50 / 52
50.なった程度
しおりを挟む
牢屋を出て上に上がると、そこは倉庫のような建物の中で、色んな荷物などが置かれていたので、商会の倉庫として使っている場所なのかもしれない。
流石に捕らえた子供達をそのまま運ぶわけにもいかないだろうし、こういった荷物の中に紛れ込ませて運ぶのが普通か。
地球みたいにX線検査とかがあるわけでもないから、中身を確認されなければバレることなんてないからね。
なんて思いつつ、そういえばとも思った。
「そういえば、ここってどこなの?」
連れてこられている間は気絶していたので今どこにいるのかわかっていなかったりするわけで、僕はションゴンに聞いてみる。
「ここはイルザラの町の外れの建物の中ですね」
何事もないようにションゴンは答えているが、僕は内心かなり驚いている。
なぜなら、イルザラといえば僕達が住んでいるエルティバラから2つ隣の町だ。
2つ隣と聞くと近くに思えるが、こちらの世界での移動手段は馬か馬車が基本で、馬車での移動となると朝にエルティバラを出ても昼を越えてようやく着くぐらい時間が掛かってしまう。
「つまり、昼にエルティバラで誘拐されたということは、もう夜中になっているってことだよな?」か。
そうなるだろうね。
「これって無事に帰っても怒られるんじゃね?」か。
怒られるだろうけど。
元々後から報告してる時点で怒られるのは確定していたから、怒られるかどうかを心配する必要はないのだけど、まさかルーキーイーター達の拠点がイルザラだとは思ってもなかったね。
「エルティバラ内にあると思っていたのか?」か。
そこまでは思ってなかったけど、もう少し近くに拠点を作ってると思ってたからね。
だって誘拐した冒険者や子供達を運んでいるのだよ。そんな遠くまでいきなり運ぶとは思わないよね。
だからこそ、ションゴン達の探索力を軸に作戦を考えていたわけだけど、2つ隣の町までは流石にションゴン達の探索力は届かないからね。
もちろん捕まることが前提だからちゃんと追ってきてくれて見つけてくれるだろうし、実際見つけてくれたわけだけど、あとからそう聞くとかなり危ない橋を渡ったんだなって思ってしまうのだよね。
「自分から捕まりにいってる時点で十分危ない橋を渡っているってことを自覚しろ」か。
確かにそれもそうか。
僕は指示を出しているカリスナに近づいて小声で問いかける。
「カリスナ。うちの両親には連絡入れてる?」
せめて、カリスナから連絡が入っていれば少しは父さん達の怒りもマシになると思う。
「もちろん。街の外に出た時点で連絡のための騎士を走らせたさ」
苦笑するカリスナ。
まぁ、それもそうか。
今回のことではカリスナも確実に父さん達から怒られるだろうから、少しでも予防線は張っておくよね。
「それなら多少はマシなのかな」
僕のホッとした表情にさらに苦笑したカリスナ。
「多分、100の怒りが98ぐらいになった程度だと思うぞ」
「例え小さな違いでも、時間にすれば大きな差になることもあるからね」
そのたった2の違いで説教時間が何十分と短縮される可能性が出てくるのなら、それだけでも喜ばしいことだろう。
「それもそうか」
僕の答えに納得したカリスナは少しニヤりとした。
しかし、いくら途中気絶していたとはいえ、普段なら寝ているような時間なので、自然とあくびが出てきてしまう。
それを見たカリスナは僕の頭を撫でてきた。
「ルイ。後のことは俺達に任せて馬車に乗って先に帰るといいぞ」
「そうしたいけど」
僕はチラッとイヴィリアとオルスニードを見た。
「2人はどうするの?」
こんな形でとはいえ、ここで会ったのも何かの縁なので、このままカリスナに任せてバイバイというのはなんか違う気がした。
「騎士団のほうで朝まで預かってから事情を聞いて、それから家に帰す感じだろうな」
「まぁ、そうなるか」
僕はもう1度イヴィリアとオルスニードを見て考える。考えながらふと思い出す。
「2人が言っていたけど、彼らの前に冒険者がいてどこかに連れていかれたらしいよ」
早めに教えておくと少しでもいい方向に向かうかもしれないので先に教えておく。
「そうか。それについてもこれから調べていくよ」
「あと、やっぱり2人は朝まで家で預かることにするよ」
「え?」
カリスナは驚いた表情で僕を見てきたかと思えば、顔を近づけてきた。
「領主邸で預かるっていうのか?」
他の騎士や冒険者に聞こえないように小声で聞いてくるカリスナに僕は頷き返した。
「いくら騎士団の駐屯所とはいえ、目覚めた時に周りに知らない大人ばかりより、ちょっとでも見知った僕達が居たほうが2人も安心するでしょ?」
「それはそうだけど、な………」
渋るカリスナ。
「別に家じゃなくて駐屯所でもいいから、とりあえず僕達も2人と一緒にいるからね」
僕がそう言い切ると、カリスナはため息を吐いた。
「わかったよ。騎士団の駐屯所に部屋を用意させるからそこで休め」
「それじゃあ、よろしくね」
僕はカリスナの腕を叩くと、用意されていた馬車へと乗り込んだ。
そして、カレンとキョウに挟まれるようにして座った瞬間に気づかなかった疲れが出てきたのだろう。キョウの肩に頭を預けてコテンと眠りに落ちたのだった。
流石に捕らえた子供達をそのまま運ぶわけにもいかないだろうし、こういった荷物の中に紛れ込ませて運ぶのが普通か。
地球みたいにX線検査とかがあるわけでもないから、中身を確認されなければバレることなんてないからね。
