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(呼夢の視点) 騒動を見ていた私と放課後
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なんで急に月彦くん自ら三組に来たのかと思ったら、黒板に悪口を書いた犯人を探していたという事だった。
本当にウチの女子がその犯人だったらしくて、よかれと思ってやったらしくて。
「四堂さん」が全面的に悪いし、これ以上彼女が早合点しなければいいなと思う。それと同時に、月彦くんの誤解がうまく解けそうでよかったとも思った。
――昨日の今日でハードな学校生活になりすぎじゃない? 月彦くん大丈夫なのかな。まあ、誤解が解ければもう大丈夫だろうけど……。変な印象、付いてないかなあ……。
「あの子が月彦くん……? 可愛くて女の子みたいだけど、なんか怖いね」
「そうかもしれないけど、それは怒ったからだよ」
「怒ったって冷静でいられたらその方がいいじゃん」
隣の友人女子はクールにそう言うんだけど、でも。
「そりゃあ、嫌なことされた本人がそうできたら――いいねとは思うよ。しかもその悪口が的に当たってすらいないワケで」
「…………まぁ、確かに……。辛いけどでもやっぱり」
「あのね」
私は考えを整理した。気持ちも。
それから私は言った。
「私だって、冷静でいられるか分からないよ。自分がされたら、印象が固定されて……人生終わったと思っちゃうかもしれない。この学校には嘘を見分けられる先生がいたからよかったけど、そういうSTEOP能力を持った人がいなかったら――? 私だって、ついさっき知ったんだよ、あの先生がそうだって。それにさ、その……まぁ別の方法でもいいけど、疑いを晴らすことが、もしできなかったら? 色んなことを、知らなかったり、怖かったりしたら、心細くて、ああなっちゃうかも。そうなる人の気持ち、私は分かりたいな。というか、そこまで変な対応じゃなかったんじゃない?」
「………まぁ、そうだね。そっか」
「それに、四堂さんのやり方は月彦くんを悪と決めつけ過ぎてたみたいだし。確かめたらよかったよね、書いてしまう前に」
「まぁ、ね……」
そんな事があっても、授業はいつも通り。
そして放課後。
私は服飾・手芸部に所属していて、帰りのホームルームのあとは被服室に向かう。
入ってただただ布を裁ち、縫う。
こうして作った衣装でたまにショーをする。個人的な服も作る。そっちの方が私の主目的。
――そう言えば。月彦くんは、放課後、どうするんだろう?
本当にウチの女子がその犯人だったらしくて、よかれと思ってやったらしくて。
「四堂さん」が全面的に悪いし、これ以上彼女が早合点しなければいいなと思う。それと同時に、月彦くんの誤解がうまく解けそうでよかったとも思った。
――昨日の今日でハードな学校生活になりすぎじゃない? 月彦くん大丈夫なのかな。まあ、誤解が解ければもう大丈夫だろうけど……。変な印象、付いてないかなあ……。
「あの子が月彦くん……? 可愛くて女の子みたいだけど、なんか怖いね」
「そうかもしれないけど、それは怒ったからだよ」
「怒ったって冷静でいられたらその方がいいじゃん」
隣の友人女子はクールにそう言うんだけど、でも。
「そりゃあ、嫌なことされた本人がそうできたら――いいねとは思うよ。しかもその悪口が的に当たってすらいないワケで」
「…………まぁ、確かに……。辛いけどでもやっぱり」
「あのね」
私は考えを整理した。気持ちも。
それから私は言った。
「私だって、冷静でいられるか分からないよ。自分がされたら、印象が固定されて……人生終わったと思っちゃうかもしれない。この学校には嘘を見分けられる先生がいたからよかったけど、そういうSTEOP能力を持った人がいなかったら――? 私だって、ついさっき知ったんだよ、あの先生がそうだって。それにさ、その……まぁ別の方法でもいいけど、疑いを晴らすことが、もしできなかったら? 色んなことを、知らなかったり、怖かったりしたら、心細くて、ああなっちゃうかも。そうなる人の気持ち、私は分かりたいな。というか、そこまで変な対応じゃなかったんじゃない?」
「………まぁ、そうだね。そっか」
「それに、四堂さんのやり方は月彦くんを悪と決めつけ過ぎてたみたいだし。確かめたらよかったよね、書いてしまう前に」
「まぁ、ね……」
そんな事があっても、授業はいつも通り。
そして放課後。
私は服飾・手芸部に所属していて、帰りのホームルームのあとは被服室に向かう。
入ってただただ布を裁ち、縫う。
こうして作った衣装でたまにショーをする。個人的な服も作る。そっちの方が私の主目的。
――そう言えば。月彦くんは、放課後、どうするんだろう?
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