせる場所、土地が必要だ。どうすれば……」
幽霊人間は嘆くように言った。
すると魔女はどこか悪戯な笑みを浮かべ「とても良い案があるのよ」と言った。
その案とはビジネスホテルとの永久契約。それも全ての部屋の。
「そんな事が可能なのか?」
「ええ、問題ないわ。金なら腐る程あるわ。いえ、むしろ既にあり過ぎて腐っているわ」
魔女は札束が重なり過ぎて湿度を帯び、カビが生え、腐っているような紙幣を取り出し、皆に見せて言った。
「そんなに金が」
「あらっ、幽霊でも驚く事があるのね」
「俺も幽霊でこんなに驚いたのは生まれて初めてかもしれない」
「そうっ、でも紛らわしいわね。生命が生まれたわけじゃなくて死んで幽霊として生まれて、初めて分かりづらいわね」
「そうかな?」
「まあ、いいわ。でも私にはそれだけの資金があるの。そしてビジネスホテル側の了承が取れれば専属ビジネスホテルとしてここはやって行けばいいだけの話なのよ。そうすれば私達は永遠にここに、好きな部屋に泊まれるしね」
「なるほど。良い案だ」
「早速ビジネスホテル側に打診してみましょう?」
魔女達はその案をホテル側に提案したのであった。
そしてすぐにそれは了承され、契約されたのであった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる