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46.一体感が

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《もちろんそれについても考えてあるさ》

 というわけで俺は壁まで飛んでいくと、錬金ではなく魔法で作った扉を設置した。

〉そうか。その扉の場所から地上まで続く階段を作って出ていくつもりだな
〉なるほど
〉そうに違いない!
〉それしかないだろ!
〉そうじゃないと地上に出られないだろう!
〉それが正解だろ!

 まぁ普通に考えればそうだろう。普通の日本の常識で考えれば。
 しかし、ここは異世界で魔法があるんだ。それを考えれば思いつきそうでもあるんだけどな。

《残念だがハズレだ》

〉なんだと!?
〉ウソを言うな!

《ウソじゃねぇって。
 そもそも階段をつけるなら地上から階段を作りながら降りてくる普通の作り方で地下室を作ってるって》

〉あー
〉確かにそれもそうか
〉でも、そうなると………
〉じゃあどうやって地上に出るっていうんだ!?
〉扉だけあっても意味ないぞ!

 確かに扉だけあっても意味はない。そんなこと言われなくてもわかってる。

〉それがわからないなんて
〉ハハァ~ンボケたか?レイン
〉赤ちゃんにボケた?は草
〉ちょっ!笑わすなwww
〉お茶吹いちゃったじゃねーかwww
〉でも中身はおっさんだからボケたってのもあながち間違いじゃない?
〉赤ちゃんに転生してるから脳の若さは戻ってるだろうwww
〉それでもボケるってwww
〉相当重症だぞwww
〉もう手の施しようはないなwww

《はいはい。言いたいだけ言っとけ》

 リスナー達の煽りを無視した俺はドローンを地上に戻して周囲の状況を確認してからユファ婆さまの近くに転移した。

「おっ」

 流石に急に現れた俺にユファ婆さまは少し驚いていたが、すぐに笑顔になると俺を抱きかかえた。
 その後ろでは相変わらずオルフィールとフィーシャ達が争っていたが、そこはやっぱり無視でいいだろう。

「地下室はできたのかい?」
「はい。ですので一度詰所のほうへ行きましょう」

 俺が詰所のほうを指差すと、ユファ婆さまは詰所のほうを見た。

「詰所へ?」
「はい。そこに出入り口を作ろうと思いますから」
「そうかい。それなら詰所のほうへ行こうか」

〉詰所に出入り口を作る?
〉ホントにどうするつもりだ?
〉全くわからない
〉想像出来ない
〉一体どうするつもりなんだ?
〉教えろよ

《それは見てのお楽しみだな》

 俺を抱きかかえたまま歩きだしたユファ婆さまのあとにシーナ達が続く中、オルフィールまでついてこようとしたのでまたガイアスとの戦いが始まってしまった。

 さすがにこれを放置は出来ないので、

「お仕事頑張ってね、オルフィール」
「はい!」

 声をかけるとオルフィールはさっそうと仕事に戻っていった。

 それを苦笑しながら見送ってから詰所に入った俺達。

「ガイアス。扉をつけても邪魔にならない場所ってどこかな?」

 俺が聞くとガイアスは周りを見回した。

「それでしたらここですかね」

 地下室を作った場所に近い壁際をガイアスが指したので、そこへ移動して早速魔法で扉を作った。

〉これで地下室と地上に扉を作ったわけだけど
〉扉だけ作っても地下室には行けないぞwww
〉それを理解してますかwww?
〉どうやって地下室に行くつもりなんですかwww?
〉教えてよ~レイン~www

 まだボケてると煽ってくるリスナー達をささっと黙らせるために仕上げを行う。

《簡単な話さ》

 俺はあるイメージをもちながら扉に魔力を込め、それから扉を開くとその先はさっき作った地下室だった。

〉!?!?
〉どういうことだ!
〉なにが起きたというのだ!?
〉まさか!
〉あの青いたぬきの出てくるヤツで出てくる扉か!?
〉たぬきじゃなくてネコだからwww
〉間違えてやるなよwww
〉しかし、まさかあの扉を再現するなんて………
〉驚きだな

