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じめじめ
しおりを挟む大学に行くために無駄に電車を乗り継いで、大きな駅に着いた。ここから大学へ歩いて行く。
今日みたいな蒸し蒸しとした梅雨真っ只中は、あまり動きたくなくなる。
涼しい部屋の中で1限目の講義を受けた後、廉からメッセージが来た。
『猫😺拾った! 今日学校行く?』
ショボショボの仔猫の写真も送られている。
『その猫どうするの? 学校もう居る』
無難に返して廉のメッセージを待つ。
今は見ていないのか、既読に間が空く。その間に仔猫の写真をちゃんと見てみることにした。
毛は白くてパサパサしていて、茶色の汚れが目立つ。目はがっちりと閉じているし、目ヤニが汚い。今にも死んでしまいそうな。
そして、だんだん腹の底からゾワゾワとした不快感が溢れてくる。
さらにビリビリと鳥肌も立ってきたから、メッセージアプリを1度閉じた。
昼になるまでスマホを触っていなかったので、大量に来ていたメッセージにビックリした。
1番最初に、
『病院連れて行った!』
から続けて、
『飼ってくれる人探さないといけないよね』
『病院めっちゃ金かかるじゃんビビった(笑)』
『天の家は猫飼える?』
(目をうるうるとさせているネコのスタンプ)
『大家さんにきいたら俺んちで飼っていいって言ってくれた!』
(ありがとうのスタンプ)
(ありがとうのスタンプ)
で終わっていた。
午前の内に全て解決したらしい。さすがの身軽さだ。ペットを飼うなんてすごいお金を使うと聞いた。廉は大丈夫なんだろうか。
病院代の高さに笑ってるから別にそれほど気にしなさそうだけど。
よかったのスタンプを1つ送ってメッセージアプリを閉じた。
……廉は今日大学に行くつもりだったんだろうか。
「あ! ごめんちょっといい?」
珍しく、人に声を掛けられた。
特に顔見知りとかではない。同い年くらいの男。
「廉……境廉と最近仲良くしてる、よね?」
「そう、だけど」
「今日廉大学来てる?」
「知らない。猫拾った、って連絡はきたけど」
「猫!?」
源本陽介。廉と小学生からの腐れ縁らしい。
なんの偶然か次の講義が一緒だったので、隣の席に座ってきた。
源本くんもよく喋る性格なのか、廉との話で随分間がもった。
「道鐘って話してみるといいヤツだな! なんかスカしてて取っつきにくいヤツだと思ってた!」
結構な評価を持たれていたようで、少し悲しかった。
ま、アイツの家寄ってみるわ! と無駄に爽やかに去っていった源本くんを見送った。
スマホを見ると、廉からメッセージが返っていた。
『ネコ用品買うの付き合って!』
(お願いしますのスタンプ)
『忙しかったらゴメン…』
『今から? いいよ』
1人より2人で買い物したほうが楽だろうし、せっかく俺に頼んでくれたので二つ返事で受けた。
そういえば、源本くんが廉の家寄るって言ってたな。そうしたらその2人で行くことになったりするのか?
特にそんな話題もなく、廉から喜びが伝わるスタンプをもらって、駅集合になった。
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