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43.人間がサポート

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「ルイを探す時なんだよ」

 カリスナの言葉で全員の視線が僕へと向いた。

「えっと、3人の探索能力は、ルイ君を探す時に最大限発揮される、と?」

 さっきまで色々と理解していたベルガルさんでも意味がしっかりと理解出来ていないのか、戸惑い混じりにカリスナへ聞き返していた。

 イサナミさん達も訳が分からないとばかりに首を傾げていた。

「あぁ。そういうことだ」

 理解されていないことなどお構いなしに頷くカリスナ。

「えっと、どういうことですか?」

 流石に訳がわからないフィーナさんは相手がカリスナだとか場の空気に緊張してたとか関係なく問いかけていた。

「いや、ホントにどういうことだよ」って。

 さっきションゴン達3人の索敵能力はうちの諜報部も認めてるって話したじゃない。

「したな」だよね。

 で、そのきっかけとなった出来事があってね。

 ションゴン達の戦闘訓練がある程度進んでそれなりに実力がついてきたから、もしもの時のためにということで、僕が誘拐された想定で探し出す訓練をしたことがあるんだ。

 訓練内容としては、諜報部と騎士団から選抜された5人が誘拐犯役になって僕を連れ去ったという想定で逃げ回る。

 移動範囲は街の中だけで時間は3の鐘から7の鐘がなるまで。

 もちろん誘拐犯役からすれば子供、それも戦闘訓練を多少こなしただけで探索などの経験のない相手なので楽に逃げ切れるとたかをくくっていたのだけど、結果としては5の鐘が鳴る頃には見つかるという惨敗。
 なので再戦ということでその後は本気で何度も訓練をしてみたが、その全てで5の鐘が鳴る頃には見つかるという惨敗を経験し、騎士はともかく諜報部員はかなりのショックを受けたのだ。

 ちなみに、騎士を要人に見立てて同じ訓練をした際は時間になっても見つけ出すことが出来なかったので、少しは諜報部のメンツもたもたれたのだった。

 と、いうわけだね。

「いやいやいや!」って。

 何かおかしなところでもあった?

「お前が絡んだ時だけそんなスゴい能力発揮するって逆にコエーわ!」だって。

 なんで?僕を護ってくれる護衛としては最高の人材だと思うけど?

「確かにそうなんだけど!護衛だから、でかたづけられる範疇超えてるように思うぞ!ってか、ションゴン達どんだけお前のこと好きなんだよ!って言いたいわ!」か。

 いやいや。護衛の範疇は超えてないからね。それに僕もションゴン達のことは好きだからこそ、ここまでいい関係を気づけてるのだし、別にいいじゃん。

「いや、まぁ悪くはないけど、やっぱり行き過ぎてる感じはあるんだよな」か。

 そんなことないと思うけどね。

 カリスナは訓練をかくれんぼと言いかえてションゴン達の僕を見つける早さをみんなに伝えた。

「なるほど。確かにそれはスゴいですね」
「ここに冒険者登録しに来た時から仲がいいのはわかっていたが、まさかそこまでとはね」
「流石に私でも、街中のどこにいるかもわからない仲間を3の鐘から5のをまでに探し出せって言われて探し出す自信はないわね」

 ベルガルさんは納得したように頷き、ルーファさんはシンプルに驚き、シファさんは苦笑した。

「しかし、それを説明してきたということは、つまりそういうことでいいのですか?」

 カリスナのかくれんぼの説明を聞いたベルガルさんはカリスナやションゴン達が何をしようとしているのか理解したのか、少し険しい表情でカリスナを見た。

「放置すればさらに被害が広がっていくのは目に見えている。ならば、今の状況を利用しない手はないだろ」

 カリスナの言葉に少し考えたベルガルさんは僕の方へ視線を向けてきた。

 その視線の意味がわからないので首を傾げると、ベルガルさんはカリスナの方へ視線を戻した。

「そう言うからにはもちろん大丈夫なんでしょうね」
「あぁ。そのための人員はしっかりと連れてくるし、ションゴン達はやる気になってるからな」

 カリスナがそう言うと、ションゴン達は強く頷いた。

 そんなションゴン達を見てからまた僕を見てきたベルガルさんは苦笑を浮かべた。

「当の本人がなにも理解していないみたいですけど、そこは周りの人間がサポートすればいいことですね」
「じゃあ」
「えぇ」

 頷いたベルガルさんは僕の方へマジメな表情を向けてきた。

「ルイ君には囮になってもらいたいと思います」
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