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今回、影衆に与えられた御役目は北前船を襲う海賊の討伐だった。
その昔、大陸と半島で倭寇と呼ばれ恐れられていた海賊は、豊臣秀吉が海賊停止令を出して以来、建前の上では既になくなった――ことになっている。しかし実際にはその後も一部が海上に残り、散発的に北前船や商船を襲っては金品を強奪していた。石高の多くない君水藩にとって、明野領への北前船の寄港は財政の命綱といっていい。海賊が跋扈する地と認識されて寄港が取りやめになると、ただでさえ貧しい藩の財政は途端に干上がる。これ以上の無法はまかりならんと藩からの命令が明野領に下り、忠雅は影衆の年長である雅勝、雅明、雅道、雅規の四人を派遣した。つい先頃まで、本領の隠密と明野領の影衆との間で死闘を繰り広げていたというのに、そのすぐ後に今度は本領からの達しで命がけで戦いに赴く。このことに影衆は疑問を抱かない――ことになっている。
昔の倭寇は後に倭人の集まりから明人の集まりに変わっていったらしいが、今、北前船を襲っている海賊は人種も言葉も多種に渡り、沿海の船上で日々生活し、そこから小舟でこぎ出しては海賊行為を行っているという。ここまでくると海賊というより海の民と言った方がいいかもしれない。
地元の漁師の案内で沖合に停泊する海賊船に乗り込むと、船は予想よりはるかに大きなものだった。
人の寝起きする居室らしき部屋の他に畑までもあり、甲板の上で鶏や牛が平和に鳴いている。海賊の家族だろうか、畑仕事をしていた女と老人は、悲鳴を上げる前に喉を掻き切った。――こんな時いつも思う。これではどちらが海賊か知れたものではない。
船にいた人間は、聞いていた通り衣服も着物も言葉も様々だった。この国の言葉ではない、大陸や半島の言葉が飛び交い、あまり見かけない彫の深い顔立ちは蝦夷地の人間だろうか。雅勝が見たこともないような鎖鎌をいとも軽々と扱っている。
影衆は終身なので、一生涯、本領と明野領とその周辺の諸藩から出ることはない。出られないと知っているからこそこんな時まれに、決して見ることのない外の世界にほんの一瞬、心を馳せることがある。
こんな大きな船に乗って遠くに旅立つことができたなら、一体、どんな気分なのだろう。
鎖鎌が巻き付いた長刀を諦め、脇差しを抜く。雅勝が鎖鎌ごと刀を放り投げたので、鎖鎌の男は一瞬、たたらを踏んで前のめりに均衡を崩した。その隙を逃さず身をかがめて突進し、脇差しを正確に心の臓に突き立てる。引き抜いた脇差しを鞘に、投げ捨てた刀を拾い上げた時、海を背に雅明が駆けてくるのが見えた。
「――雅勝兄者、終わったか?」
「ああ、雅明。そっちはどうだ」
「大体始末した。多分、戦える奴は誰も残ってない」
北前船が着く明野領の西岸の海は、内海なので基本、波は静かだ。言われなければ海上と気づかないような船の甲板で、先ほどまで強烈に感じていた潮の香よりも、血の匂いの方が強くなっている。頬に返り血を浴びた弟分がにっと笑った。この顔からすると雅道、雅規の二人も無事だろう。
「よし、後は一通り船を見てから撤退するぞ」
恐らくどこかに北前船から奪った金品があるはずなので、藩からはぜひともそれを持ってくるように言われている。案外、こちらが本来の目的だったかもしれぬ。
四人がかりで、ざっと十四、五人は倒したろうか。海水と血で履物の底が濡れて滑りやすい。他の三人に転ばないよう指示を出し、薄暗い船室の中を捜索すると、さほど行く前に大きな船室が見つかった。案の定、布やら毛皮やら昆布やら、様々な荷がうずたかく積まれている。その荷の影に隠れるように――人がいた。
見たところ十台半ばくらいの若い娘で、着ているものと髪型が見慣れなかった。海賊は金品だけでなく女子供をさらうこともある。この娘もそんなさらわれた人間の一人だろうか。
一見、害のない人間に見えても、それが敵方でない保証はない。右手を刀の鞘に添えたまま、慎重に距離をつめる。雅勝が近づいた分、娘が後ずさり、やがて埃だらけの船室の角で膝を抱えてうずくまってしまった。
「お前も奴らの仲間か?」
よほど恐ろしいのか、ただひたすらに身を竦め、ふるふると首を振っている。見たところ武器の類はなさそうだ。白い頬に涙の筋が浮いているのを見て、何故か以前、ほんの少し係り合いになった娘のことを思い出した。
