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番外編シリーズ
第2章ミルテア国編番外編2 アサヒ郊外での一幕
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アサヒにて依頼を受けたリオは、宿場町であるアサヒから南に続く街道を仲間たちと共に歩いていた。
今回リオ達が受けた依頼とは「町周辺の警戒」というものであり、内容は文字通り「周辺に危険な存在が居ないかの警戒調査」であった。
だが普段であれば、よほど治安の悪い地域でもない限り、この依頼はほぼタダ働き同然の報酬しかないため冒険者や傭兵の中ではかなり不人気な依頼である。
「少年、いくらなんでも依頼中だぞ」
「そうなんだけど、この人数だとさすがに・・・ね?」
「いや、それは私も思うが・・・」
そんな依頼を受けていたリオ達は現在、シオン、ミーシャ、ショウの3人が率先して周辺を見回っていたことから、手持ち無沙汰の状態であった。
その状態から暇を持て余していたリオは、アサヒで依頼を受けた際にマックスに宣言した事を実行しようとしていたのだった。
「というわけで、マックスさん」
「えっとー・・・まじでやるんですか?」
「もちろん」
にこりと笑顔を浮かべながらマックスの顔を見るリオ。そしてその笑顔が、まるで「悪魔の微笑み」のように見えてしまったマックスが体をびくりと震わせる。
「じゃ、いくよ」
マックスが体を震わせた直後、リオがわずかな時間でマックスへと接近、低姿勢から飛び膝蹴りを叩きこむために地面を蹴る。
なお、今回の手合わせは「武器の使用禁止」「魔法の使用禁止」という2つのルールの下行われていた。
「さすがにこれくらいは避けれますよ」
対するマックスは左足を後方へずらしリオの跳び膝蹴りを回避しようとする。
だがマックスの目の前でリオの突き出していた右足がまっすぐに伸び、そのつま先が地面へ接したかと思うと、その右足を軸にリオが回し蹴りを叩きこんだ。
マックスの背中側へ迫っていくリオの攻撃は、マックスの右脇腹へと直撃。そのままマックスが地面を転がっていく。
少しし、回し蹴りが直撃し地面を転がったマックスが脇腹を抑えながら立ち上がる。
「勢いの良いフェイントですね・・・」
「元々は回し蹴りなんてするつもりはなかったんだけどね」
「避けたからってことですか」
リオの台詞に舌を巻くマックス。
「どうやったらあの状態からあの動きをしようって脳にいくんですか・・・」
「一応、回避されてもいいように保険はかけてたからね」
「・・・はは」
初めから用意周到に策を練っていた様子のリオに、マックスが思わず乾いた笑いを零した。
その後、数回ほど同じことを繰り返したリオとマックスだったが、結果は全てリオの完全勝利に終わっていた。
息を切らしながら地面へと横たわったマックスが悪態をつくような口調でリオに声をかける。
「もう無理。リオさん、いくら失言の罰だからってやりすぎでは」
「・・・?僕、いつそんなこと言ったっけ?」
「え・・・」
「今は依頼中に暇になったから暇つぶししてただけだよ?」
「え・・・」
リオの口から告げられた衝撃の事実に思考が停止するマックス。
「ひま、ひま、ひつまぶし?」
「何、ひつまぶしって・・・」
「いや、オレも分からない・・・」
思考が完全に停止したまま適当なことを口にしたマックスに対し、リオがジト目で睨む。
「・・・訳の分からないことを言えるならまだやれるよね?」
するとどうやら、リオは適当なことを口にしたマックスはまだ余裕があると判断したらしく、再度悪魔の微笑みを浮かべる。
「今度はマックスさんのお望みの罰だから。安心して」
リオの台詞を聞いて顔を引きつらせるマックス。そして――
「安心できねええええぇぇぇ!」
即座にその場から逃げ出したのだった。――なお、この後リオに追い付かれてしばらくの間再起不能になるほどに〆られたのだが、それは別のお話。
今回リオ達が受けた依頼とは「町周辺の警戒」というものであり、内容は文字通り「周辺に危険な存在が居ないかの警戒調査」であった。
