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第十三話 「兄と弟」
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―虹色の夏―
第十三話 「兄と弟」
「お前は中学校からの幼馴染だから話したかもしれないけど俺には弟がいたんだ」
「知ってるわ、前に弟さんを事故で亡くしたって聞いたけど
まさかそのことと何か関係があるの?」
「お前の言う通り、恐喝事件の被害者と俺はただの同級生じゃない・・
浩紀、今回の恐喝事件の被害者の同級生の名前なんだけど、浩紀には
実は俺と同じく弟がいた。俺の弟と同級生だったんだ
二人はすごく仲が良くてよく遊んでいた・・。でもある日二人で
公園で遊んでいたら車との接触事故に巻き込まれたんだ
俺と浩紀が病院に駆け付けたとき二人とも重体で車を運転していた運転手
は昼間から酒を飲んでいたらしくて飲酒運転だったよ
俺も浩紀もその飲酒運転をした男を許せなくてさ
俺と浩紀はお互いの弟が助かることを願っていたけど浩紀の弟は
なんとか助かったけど。俺の弟は亡くなった。浩紀は元気になった弟と
俺の弟の葬式にも来てくれた。そのあと俺に力をたくさん貸してくれて
俺を支えてくれた。恐喝事件の時の加害者の同級生とは親友だって言っていたけど
俺と浩紀も親友みたいなものだった。恐喝事件の後、俺に泣いて懇願したのも
加害者の男が浩紀にとってとても大切な親友だったから。だから同じく親友の俺に
とっても浩紀の辛い気持ちは痛いほど分かるんだ・・。
だからこそ大学側に言えないんだよ。浩紀はその加害者の親友を失いたくなかった
んだよな、でも本当はお前の言う通り恐喝されたんだから大学側に
通報するべきことなのだと俺も思うよ」
俺は優里に言った・・。
「・・・・そうね」
俺は海を見ながら言った
「お前がしたいなら写真とボイスレコーダーを大学側に恐喝の証拠として渡せよ、
そうすれば浩紀は悲しむかもしれないけどきっと、それが一番いいと思うよ
もう一年も前のことだから警察は動くかわからないけど・・。」
「もうすぐ夕飯の時間だから俺は戻るよ」
俺は腕時計をみながら言った。
「その時計まだしてくれてるのね」優里が俺の横から言った
「・・・ああ。気に入ってるんだよ。」
「嬉しいわ。あたしが去年の隼人の誕生日にプレゼントしたものだもの、
八月か、そういえばもうすぐ隼人の誕生日ね」
「・・・・・じゃあ、俺行くから」俺は優里に背中を向けて歩き出した
「ねえ、どうしてあたしが隼人の居場所が分かったと思う?」
優里の声が後ろから聞こえた「・・・・・・・」「その腕時計に細工したのよ」
「は??え??それどういうことだよ」俺は驚いて振り返った
「彼女、要さんだったかしら、彼女の星座は?」
「いきなり何だよ・・・12月生まれだからいて座だけど・・・。」
「ふーん、なるほど、しし座と射手座か・・・。相性いいわね」
「は?わけわからねえ・・それより腕時計に細工って??」
「あたしも旅館に戻るから一緒に戻るわ」
「え?まさかお前も同じ旅館に泊まるのか??マジかよ」
俺と優里は一緒に旅館に戻ることにした
--------------------------------------
ザアーザアーと海の波の音だけが響いていた
わたしは今の話を聞いていた・・。
隼人と優里さんが二人で旅館に戻って行った
恐喝事件が一年前に大学で起きたことも、隼人に弟がいたことも
わたしは全然知らなかった・・・。
隼人にとってわたしの存在って何なんだろ
わたしには何も話してくれなかった
そのことがすごく悲しかった
つづく
第十三話 「兄と弟」
「お前は中学校からの幼馴染だから話したかもしれないけど俺には弟がいたんだ」
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まさかそのことと何か関係があるの?」
「お前の言う通り、恐喝事件の被害者と俺はただの同級生じゃない・・
浩紀、今回の恐喝事件の被害者の同級生の名前なんだけど、浩紀には
実は俺と同じく弟がいた。俺の弟と同級生だったんだ
二人はすごく仲が良くてよく遊んでいた・・。でもある日二人で
公園で遊んでいたら車との接触事故に巻き込まれたんだ
俺と浩紀が病院に駆け付けたとき二人とも重体で車を運転していた運転手
は昼間から酒を飲んでいたらしくて飲酒運転だったよ
俺も浩紀もその飲酒運転をした男を許せなくてさ
俺と浩紀はお互いの弟が助かることを願っていたけど浩紀の弟は
なんとか助かったけど。俺の弟は亡くなった。浩紀は元気になった弟と
俺の弟の葬式にも来てくれた。そのあと俺に力をたくさん貸してくれて
俺を支えてくれた。恐喝事件の時の加害者の同級生とは親友だって言っていたけど
俺と浩紀も親友みたいなものだった。恐喝事件の後、俺に泣いて懇願したのも
加害者の男が浩紀にとってとても大切な親友だったから。だから同じく親友の俺に
とっても浩紀の辛い気持ちは痛いほど分かるんだ・・。
だからこそ大学側に言えないんだよ。浩紀はその加害者の親友を失いたくなかった
んだよな、でも本当はお前の言う通り恐喝されたんだから大学側に
通報するべきことなのだと俺も思うよ」
俺は優里に言った・・。
「・・・・そうね」
俺は海を見ながら言った
「お前がしたいなら写真とボイスレコーダーを大学側に恐喝の証拠として渡せよ、
そうすれば浩紀は悲しむかもしれないけどきっと、それが一番いいと思うよ
もう一年も前のことだから警察は動くかわからないけど・・。」
「もうすぐ夕飯の時間だから俺は戻るよ」
俺は腕時計をみながら言った。
「その時計まだしてくれてるのね」優里が俺の横から言った
「・・・ああ。気に入ってるんだよ。」
「嬉しいわ。あたしが去年の隼人の誕生日にプレゼントしたものだもの、
八月か、そういえばもうすぐ隼人の誕生日ね」
「・・・・・じゃあ、俺行くから」俺は優里に背中を向けて歩き出した
「ねえ、どうしてあたしが隼人の居場所が分かったと思う?」
優里の声が後ろから聞こえた「・・・・・・・」「その腕時計に細工したのよ」
「は??え??それどういうことだよ」俺は驚いて振り返った
「彼女、要さんだったかしら、彼女の星座は?」
「いきなり何だよ・・・12月生まれだからいて座だけど・・・。」
「ふーん、なるほど、しし座と射手座か・・・。相性いいわね」
「は?わけわからねえ・・それより腕時計に細工って??」
「あたしも旅館に戻るから一緒に戻るわ」
「え?まさかお前も同じ旅館に泊まるのか??マジかよ」
俺と優里は一緒に旅館に戻ることにした
--------------------------------------
ザアーザアーと海の波の音だけが響いていた
わたしは今の話を聞いていた・・。
隼人と優里さんが二人で旅館に戻って行った
恐喝事件が一年前に大学で起きたことも、隼人に弟がいたことも
わたしは全然知らなかった・・・。
隼人にとってわたしの存在って何なんだろ
わたしには何も話してくれなかった
そのことがすごく悲しかった
つづく
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