本来、影衆と奥に仕える侍女との間に接点ない。ひょんなことで係り合いになり――心の片隅に残ってしまったが、この先、雅勝とあの娘が会うことはもうないのだろう。
「……こちらの言葉はわかるか?」
腕に微かな痛みを感じたのと、反対側の手で脇差しを抜いたのはほぼ同時だった。
「雅勝兄!――毒だ!」
武器はないと見せかけて、掌の中に隠し持っていたのか。伸ばしかけていた左の腕――ちょうど以前、あの娘に手当てを受けた場所に近い――に針か棘のようなものが突き刺さっている。
顔色を変えた雅道が刀を抜いて前に出る。しかし彼が刀を振るうより、雅勝が娘の身体から脇差しを引き抜く方が早かった。雅勝の脇差しに貫かれ、船室の隅に娘の身体が崩れ落ちる。その唇が人でも食らったかのように赤いのが、やけに印象に残った。
「――多分、琉球あたりの飛虫の毒だと思うんだ」
何かの毒だろう。それはすぐに想像がついたので、刺された箇所を熱した刃で焼いて塩水で洗い、応急手当は行ったのだ。その後、数日間はまったく何の問題もなく、自分の足で歩いて寺に戻ってきて、子ども達の手習いを見て、なんだか寒気がするから今日は早めに休むと部屋に入って――高熱を出し、丸二日、意識が戻らない。
るいが通された法勝寺の一室は、相変わらず何もなかった。
家具らしい家具は小さな文机一つだけで、あの時に見た木仏は一体もなかった。かわりに薄い夜着の中で、隠密の男が目を閉じている。時折、夜着の胸元がわずかに動くところを目にしなければ、遺体と言われても信じたかもしれない。
「……どうして、わたしを呼んだのですか」
「俺はこいつとは長い付き合いでね。雅勝が、自分から女の素性を洗ってくれなんて言ってくるの初めてだったからさ。こいつがお前に惚れているんなら……一目くらい会いたいだろうと思ってな」
若き次席家老殿の言葉に、いくらなんでもそれはないだろう、とるいは思った。るいが実際に雅勝と会って言葉を交わしたのは、片手の指で足りるくらい――ほんの数度だけのことだ。その数度があまりに印象深くて、忘れることが出来なくなってしまったけれど、さすがに惚れたの腫れたのという間柄には程遠い。第一、普通、男が女を想う時に、素性を洗えとはいわないだろう。
――だけどどうして、ここにはこんなに何もないの。
飛虫の毒とやらをるいは詳しく知らないが、毒にやられたなら毒消しの薬を飲ませて、熱があるなら部屋を暖めて、多分――いや絶対に、額を冷やした方がいい。るいをここに連れて来る前に、やれることはたくさんあったはずなのに、部屋の中には火鉢も手拭いも、看病をする人間も、病人の寝間だというのに水差しすらもない。
「西の河原に養生所がありますよね。あそこになら毒消しの薬草もあるはずです。行ってもらってきます」
立ち上がって何もない部屋を出ようとした時、和尚に腕を掴んで呼び止められた。
「――おるい殿。薬も包帯も無限ではないのです。今ここで影衆に使ってしまっては、この先、本当に必要な人間に行き渡らなくなるのですよ」
「誰だって、人の命は一つだけです!」
るいに腕を振り払われて、和尚は純粋に意外そうな顔をした。
年の頃ならるいの倍は長く生きているだろう。剃り上げた頭はいつ見ても艶やかで、首からは大きな数珠を下げている。穏やかに諭す口調はさすが御仏に仕える人間のそれであり、きっとこれまでこの和尚の言うことならば、誰もが疑念を感じることもなく、その言葉に従ってきたのだろう。
るいとて、和尚の言う理屈がわからないわけではない。非情の場であれば命の選択がやむを得ないこともあるだろう。しかし今、明野領には災厄も疫病もなく、人々は平和に日々の糧を得て暮らしている。来るかどうかもわからない未来の為に、今、目の前で苦しむ人間を打ち捨てよと、仮にも御仏に仕える人間が口にするのか。
前に雅勝自身が言っていた。明野領には影を診る医者などいないと。影衆もまたこの地で暮らす民であるはずなのに、見放されることを当然のごとく受け入れていた。それがこの土地の倣いなのだというのなら、そんな倣い自体が間違っている。そんな倣いにしたがって今この男が一人、苦しむままで放置されているのだとしたら。
