上 下
2 / 148

1.暇つぶしに困る

しおりを挟む
 夏真っ盛りとあって今日の最高記憶は35度を超えると天気予報で言っていたこともあり、俺は外に出ることを諦めた。

 となると何をするかだけど、今家で出来ることといえばテレビを見るか、漫画を読むか、ゲームをするかの3択になるだろう。
 その中でどれをするか考えながらふと手に持っているスマホを見る。

「ゲームでもするか。ってあれ?」

 スマホ内にゲームがないだと?
 普段から1つはスマホにゲームを入れているはずなのにどういうことだ?

 もう1度スマホを見返しながらふと思い出す。

「あっ、そっか」

 昨日までやっていたゲームは飽きたからアンインストールしたんだっけ。

 つまり、ゲームをしたいなら新しいゲームをインストールしなければいけないわけだ。

 そうなると、どうするか。

 ゲームをするなら新たなゲームをインストールしないといけないわけだが、そうするくらいならテレビや漫画を見るほうが簡単でいいわけだけど、なぜだかゲームをしたい気持ちがあった。

 というわけで早速新しいゲームを探し始めたのだが、

「どれもイマイチだな」

 色々とゲームを見てみたが、「これだ!」というゲームが見つからない。
 しかし、スマホの中にゲームを入れていないといざという時の暇つぶしに困るので何か一つでも入れておきたい。

 なので、さらに探していると、

『異世界で新しい人生を始めてみる気はないかい?』

 なんとも壮大なキャッチコピーのゲームを見つけた。(名前は何故か思い出せないのは、多分何かの陰謀のような気がする)
 しかし、PVやキャラ画像、戦闘シーン画像などが全くなく、わかる情報がキャッチコピーとジャンルがMMORPGということだけ。そんなシンプルとも手抜きとも取れるゲーム。

「どうするか」

 なぜだか凄く気になっているのでやってみたい気持ちが強いのだが、やっぱりキャラや戦闘シーン画像すらないってのがなんともいえない。

 普通は宣伝のために最低でもキャラ画像や戦闘シーン画像ぐらい作るだろうにそれすらしないなんて。

 そう考えると、キャラや戦闘シーン画像すら作れないくらい予算のない駄作なのか、そんな宣伝をする必要のないくらいの自信作なのか。二つに一つ。

 不安と期待が半々、より不安な気持ちのほうが強いなか、それでもやりたい気持ちが強いのでとりあえずインストールすることにした。

「駄作ならすぐにアンインストールすればいいだけだしな」

 ゲームのインストールが完了したので早速起動させると、初回起動のインストールやオープニングムービーすらもなくタイトル画面(やっぱりタイトルは思い出せない)にやってきた。

 うん。駄作の予感。
 初回起動のインストールはともかく、オープニングムービーすらないのはいくらなんでもありえないだろ。
 一応、戦闘シーンとか見てみたいからするけど、多分かなりの人がこの時点でアンインストールしそうな気がする。

 というわけでログインすると当然ながらキャラクター作成画面が現れた。

 まずは性別。
 たまに女を選択してネカマをすることもあるけど、今回は素直に男を選択。

 すると、画面には透き通った蒼い眼と頂点が紅で毛先に向かうにつれシルバーに変化していくという特徴のある髪色の少年キャラが現れた。

 キャラの作りはしっかりしてるな。ってか、これにこだわりすぎたとかいう理由で他がおろそかになったとかありえないよな?

「まさか………な」

 苦笑しながら不安な気持ちがさらに強くなってきた。

 ってか流石にこの髪色は派手すぎるから変更したいと思ったのだが、変更する場所がない。

 えっ?まさか自分でキャラを作ることができない仕様なのか?
 MMORPGって普通自分好みのキャラを作って遊べるのがウリのはずなのにそれすら出来ないって………。

 やっぱり駄作の予感。ってかほぼ確定だな。

 しかし、このキャラ自体は好きだ。髪色の派手さは別として。
 だからこそ続けるかどうか悩んでしまう。

 でも、アンインストールするならするで、また違うゲームを探さなくちゃいけなくなる。

「それはそれでめんどくさい」

 なのでこのまま続けてみよう。

 というわけで次のスキル選択画面に移ったのだが、選択出来るスキルの数が多すぎて画面が文字で埋まった。

 軽く流して見てみたが、剣や槍などの武器スキルから始まり、火魔法や水魔法などの魔法スキル、鍛冶や調合などの技能スキル、釣りや料理などの趣味スキルと多彩なスキルがあった。

「この中からスキルを五個選べと………。多すぎねーか?」

 見た目をイジれない分スキルの組み合わせで個性が出せるってか?
 しかし、それにしてもスキルの数が多すぎる気がする。
 確かにスキルの組み合わせだけで何億通りも出来るから十分個性が出るだろうけど。

 でも、

「こんだけスキル考える時間があるならもっと他のことも考えろや!運営はバカなのか!?」

 抑えきれなくなった不満を叫んだことで少しスッキリしたし、頑張ってスキル編成を考えるか。

 とはいえ、なんとなくのスキル編成はもう頭の中にある。

 こういうMMORPGでの俺のプレイスタイルは生産職だ。
 なので、とりあえず技能スキルを一通り見ていき、錬金・鍛冶・調合の技能スキルをまず取る。

 しかし、それ以外の技能スキルはなんともいえなかったので魔法スキルの方を見てみる。

 そこでふと気になったのが付与魔法。

 付与といえば武器に属性魔法などを付与して属性武器などを作れるかもしれないので、魔法スキルの付与を取ったのであと一つ。

 戦闘する気はないから武器スキルと他の魔法スキルはパス。趣味スキルはあとからでも取れると思うからこれもパス。

 となると技能スキルからってことになるけどどれがいいのか。
 色々見ていく中で、最終的に気になって取ったスキルは並列思考だった。

「これでよし」

 というわけで完了のボタンを押した瞬間、俺の意識はそこで途切れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ―――

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

貴族の家に転生した俺は、やり過ぎチートで異世界を自由に生きる

フリウス
ファンタジー
幼い頃からファンタジー好きな夢幻才斗(むげんさいと)。 自室でのゲーム中に突然死した才斗だが、才斗大好き女神:レアオルによって、自分が管理している異世界に転生する。 だが、事前に二人で相談して身につけたチートは…一言で言えば普通の神が裸足で逃げ出すような「やり過ぎチート」だった!? 伯爵家の三男に転生した才斗=ウェルガは、今日も気ままに非常識で遊び倒し、剣と魔法の異世界を楽しんでいる…。 アホみたいに異世界転生作品を読んでいたら、自分でも作りたくなって勢いで書いちゃいましたww ご都合主義やらなにやら色々ありますが、主人公最強物が書きたかったので…興味がある方は是非♪ それと、作者の都合上、かなり更新が不安定になります。あしからず。 ちなみにミスって各話が1100~1500字と短めです。なのでなかなか主人公は大人になれません。 現在、最低でも月1~2月(ふたつき)に1話更新中…

ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう

味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく

処理中です...