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52.おっ昼

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 2人が起きたのはちょうどお昼の鐘が鳴った頃だった。

「おはよう」

 僕が声をかけると、2人は目をこすりながら僕の方を見てきた。

『おはよう』

 まだ眠そうな2人はあくびをしながらも挨拶を返してくれた。

 しかし、お昼時とだけあっては起きたばかりとはいえ2人のお腹は空腹を主張するために鳴るわけで、オルスニードは素直にお腹がすいたと言ってくるのだけど、女の子のイヴィリアは顔を赤くした。
 なので、イヴィリアの顔の赤らみやお腹の音については触れずに僕はオルスニードの頭を撫でた。

「僕もお腹がすいていたところだし、お昼を食べにいこう。イヴィリアはどうする?」

 イヴィリアのお腹の音には気づいていない風を装って問いかけると、イヴィリアはうつむきながらも小さく頷いた。

「それじゃあ行こう」
「はい!」

 オルスニードは元気よく頷くと立ち上がったが、イヴィリアは小さく深呼吸したあとチラッとカレンの方を見た。

「その前にそのお姉さんは誰?」

 カレンのことを警戒しているのか、軽く睨みつけながらイヴィリアは僕に問いかけてきた。

 イヴィリアの言葉でようやくカレンがいることに疑問を感じたが、オルスニードは警戒というより興味津々といった様子でカレンを見ていた。

「僕の仲間のカレンだよ」

 僕が紹介すると、カレンは笑顔で手を振った。

「初めまして、カレンです。よろしくね」
「よろしく!」

 助かったということもあってか、オルスニードは元気満々でカレンに笑顔を向けたが、イヴィリアはまだ軽く睨みつけるのをやめなかった。

「なんか警戒する猫みたいだな」か。

 確かにそんな風に見えなくもないか。

 もしここでカレンがイヴィリアの頭を撫でようとでもすれば、イヴィリアはシャー!と威嚇しそうな雰囲気があるね。

「今でも十分毛を逆立ててそうだけどな」か。

 それもわかる。

 しかし、僕が仲間だと説明したのだからそこまで警戒する必要もないはずなのだが、イヴィリアの元々の性分なのかもしれないね。

「お前は警戒するのがイヴィリアの性分とか言ってるが、お前やオリフィスやリコフィスと初めて会った時は全く警戒しなかったじゃねーか」か。

 そうだね。

 でも、あの時は牢屋に入れられていたせいで気持ち的にも憔悴しきっていただろうし、同じように捕まって牢屋に入れられた僕達に仲間意識をもったから警戒しなかったのじゃないかな。

 なんて憶測をたてていると、すすっと僕の方へイヴィリアが近づいてきた。

「つまり、お姉さんも冒険者ってこと?」

 警戒しながらもそこが気になったのか、イヴィリアはカレンに問いかけた。

「えぇ。そうよ」

 それを聞いたイヴィリアはカレンの全身をマジマジと見始めた。

 マジマジと見られているカレンは特に気にした様子もなくイヴィリアの視線を受けていた。

 そんな風にカレンを見ていたイヴィリアの瞳には、警戒よりも興味のほうが強くあらわれているような気がした。

 何に興味をひかれたのかわからないけど、警戒がなくなったのならそれでいいかと思った。

「ほら、お昼ご飯食べに行くよ」

 警戒がなくなって興味をもちだしたのはいいのだけど、オルスニードだけじゃなく僕もお腹がすいているから早くお昼ご飯を食べたいので立ち上がってイヴィリアに手を差し出す。

 すると、一瞬戸惑ったイヴィリアだったが、すぐに僕の手をとって立ち上がった。

「おっ昼おっ昼」

 ウキウキした様子で立ち上がったオルスニードが僕の腕に抱きついてきた。

 そんなオルスニードの姿に僕やカレンだけじゃなくイヴィリアも微笑んだ。

 オルスニードのおかげでイヴィリアの雰囲気も柔らかくなったな、と思いながら部屋を出ると、外にはションゴン達だけではなくカリスナまでいた。
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