――ただひたすら、悔しくてたまらなかった。
その昔、大陸と半島で倭寇と呼ばれ恐れられていた海賊は、豊臣秀吉が海賊停止令を出して以来、建前の上では既になくなった――ことになっている。しかし実際にはその後も一部が海上に残り、散発的に北前船や商船を襲っては金品を強奪していた。石高の多くない君水藩にとって、明野領への北前船の寄港は財政の命綱といっていい。海賊が跋扈する地と認識されて寄港が取りやめになると、ただでさえ貧しい藩の財政は途端に干上がる。これ以上の無法はまかりならんと藩からの命令が明野領に下り、忠雅は影衆の年長である雅勝、雅明、雅道、雅規の四人を派遣した。つい先頃まで、本領の隠密と明野領の影衆との間で死闘を繰り広げていたというのに、そのすぐ後に今度は本領からの達しで命がけで戦いに赴く。このことに影衆は疑問を抱かない――ことになっている。
昔の倭寇は後に倭人の集まりから明人の集まりに変わっていったらしいが、今、北前船を襲っている海賊は人種も言葉も多種に渡り、沿海の船上で日々生活し、そこから小舟でこぎ出しては海賊行為を行っているという。ここまでくると海賊というより海の民と言った方がいいかもしれない。
地元の漁師の案内で沖合に停泊する海賊船に乗り込むと、船は予想よりはるかに大きなものだった。
人の寝起きする居室らしき部屋の他に畑までもあり、甲板の上で鶏や牛が平和に鳴いている。海賊の家族だろうか、畑仕事をしていた女と老人は、悲鳴を上げる前に喉を掻き切った。――こんな時いつも思う。これではどちらが海賊か知れたものではない。
船にいた人間は、聞いていた通り衣服も着物も言葉も様々だった。この国の言葉ではない、大陸や半島の言葉が飛び交い、あまり見かけない彫の深い顔立ちは蝦夷地の人間だろうか。雅勝が見たこともないような鎖鎌をいとも軽々と扱っている。
影衆は終身なので、一生涯、本領と明野領とその周辺の諸藩から出ることはない。出られないと知っているからこそこんな時まれに、決して見ることのない外の世界にほんの一瞬、心を馳せることがある。
こんな大きな船に乗って遠くに旅立つことができたなら、一体、どんな気分なのだろう。
鎖鎌が巻き付いた長刀を諦め、脇差しを抜く。雅勝が鎖鎌ごと刀を放り投げたので、鎖鎌の男は一瞬、たたらを踏んで前のめりに均衡を崩した。その隙を逃さず身をかがめて突進し、脇差しを正確に心の臓に突き立てる。引き抜いた脇差しを鞘に、投げ捨てた刀を拾い上げた時、海を背に雅明が駆けてくるのが見えた。
「――雅勝兄者、終わったか?」
「ああ、雅明。そっちはどうだ」
「大体始末した。多分、戦える奴は誰も残ってない」
北前船が着く明野領の西岸の海は、内海なので基本、波は静かだ。言われなければ海上と気づかないような船の甲板で、先ほどまで強烈に感じていた潮の香よりも、血の匂いの方が強くなっている。頬に返り血を浴びた弟分がにっと笑った。この顔からすると雅道、雅規の二人も無事だろう。
「よし、後は一通り船を見てから撤退するぞ」
恐らくどこかに北前船から奪った金品があるはずなので、藩からはぜひともそれを持ってくるように言われている。案外、こちらが本来の目的だったかもしれぬ。
四人がかりで、ざっと十四、五人は倒したろうか。海水と血で履物の底が濡れて滑りやすい。他の三人に転ばないよう指示を出し、薄暗い船室の中を捜索すると、さほど行く前に大きな船室が見つかった。案の定、布やら毛皮やら昆布やら、様々な荷がうずたかく積まれている。その荷の影に隠れるように――人がいた。
見たところ十台半ばくらいの若い娘で、着ているものと髪型が見慣れなかった。海賊は金品だけでなく女子供をさらうこともある。この娘もそんなさらわれた人間の一人だろうか。
一見、害のない人間に見えても、それが敵方でない保証はない。右手を刀の鞘に添えたまま、慎重に距離をつめる。雅勝が近づいた分、娘が後ずさり、やがて埃だらけの船室の角で膝を抱えてうずくまってしまった。
「お前も奴らの仲間か?」
よほど恐ろしいのか、ただひたすらに身を竦め、ふるふると首を振っている。見たところ武器の類はなさそうだ。白い頬に涙の筋が浮いているのを見て、何故か以前、ほんの少し係り合いになった娘のことを思い出した。
