一貫性と整合性、皆無小説

禁鳥が飛んで来た。

「さあ、禁鳥。来なさい」
「ぴえ」
「おお、禁鳥が懐いている。それに可愛らしい鳴き声だ」
「あなたは今から私達のペットよ」
「ぴえ」
「可愛いな」
　茶屋の主人が言う。
「さあ、あなたはどんな芸が出来るのかしら。見せて頂戴」
「ぴえ？」
「禁鳥は鳥なんだから言葉は理解できないよ」
「そうだったわ。迂闊だったわね。うっ！　喝！」
　そう言って魔女は自分の頬を軽くビンタした。
「自虐するのはやめろよ」
「これは自虐の内には入らないわ。頬の血行促進の為に決行したのよ」
「結構な事だ」
「でも何の問題もないわ」
　そう言って魔女は「人語理解魔法！」と唱えた。
　すると、禁鳥のお目目がぱちくりと大きく開き、何かを悟ったような顔になった。
「どうやら人語を理解したようね」
「いや、ほんとデタラメな魔法だな」
「何よそれ。生命が存在している自体デタラメじゃない」
「う……うん」
　まさかそんな深い話になるとは思ってもみなかった魔男が戸惑って言う。
「さあ、芸を見せなさい」
「ぴえぴえ」
　人語を理解した禁鳥は口から炎を吐き出し、ハートの形を作った。
「凄い。これは私達へ愛を示しているのか」
「わし驚き」
　茶屋と鬼平が言った。
「可愛いわね。また我が家に最高のペットが増えたわね」
「ぴえ」
　どこか嬉しそうな禁鳥。
「でも私も禁鳥の気持ち理解したいわね」
　そう言って魔女は全員に禁鳥の気持ち理解魔法を掛けた。
「何だこれは。禁鳥の思考が脳内に気持ちが胸に流れ込んでくる」
「これで私達はよい理解者、ソウルメイトね」
　と魔女は言ってどこか満足げな顔をしたのであった。