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魔女、空を確認する。

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 蜂が巣を作ってすぐに村人は異変に気付いた。空が黒く覆われたのを感じたのである。
「魔女さん。空が黒いよ。そしてその黒は動いているんだ」
「ああ、多分鳥が大移動しているんじゃないかしら。あるいは蝙蝠ね。あるいは鳩ね。あるいは鶏ね」
「鶏は空を飛びませんよ」
「えっ! そうなの?」
「にわ『とり』なのに?」
「ええ、知らなかったんですか?」
「だれがにわとりなんて嘘の名前を付けたのかしら。ライアーね。許さないわ」
「いいじゃないですか。それぐらい」
「あーあ。私ショックだわ。今日は何もしたくないわ。ぐーたらと夢見心地でのんびりまったりゆっくりゆったり、だらーんとまたーりとほんわかと何も考えないでぽかーんと、生きていたい気分だわ」
「そんなにショックを受けないで下さいよ。名前の一つや二つで。メンタル弱すぎですよ」
「そうなのかしら。そうね。あなたの言う通りね。もっとシャキッと、パリッと、サクッとカリッと生きて行かないとね」
「何か最後、クッキーみたいな表現ですね」
「そう? まあ魔女って言ったらクッキーのイメージあるし」
「うーん。なくはないけど」
「まあ、とりあえず私がその鳥を鑑定すればいいのね」
「出来るんですか?」
「ええ、出来るわ。私の手にかかればこの星の裏側に住んでいる人の黒子まで見る事が出来るのよ」
「いや、ほくろ見た所で誰得?」
「馬鹿ね。ほくろは馬鹿に出来ないのよ。黒子だと思ったら腫瘍的な事もあるし、人によってはほくろに毛が生えているのよ」
「だから何だっていうんですか」
「凄いと思わない? あんな黒子という違った大地に根を生やし強く生きているのよ。それはつまり砂漠で一本だけ育っている木のようなものなのよ」
「いや、絶対違うと思いますけど」
「まあいいわ。それはそれ意見、考え方というのは人それぞれだから面白いのよ。インタレスティングなのよ。じゃあ早速見てみるわ。鳥の群れをね……」
 そして魔女は黒く覆われた動く空を鑑定した。
「な、何て事……」
「どうしたんですか?」
「ビーよ。エーでもなく、シーでもなくビーよ。一でも二でも三でもなく蜂なのよ」
「分かりずらっ。普通に蜂って言って下さいよ」
「普通に言うと、つまらないからクイズ式に言った方が面白いかと思って」
「面白いとか面白くないとかじゃなくて、情報が僕達は欲しいんですよ」
「分かったわよ。ソラ……ハチ……ムレ……」
「いや、片言って。普通に言えば伝わりますよ」
「分かったわ」
 分かったのか分からないのかよく分からない表情で魔女は言った。
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