本来、影衆と奥に仕える侍女との間に接点ない。ひょんなことで係り合いになり――心の片隅に残ってしまったが、この先、雅勝とあの娘が会うことはもうないのだろう。
「……こちらの言葉はわかるか?」
腕に微かな痛みを感じたのと、反対側の手で脇差しを抜いたのはほぼ同時だった。
「雅勝兄!――毒だ!」
武器はないと見せかけて、掌の中に隠し持っていたのか。伸ばしかけていた左の腕――ちょうど以前、あの娘に手当てを受けた場所に近い――に針か棘のようなものが突き刺さっている。
顔色を変えた雅道が刀を抜いて前に出る。しかし彼が刀を振るうより、雅勝が娘の身体から脇差しを引き抜く方が早かった。雅勝の脇差しに貫かれ、船室の隅に娘の身体が崩れ落ちる。その唇が人でも食らったかのように赤いのが、やけに印象に残った。
「――多分、琉球あたりの飛虫の毒だと思うんだ」
何かの毒だろう。それはすぐに想像がついたので、刺された箇所を熱した刃で焼いて塩水で洗い、応急手当は行ったのだ。その後、数日間はまったく何の問題もなく、自分の足で歩いて寺に戻ってきて、子ども達の手習いを見て、なんだか寒気がするから今日は早めに休むと部屋に入って――高熱を出し、丸二日、意識が戻らない。
るいが通された法勝寺の一室は、相変わらず何もなかった。
家具らしい家具は小さな文机一つだけで、あの時に見た木仏は一体もなかった。かわりに薄い夜着の中で、隠密の男が目を閉じている。時折、夜着の胸元がわずかに動くところを目にしなければ、遺体と言われても信じたかもしれない。
「……どうして、わたしを呼んだのですか」
「俺はこいつとは長い付き合いでね。雅勝が、自分から女の素性を洗ってくれなんて言ってくるの初めてだったからさ。こいつがお前に惚れているんなら……一目くらい会いたいだろうと思ってな」
若き次席家老殿の言葉に、いくらなんでもそれはないだろう、とるいは思った。るいが実際に雅勝と会って言葉を交わしたのは、片手の指で足りるくらい――ほんの数度だけのことだ。その数度があまりに印象深くて、忘れることが出来なくなってしまったけれど、さすがに惚れたの腫れたのという間柄には程遠い。第一、普通、男が女を想う時に、素性を洗えとはいわないだろう。
――だけどどうして、ここにはこんなに何もないの。
飛虫の毒とやらをるいは詳しく知らないが、毒にやられたなら毒消しの薬を飲ませて、熱があるなら部屋を暖めて、多分――いや絶対に、額を冷やした方がいい。るいをここに連れて来る前に、やれることはたくさんあったはずなのに、部屋の中には火鉢も手拭いも、看病をする人間も、病人の寝間だというのに水差しすらもない。
「西の河原に養生所がありますよね。あそこになら毒消しの薬草もあるはずです。行ってもらってきます」
立ち上がって何もない部屋を出ようとした時、和尚に腕を掴んで呼び止められた。
「――おるい殿。薬も包帯も無限ではないのです。今ここで影衆に使ってしまっては、この先、本当に必要な人間に行き渡らなくなるのですよ」
「誰だって、人の命は一つだけです!」
るいに腕を振り払われて、和尚は純粋に意外そうな顔をした。
年の頃ならるいの倍は長く生きているだろう。剃り上げた頭はいつ見ても艶やかで、首からは大きな数珠を下げている。穏やかに諭す口調はさすが御仏に仕える人間のそれであり、きっとこれまでこの和尚の言うことならば、誰もが疑念を感じることもなく、その言葉に従ってきたのだろう。
るいとて、和尚の言う理屈がわからないわけではない。非情の場であれば命の選択がやむを得ないこともあるだろう。しかし今、明野領には災厄も疫病もなく、人々は平和に日々の糧を得て暮らしている。来るかどうかもわからない未来の為に、今、目の前で苦しむ人間を打ち捨てよと、仮にも御仏に仕える人間が口にするのか。
前に雅勝自身が言っていた。明野領には影を診る医者などいないと。影衆もまたこの地で暮らす民であるはずなのに、見放されることを当然のごとく受け入れていた。それがこの土地の倣いなのだというのなら、そんな倣い自体が間違っている。そんな倣いにしたがって今この男が一人、苦しむままで放置されているのだとしたら。
――ただひたすら、悔しくてたまらなかった。
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