一貫性と整合性、皆無小説

仲良くなった二人。

「もう魔男になった彼奴がこの地を離れて一年が経ったのは周知の事実よね」
「はい」
「でも人々の心の中には未だ彼に対する憎しみが存在すると」
「ええ、私は魔男になった事でどうでもよくなったんですが、一部の人はまだ憎しみを持っているでしょうね」
「一体どうしたらどうやったら人間から憎しみが消えるのでしょうね」
「それは分かりません」
「ねえ。ハワイって十回言ってみて」
「ハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイ」
「どう？　少しは楽しい気分になった？」
「どういう事でしょうか」
「あら、分からなかった？　ハワイを連続で言うと、ワイワイして楽しい気分になるのよ。私は」
「そ、そうですか。確かに連続のハワイはワイワイして楽しそうですね」
「もっと楽しい気分になる言葉があるわ」
「それはどんな言葉ですか？」
「わいハワイでワイワイ。アイアイみにカイワイで会い幸い、よ」
「いやそれ只の早口言葉ですよね。楽しそうだけど」
「今考えたの。凄いでしょ。私」
「凄いと言えば凄いのかもしれないけど、凄くない方の割合の方が勝っているとも言い切れないような」
「やめて、私のプライドを、尊厳を傷つけないで」
「どこにプライドの要素があるのでしょうか」
「あっ、ないか」
　魔女はテヘへと笑って、舌を出して「これテヘベロって言うのよ」
「テヘベロじゃなくて、てへぺろですよ」
　とかそんなやりとりをして、終始和んだ雰囲気で会談は密談は進み二人の仲は急接近したのであった。