なんて思いつつ、そういえばとも思った。
「そういえば、ここってどこなの?」
連れてこられている間は気絶していたので今どこにいるのかわかっていなかったりするわけで、僕はションゴンに聞いてみる。
「ここはイルザラの町の外れの建物の中ですね」
何事もないようにションゴンは答えているが、僕は内心かなり驚いている。
なぜなら、イルザラといえば僕達が住んでいるエルティバラから2つ隣の町だ。
2つ隣と聞くと近くに思えるが、こちらの世界での移動手段は馬か馬車が基本で、馬車での移動となると朝にエルティバラを出ても昼を越えてようやく着くぐらい時間が掛かってしまう。
「つまり、昼にエルティバラで誘拐されたということは、もう夜中になっているってことだよな?」か。
そうなるだろうね。
「これって無事に帰っても怒られるんじゃね?」か。
怒られるだろうけど。
元々後から報告してる時点で怒られるのは確定していたから、怒られるかどうかを心配する必要はないのだけど、まさかルーキーイーター達の拠点がイルザラだとは思ってもなかったね。
「エルティバラ内にあると思っていたのか?」か。
そこまでは思ってなかったけど、もう少し近くに拠点を作ってると思ってたからね。
だって誘拐した冒険者や子供達を運んでいるのだよ。そんな遠くまでいきなり運ぶとは思わないよね。
だからこそ、ションゴン達の探索力を軸に作戦を考えていたわけだけど、2つ隣の町までは流石にションゴン達の探索力は届かないからね。
もちろん捕まることが前提だからちゃんと追ってきてくれて見つけてくれるだろうし、実際見つけてくれたわけだけど、あとからそう聞くとかなり危ない橋を渡ったんだなって思ってしまうのだよね。
「自分から捕まりにいってる時点で十分危ない橋を渡っているってことを自覚しろ」か。
確かにそれもそうか。
僕は指示を出しているカリスナに近づいて小声で問いかける。
「カリスナ。うちの両親には連絡入れてる?」
せめて、カリスナから連絡が入っていれば少しは父さん達の怒りもマシになると思う。
「もちろん。街の外に出た時点で連絡のための騎士を走らせたさ」
苦笑するカリスナ。
まぁ、それもそうか。
今回のことではカリスナも確実に父さん達から怒られるだろうから、少しでも予防線は張っておくよね。
「それなら多少はマシなのかな」
僕のホッとした表情にさらに苦笑したカリスナ。
「多分、100の怒りが98ぐらいになった程度だと思うぞ」
「例え小さな違いでも、時間にすれば大きな差になることもあるからね」
そのたった2の違いで説教時間が何十分と短縮される可能性が出てくるのなら、それだけでも喜ばしいことだろう。
「それもそうか」
僕の答えに納得したカリスナは少しニヤりとした。
しかし、いくら途中気絶していたとはいえ、普段なら寝ているような時間なので、自然とあくびが出てきてしまう。
それを見たカリスナは僕の頭を撫でてきた。
「ルイ。後のことは俺達に任せて馬車に乗って先に帰るといいぞ」
「そうしたいけど」
僕はチラッとイヴィリアとオルスニードを見た。
「2人はどうするの?」
こんな形でとはいえ、ここで会ったのも何かの縁なので、このままカリスナに任せてバイバイというのはなんか違う気がした。
「騎士団のほうで朝まで預かってから事情を聞いて、それから家に帰す感じだろうな」
「まぁ、そうなるか」
僕はもう1度イヴィリアとオルスニードを見て考える。考えながらふと思い出す。
「2人が言っていたけど、彼らの前に冒険者がいてどこかに連れていかれたらしいよ」
早めに教えておくと少しでもいい方向に向かうかもしれないので先に教えておく。
「そうか。それについてもこれから調べていくよ」
「あと、やっぱり2人は朝まで家で預かることにするよ」
「え?」
カリスナは驚いた表情で僕を見てきたかと思えば、顔を近づけてきた。
「領主邸で預かるっていうのか?」
他の騎士や冒険者に聞こえないように小声で聞いてくるカリスナに僕は頷き返した。
「いくら騎士団の駐屯所とはいえ、目覚めた時に周りに知らない大人ばかりより、ちょっとでも見知った僕達が居たほうが2人も安心するでしょ?」
「それはそうだけど、な………」
渋るカリスナ。
「別に家じゃなくて駐屯所でもいいから、とりあえず僕達も2人と一緒にいるからね」
僕がそう言い切ると、カリスナはため息を吐いた。
「わかったよ。騎士団の駐屯所に部屋を用意させるからそこで休め」
「それじゃあ、よろしくね」
僕はカリスナの腕を叩くと、用意されていた馬車へと乗り込んだ。
そして、カレンとキョウに挟まれるようにして座った瞬間に気づかなかった疲れが出てきたのだろう。キョウの肩に頭を預けてコテンと眠りに落ちたのだった。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
侯爵夫人は子育て要員でした。
シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。
楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。
初恋も一瞬でさめたわ。
まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。
離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる