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【特別編】【遊佐くんの心情】第3話のやつ

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こちら「【特別編】【遊佐くんの心情】」では、第1話から現在の話までの遊佐くんの言ったセリフでの、遊佐くんの心の気持ちを《 》で表し直した、物語です。

今までのお話と何ら変わりありませんが、遊佐くんの情緒がおかしいところ(遊佐くんは凌くんが絡むと心の情緒がおかしくなる)が見たい方はどうぞご覧下さい。

また、「ぼくこま」初めて見るよって方は、こちらではなく、「なんか僕の周りには男が多い気がする 第1話」から見てください。

またまた、第何故この特別編を作るようになったかが気になる方は第8話(「なんか凌くんの周りにはやばいやつが多い気がする。 By凌くん達見守り隊団長 小屋瀬 千風 」)を見て下されば、分かると思います。

それでは、どうぞ!








川柳遊佐は天才だ。

「川柳遊佐って知ってる?」という質問には、ほとんどの人が「うん」と答えるだろう。
その理由は、世界トップクラスの科学者たちと協力し、世界を変えられるほどの内容の論文を発表したからである。

しかも、その時彼はまだ、中学生であった。

彼らが出した論文は、世界中に広まり、そっち方面の分野に興味が無い人でも、名前を知っているほどだ。

でも、彼は天才すぎた。

天才ゆえに、浴びせられた言葉。「天才だからできるだろ。」「お前とは違うんだよ、お前と一緒にすんな。」「自慢すんなよ。」

彼は苦しんだ。
そんな彼に寄り添ったのが、同じ中学で、同じクラスだった、薄井凌である。
凌と遊佐は親友になった。

だが、遊佐には、凌以外に、親しいと言える人がいなかった。

ろくに凌以外の友達もできぬまま、遊佐は、彼は高校へと進学した。

高校になって、彼は1人になる時間が増えた。
親友の凌が、同じクラスの、クラスメイト達と仲良くなったためである。

彼が1人の時に話しかけてくれるのは、今は凌と悠斗、あと本宮ぐらいだろう。

その他のクラスメイトは、彼を天才という目で見て、一向に近づこうとしない。
でも、それは今日で終わった。


キーンコーンカーンコーン

「っ、はぁ、はぁ、はぁ………」

「はぁ、はぁ、はぁ、」
(思ったよりもカバンが重かった……けど、、、)

「「ま、間に合った~!!!」」

「間に合ってないも同然です!まったく、こんなギリギリに授業に来る人がいますか!?本っ当、2人ともどこへ行ってたのですか!?」
「薄井さんはともかく、あの優秀な川柳くんがこんな、こんなギリギリに来るなんて、薄井さん!あなたが原因なのでsy」

「あの、小池(こいけ)先生、勝手に凌くんを悪者にするのやめてください。」
《なんでこの人は、僕のことを……。僕より凌くんの方が何倍も可愛いのに!!!》

「で、でも川柳くん!あなたほどの優秀な生徒がチャイムと同時になんて…!」

「間に合ったんですから、別にいいじゃないですか。」
《そうそう、間に合ったんだし、》

「うっ……」
「まぁ、2人とも、まずは席に着いてください。日直さん、号令を」

「ええっと、正座、礼!」

「よろしくお願いします!」

「よろっしゃーっす」
(小池先生、相変わらずだなぁ~、遊佐へのえこ贔屓。にしても2人とも、よく間に合ったな。さっきまで外にいたとは思えない)

ニヒッ

「何笑ってんだよっ、と」

「いやぁ、ギリのギリだなって、」

「うっせー、間に合ったからいいじゃねぇか」

「確かにw」
「で、2人で体育館裏で何してたんだ?」

「ん?あぁ、弁当を一緒に食ってたんだよ。」
「って、なんでさくと体育館裏にいたの知ってんの!?」

「ん?ああ、由奈と廊下で、窓開けて景色眺めながら弁当食ってたら、由奈がお前らの事見つけてな、結構離れてるのにだぜ。あいつほんと、目ぇいいからな」
「まぁ、何をしてたかまでは俺と由奈も分からなかったが。」

「へぇ~、そうなんだ」
「いやぁ~、でも今日はすごく重要なことを知れたぞ!」

「ん?何、そのすごく重要なことって」

「実はな…」
「さくはすっっっごく、料理が上手い!」

「お、おう」
(そんだけ?)

