STEOP 気になる異装のはとこさん

弧川ふき

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(呼夢の視点) 実力テストと文化祭準備

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 月彦つきひこくんのことをつきちゃんと呼ぶようになった。
 切っ掛けがある。
 だって、月ちゃんの友達のサダッチなんかはそう呼んでるんだもの。何度か遊んでから気付いたけど。その方が可愛い。私がそう呼んでいないなんて、不覚。
 ――それに、そう思ってから海なんかで見ていて、その方が似合うなって思ったし。それにしても月ちゃん、あんなことやるんだもんなぁ、あの時のあれは反則だよぉ。
 思い出しては自分の側頭部を撫でてしまう。
 麦わら帽子を被らされた時のこと。私は一生忘れない。胸と心臓に焼き付いた。――あ、これ同じような意味だ。
 夏休み中、そんな日々が続いた。
 山奥のカフェに行くなんて時もあったけど、月ちゃんはいつも通りにものを楽しみ、撮り、私はそれを眺め、楽しんだ。
 結局まだ気持ちを伝えられていない。
 どうしよう。いつ言うべきなんだろう。

 二学期が始まって、実力テストが行なわれた。そしてその成績が貼り出された。
 月ちゃんは18位、私は53位だった。
 私は文化祭で部での出し物があるからアレだけど、三組は何をやるかが話し合われた。
 校舎前のテントを取れるということで、少し案が外でやるものに偏って、
「ゼリーを売ろう!」
 と、剛瓦ごうがわらくんが言ったからか、それで決まった。
 ――月ちゃんの一組は、何をするんだろ。
 それによっては「言う」チャンスが来るのかも。
 ――なんだか、胸がむちゅむちゅする。
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