 まぁ現代日本じゃ再現不可能だろうし、どこでも行けるドアはそうそう思いつかないか。

《魔法だからこそ再現出来たわけだけど、簡単な話だっただろ?》

〉あぁ
〉これ以上なく簡単な話だったな
〉なんで思いつかなかったのかが不思議なくらい簡単な話だったぜ
〉ホントになんで思いつかなかったんだ

 そこはやっぱり魔法があるかどうかの違いとかもあるだろう。

 しかしここは、煽られた分をやり返しておくところだろう。

《フフッ。結局お前達はそれぐらいの人間だったってことだ》

〉ムカつく!
〉上から目線とかサイテー!
〉このバケモノベイビーが!
〉もげろ!
〉はげろ!

 シンプルな罵倒が始まったが、

〉グハッ!
〉味方に被弾してて草
〉FFしてるwww
〉お・ま・え・らーwww

《ホントになにしてるんだか》

 リスナーの一部がムダに被弾している中、地下室へと足を踏み入れたユファ婆さま達は驚きながら中を見回していた。

「ここは………」
「どうなっているんだ?」
「まさか地下室ですか?」

 ガイアスが周りを見ながら問いかけてきた。

「はい、さっき訓練場の壁際に区切った場所の地下に作った地下室です」

 みんなが驚きながら地下室を見回っているのを見て少しドヤってみる。

〉赤ちゃんがドヤってるwww
〉それだけのことをしたからわからんでもないがwww
〉でも、赤ちゃんのドヤ顔ってwww
〉普通はありえねーからwww

「これをあの短時間で作ったの?」

 一通り見回ったユファ婆さまが俺の元へやって来た。

「はい。魔法と錬金スキルを使って作った仮の地下室ですけど」
「仮でここまでの地下室を作れるなんてスゴイわね」

 ユファ婆さまが頭を撫でてくれた。

 やっぱり褒められるのは嬉しいな。

 なんて思っていると、

「いくら魔法とスキルを使ったからと言っても、これだけのモノをあの短時間で作るなんてありえません」

 リアナイズが俺を驚愕の眼差しで見てきた。

〉まぁ、ありえないよな
〉普通はありえないよね
〉魔法とスキルを使ったとはいえ地下室を作るのに十分もかかってねーんじゃね?
〉かかってねーな
〉異常よね
〉異常だな
〉バケモノだよな
〉バケモノだな
〉自重する気がないとはいえ流石にここまでやるとな
〉ちょっとは自重しろって言いたくなるな

《安全第一のためには自重などゴミ箱に捨ててやる所存です》

〉確かに安全第一は基本だけどwww
〉間違ってはいないけどwww
〉赤ちゃんが言う言葉じゃねーよwww
〉ってか、安全第一じゃなくても自重してなかったじゃねーかwww
〉ホントにスローライフする気はあるのかwww

 もちろんそこら辺の加減は見極めて、最終的にはスローライフしていくつもりではある。

「魔法の使い方さへ理解出来ればリアナイズでも出来ると思うよ」
「いえいえ。流石にムリですよ」
「そうかな?」
「え~と、私、レイン様の専属を務めれる自信がないのですけど………」

 キュリアスが恐る恐るといった感じで言ってきた。

「私もレイン様の魔法に対する考え方を理解出来る自信はありません!」

 リアナイズが堂々と言いきったことで、キュリアスの表情が明るくなった。

「ですよね、リアナイズさん!」
「えぇ!
 ですので、レイン様の魔法を理解しろとはいいません。
 ただ、既存の魔法の考え方や使い方との違いなどをキュリアスなりに解明してみて、私達でも使えるように変化させてみてください。無理なら無理でいいので」
「わかりました。それなら出来そうです」

 なぜだかリアナイズとキュリアスの間にスゴい一体感が出来上がった気がする。

〉レインというバケモノに振り回されるリアナイズとキュリアスwww
〉それにより生まれた一体感www
〉でも、これから先もレインのせいで振り回されそうだなwww

《俺はそんなつもりないんだけどな》

〉自重を捨てた赤ちゃんがそれを言うかwww
〉なら自重しろwww
〉お前が自重しない限りは振り回されるんだからwww
〉それを理解してあげてwww
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