「あれ?あんまり驚かないね」

「まぁ、もともと異次元だからな、あいつはいろいろと。だから驚くのにも慣れったっていうかぁ、なんというか。」

「ふーん、そっかぁ、驚くかと思って期待してたのに。」

「どんまい」
(…ったく、お前の目の前でみっともない顔は見せたくねぇんだよ、)

「いやぁ~、にしても本当に美味かったぞ!」

「えっ、美味かったって、食べたの?あいつの料理!?」
「いつ!?」

「えっ、言ってなかったっけ?今日僕さくの弁当食べたって」

「言ってない!」

「えっと、僕今日弁当忘れちゃってさ、さくが半分くれるっていうから食べたら、すごく美味くて、ほんと、さくが作ってるって知った時は驚いたよ!」

「はぁ!?」
「手料理!?あいつの!?」
(手料理か、クソッ!俺ほんと料理だけはできねぇんだよ。はっ!まさかあいつ……俺が料理できないのを知っての手料理食べさせ惚れさせ作戦か!?)
(ま、まさか、凌のやつ、そんなことであいつを好きになんてなって…ない……よな?)

「うん!そうだけど、それがどうしたの?」

「どうしたもなにも…えっと……」


「……ちょっと、そこの2人、さっきからコソコソ喋っているの、私気づいているんですからね!」
「2人とも、ここの英文を読んでもらいますよ!」

「「えぇ!?」」

「「えぇ!?」じゃありません。まったく、川柳くんを見習いなさい!こんなにシャキッと私の授業を聞いてくれてるんですよ!」
《えっ、僕ずっと凌くんの方見てたんだけど!この先生、視力どうなってるんだ……》

「ちょっと、今のは悠斗のせいだって~。悠斗が大声出すからさぁ~」

「うっせー、しょうがねぇだろ!」

(にしてもめんどくせぇ。そうだった、小池先生って小さいことでもすぐ注意してくるから生徒たちからすげぇうざがられてんだった。今週はゆるい先生の授業が多かったから油断してたな。)

「他の人もです!まったく、このクラスはどうかしてるんですか!?」
「授業中に話す人、文房具を分解する人、髪をいじる人……ほらそこ!私の指示無しに勝手にワークを開かない!」

「!」
「す、すみませんっ!!」

(うっはぁ~、可哀想に。ほんとに小池先生って厳しすぎるよなぁ。ったく、そもそも小池先生の説明がすっげぇ分かりにくい&難しいからこっちも聞く気が失せるんだよなぁ。)
(重要そうなとこも「ここ重要ですよ」とか、教えてくんねぇし、内容を一通り理解するまで予習しないとまともに授業についていくことすら出来ねぇし。しかもその先生本人が、そのことに気づいてないしでさぁ………)

「まったく、このクラスに授業をまともに聞ける人は一体何人いるんですかねぇ?」

(で、一番最悪なのが、)

「まぁ、私の考えでは、1人…2人……って、まぁ!クラス全体で、たった1割!1割程度しかまともな人がいないってどういうことですか!?」
《う、うざい……》
《どうでもいいから、授業続けてくれないかな。その間先生黒板向くから、凌くん見放題なのに……!!》
「本っ当にあなた達はぁ!」
「さっきだって、授業にギリギリで……川柳くんはいいですけど、薄井さんはねぇ!」

(そう、優秀な生徒にしかしない、このえこ贔屓。本人が自覚してるかしてないかは分からないけど、とにかく本当に酷すぎるんだよなぁ。)

「ちょっと!薄井さん!」

「はっ、はい!」

ピクッ

「「ちっ………」」
《凌くん……!!!》

「声が小さい!」

「はいっ!」
《はぁ!?怒るならあいつ怒れよ!》
《なんで凌くんがぁ!?》

(はぁ!?なんで凌なんだよ!?どっちかっていうと俺の方がうるさかったとだろ……!)

イラッ
「「はぁ………」」
《こいつ…》

「薄井さん、あなた今日私の授業に遅れてきましたよねぇ」

「お、遅れて…は……」
(チャイムと同時に教室入ったけど、あれってセーフ!?それともアウト!?どっちぃ!)
《はぁ!?だからぁ、それ僕も!僕もだから!》

「えっとぉ…」
「ゆ、悠斗、あれって、セーフだったよなぁ?ゆ、悠斗?」

シーン………
《あっいつ!なんで「そうだよ」って言ってあげられないの!?》
《!!》
《あいつのあんな怖い顔、初めて見たかも……》

「遅れてきましたよねぇ」

「え、ええっとぉ………」
《凌くん!》
《凌くん意外と控えめな所あるから……。ガツンと言ったらいいのに……!》

「まぁ!自分の非も認められないの!?私今までたくさんのクラスを見てきましたけど、あなたほど馬鹿な子はみたことありまs」
《!!!!!》

「ねぇ、先生…」

「?」
「どうしたんですか?川柳くん、私は今あいつらを怒っている真っ最中なのですが…」
《「あいつら」か……。あいつの事は全然怒ってなかったのに。》
「…あ!安心してください、川柳くん。私はあなたにはちっとも腹を立てていませんから。ですので、あなたが怒られる心配はありませんよ。」
《イラッ》

「そういうことじゃないんだよねぇ、」

「!」
(さく!?)

