STEOP 気になる異装のはとこさん

弧川ふき

文字の大きさ
上 下
6 / 42

(呼夢の視点) 騒動を見ていた私と放課後

しおりを挟む
 なんで急に月彦つきひこくん自ら三組に来たのかと思ったら、黒板に悪口を書いた犯人を探していたという事だった。
 本当にウチの女子がその犯人だったらしくて、よかれと思ってやったらしくて。
四堂しどうさん」が全面的に悪いし、これ以上彼女が早合点しなければいいなと思う。それと同時に、月彦くんの誤解がうまく解けそうでよかったとも思った。
 ――昨日の今日でハードな学校生活になりすぎじゃない? 月彦くん大丈夫なのかな。まあ、誤解が解ければもう大丈夫だろうけど…。変な印象、付いてないかなあ……。
「あの子が月彦くん…? 可愛くて女の子みたいだけど、なんか怖いね」
「そうかもしれないけど、それは怒ったからだよ」
「怒ったって冷静でいられたらその方がいいじゃん」
 隣の友人女子はクールにそう言うんだけど、でも。
「嫌なことされた本人がそうできたら…いいねとは思うよ。しかもその悪口が的に当たってすらいないワケで」
「…………まぁ、確かに……。辛いけどでもやっぱり」
「あのね」
 私は考えを整理した。気持ちも。
 それから私は言った。
「私だって、冷静でいられるか分からないよ。自分がされたら…、印象が固定されて……人生終わったと思っちゃうかもしれない。この学校には嘘を見分けられる先生がいたからよかったけど、そういうSTEOPスティープ能力を持った人がいなかったら――? 私だって、ついさっき知ったんだよ、あの先生がそうだって。それにさ、その……まぁ別の方法でもいいけど、疑いを晴らすことが、もしできなかったら? 色んなことを、知らなかったり、怖かったりしたら、心細くて、ああなっちゃうかも。そうなる人の気持ち、私は分かりたいな。というか、そこまで変な対応じゃなかったんじゃない?」
「………まぁ、そうだね。そっか」
「それに、四堂しどうさんのやり方は月彦くんを悪と決めつけ過ぎてたみたいだし。確かめたらよかったよね」
「まぁ…ね…」
 そんな事があっても、授業はいつも通り。
 そして放課後。
 私は服飾・手芸部に所属していて、帰りのホームルームのあとは被服室に向かう。
 入ってただただ布を裁ち、縫う。
 こうして作った衣装でたまにショーをする。個人的な服も作る。そっちの方が私の主目的。
 ――そう言えば。月彦くんは、放課後、どうするんだろう……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

会社の後輩が諦めてくれません

碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。 彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。 亀じゃなくて良かったな・・ と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。 結は吾郎が何度振っても諦めない。 むしろ、変に条件を出してくる。 誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~ その後

菱沼あゆ
恋愛
その後のみんなの日記です。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

アタエバネ ~恵力学園一年五組の異能者達~

弧川ふき
ファンタジー
優秀な者が多い「恵力学園」に入学するため猛勉強した「形快晴己(かたがいはるき)」の手首の外側に、突如として、数字のように見える字が刻まれた羽根のマークが現れた。 それを隠して過ごす中、学内掲示板に『一年五組の全員は、4月27日の放課後、化学室へ』という張り紙を発見。 そこに行くと、五組の全員と、その担任の姿が。 「あなた達は天の使いによってたまたま選ばれた。強引だとは思うが協力してほしい」 そして差し出されたのは、一枚の紙。その名も、『を』の紙。 彼らの生活は一変する。 ※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・出来事などとは、一切関係ありません。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

処理中です...