だが普段であれば、よほど治安の悪い地域でもない限り、この依頼はほぼタダ働き同然の報酬しかないため冒険者や傭兵の中ではかなり不人気な依頼である。
「少年、いくらなんでも依頼中だぞ」
「そうなんだけど、この人数だとさすがに・・・ね?」
「いや、それは私も思うが・・・」
そんな依頼を受けていたリオ達は現在、シオン、ミーシャ、ショウの3人が率先して周辺を見回っていたことから、手持ち無沙汰の状態であった。
その状態から暇を持て余していたリオは、アサヒで依頼を受けた際にマックスに宣言した事を実行しようとしていたのだった。
「というわけで、マックスさん」
「えっとー・・・まじでやるんですか?」
「もちろん」
にこりと笑顔を浮かべながらマックスの顔を見るリオ。そしてその笑顔が、まるで「悪魔の微笑み」のように見えてしまったマックスが体をびくりと震わせる。
「じゃ、いくよ」
マックスが体を震わせた直後、リオがわずかな時間でマックスへと接近、低姿勢から飛び膝蹴りを叩きこむために地面を蹴る。
なお、今回の手合わせは「武器の使用禁止」「魔法の使用禁止」という2つのルールの下行われていた。
「さすがにこれくらいは避けれますよ」
対するマックスは左足を後方へずらしリオの跳び膝蹴りを回避しようとする。
だがマックスの目の前でリオの突き出していた右足がまっすぐに伸び、そのつま先が地面へ接したかと思うと、その右足を軸にリオが回し蹴りを叩きこんだ。
マックスの背中側へ迫っていくリオの攻撃は、マックスの右脇腹へと直撃。そのままマックスが地面を転がっていく。
少しし、回し蹴りが直撃し地面を転がったマックスが脇腹を抑えながら立ち上がる。
「勢いの良いフェイントですね・・・」
「元々は回し蹴りなんてするつもりはなかったんだけどね」
「避けたからってことですか」
リオの台詞に舌を巻くマックス。
「どうやったらあの状態からあの動きをしようって脳にいくんですか・・・」
「一応、回避されてもいいように保険はかけてたからね」
「・・・はは」
初めから用意周到に策を練っていた様子のリオに、マックスが思わず乾いた笑いを零した。
その後、数回ほど同じことを繰り返したリオとマックスだったが、結果は全てリオの完全勝利に終わっていた。
息を切らしながら地面へと横たわったマックスが悪態をつくような口調でリオに声をかける。
「もう無理。リオさん、いくら失言の罰だからってやりすぎでは」
「・・・?僕、いつそんなこと言ったっけ?」
「え・・・」
「今は依頼中に暇になったから暇つぶししてただけだよ?」
「え・・・」
リオの口から告げられた衝撃の事実に思考が停止するマックス。
「ひま、ひま、ひつまぶし?」
「何、ひつまぶしって・・・」
「いや、オレも分からない・・・」
思考が完全に停止したまま適当なことを口にしたマックスに対し、リオがジト目で睨む。
「・・・訳の分からないことを言えるならまだやれるよね?」
するとどうやら、リオは適当なことを口にしたマックスはまだ余裕があると判断したらしく、再度悪魔の微笑みを浮かべる。
「今度はマックスさんのお望みの罰だから。安心して」
リオの台詞を聞いて顔を引きつらせるマックス。そして――
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即座にその場から逃げ出したのだった。――なお、この後リオに追い付かれてしばらくの間再起不能になるほどに〆られたのだが、それは別のお話。
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作品登録しときますね♪ゆっくり読ませてもらいます(^^)
感想ありがとうございます!
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ルビの振り方が好きです。
展開の進みが良くて面白いです。
応援してます!
感想ありがとうございます!
結構好き勝手に書いている物でそう言っていただけると嬉しいです