「………」
(あいつが先に出てくれてよかった。じゃないと俺があいつを殴るとこだった……)

「えっとぉ…、ど、どうしたんですか?」

ブチッ

「どうしたんですか、どうしたんですか、じゃねぇんだよ!同じことしか聞けない低脳かお前!」
「さっきから黙って聞いてりゃあ、なんで凌くんだけに怒る!?ギリギリで来たのは僕だって同じだろ?」

「りょ、川柳くんはだって、薄井さんのせいで遅れてきたんでしょう?入ってきた時に薄井さんのカバンを持っていたじゃないですか!」

「!!!」
「それは僕が自分から持ちにいったんだ!凌くんは何も悪くない!」
「………です!」

「さく…!!」

「はぁ、はぁ、はぁ…」
《こいつ……。おr…僕嫌いかも。いや、嫌いか。》

ハッ…!

「りょ、凌くん、え、えっと…」
(も、もしかしてひ、引いちゃったりしたかなぁ、大丈夫かなぁ………)

「っふ…」

「え?」

「ふふっ、ご、ごめん、さく」

「え?りょ、凌くん!?どうしたの!?」
《ええっ、こ、これって引いてるの…!?》

「いやぁ、別に僕そこまで先生に怒ってなかったんだ。僕たちがギリギリで来たのは事実なんだし。」
「でも、今の先生のもぬけの殻みたいな姿見てると、やっぱしちょっと、イラついてたかも!ありがとうな、さく!」

テヘッ…

「…そ、そう、なんだぁ」
(感情任せに行動してしまったけど、凌くんが笑顔だから、ハッピーエンドってことでいっか♪)

「いやぁ、ほんと俺からも礼を言わせてくれ。ありがとう。もう少しで俺、やばかったからさ。」
「きっと他のやつも遊佐、お前に感謝してると思うぜ。」

「えっ!?」

「ありがとうなー!川柳!」

「まじ青崎の言うとおり!サンキューな、遊佐~!かっこよかったぞー!」

「本当にありがとう、私も少しイラついてたの。」

「み、みんな……!」
《な、なんか嬉しい……。》

「いやぁ、俺今まで川柳のこと天才って思ってて、俺と違う存在の人だからって考えてあまり話してなかったんだよなぁ」

「俺も~」

「けど、今日、まぁ俺たちのため……かは分かんないけど、でも、川柳が怒ってる姿見て、ちゃんと人間なんだなって思えたんだ。ごめん、今まであまり話しかけられなかったや、」

「べ、別にそんなん気にてないし、僕」
(慣れてるもん…)

「で、でさ、川柳」

「?」

「えっと、俺、お前と仲深めたいからさ、今度からは遊佐…って呼んでいいか?」

「お、俺も!」

「わ、私も!」

「!」
「み、皆……す、好きにしたら?」
《テレッ》

「!」
「よし、じゃあ、これからもよろしくな!遊佐!」

「…う、うん!」

ニコッ

「……くぅっ!」

「ガハッ」

「ヒュッ……」

(((え、待って、ゆ、遊佐(くん)って、あまり笑わないから分からなかったけど本当はすごく、すごく可愛いんじゃ……!?)))

「ふっ」
「あいつ、俺と凌以外のクラスメイトの心盗みやがったなw」
(あ、ま、待って、凌はどうだろう……)

「な、なぁ凌…?」

「ん?どした?」

「いや、ええっと、遊佐のやつ凄いよなぁって、一瞬でほとんどのクラスメイトの心を盗んでさぁ」
(特に女子の)

「確かにすごいね、でもさ……」

「ん?」

「僕はあの遊佐が僕と悠斗じゃない、別のクラスメイトと話して笑うってのあんま見たこと無かったからさ、」
「嬉しい気持ちのが勝ってるんだよね、今!」

「お、おう、そうか」
(……まぁ、凌の心はあいつでも簡単には盗めないみたいだなぁ)
「はぁ、」
(にしても遊佐のやつ、本格的に凌を落としにいってる気がするんだよなぁ。俺もそろそろ、本腰入れてくかぁ、)
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