28 / 52
28.何度も何度も
しおりを挟む
「それじゃあ、移動しながら地下の訓練場についての説明をしとこうか」
先頭をフィーナさんが歩き、そのあとをルーファさん達、その後ろをついていく僕達の隣にイサナミさんがつき、さらにその後ろには野次馬の冒険者達がついてくるという形で移動を始めた。
「怪我をすることはないってどういうことなの?」
イサナミさんとルーファさんの会話の中で1番気になったのはそこだった。
「地下の訓練場は特殊な魔法空間になっていて、たとえ死ぬような怪我をしたとしても、訓練場の外の待合スペースで復活するのよ」
「待合スペースで復活ってwww」か。
確かにそう聞くと、1度完全に死んでるのじゃない?、って思うけど、ちゃんと生きてるならいいじゃない。
「でも復活って、復活ってwww」
そこまで笑うことかな?
しかし、死ぬような怪我をしても死なないとなると、1つ危惧すべきことが出てくる。
「死ぬような怪我をしても復活するなら、怪我をすることに対してなんとも思わなくなる冒険者とかが出てきくるのじゃないの?」
「よくわかってるじゃないか」
いつの間にか横に来ていたルーファさんが僕の頭を撫でた。
「確かに、なんの対策もせずに訓練場で訓練をし続けたら、そのうち外でも怪我をしても大丈夫なんて思うヤツも出てくるだろう」
実際、前世の日本でもゲーム内で人を殺しても罪にならないのなら、現実で人を殺しても罪にならないだろう、なんて馬鹿げた考えを持つ人がいるとかテレビで言っていたから、当然対策は必要になるだろう。
「じゃあ、何か対策しているの?」
わかっていて対策をしていないなんてことはないだろう。
「もちろん。
訓練場内でうけた傷は外に出れば全て治るが、受けた痛みは消えないのさ」
ルーファさんの説明になるほどなと思う。
確かに、怪我の痛みを覚えているのなら外で怪我をしても大丈夫なんて思うことはないだろうが、しかし、と思う部分もあった。
「それだと、傷は治っても死ぬような痛みを受けたトラウマで冒険者を止める人も出てくるんじゃないの?」
受けた痛みを忘れることはなかなか難しいと思っている。それが死ぬような痛みならなおさらだろう。
僕の問いかけにルーファさんは苦笑した。
「確かにそんなヤツもいたさ。
でも、冒険者っていうのは常に危険と隣り合わせの職業なんだ。魔物と戦うなんて日常茶飯事だし、時には盗賊なんかの相手をしないといけない時もある。そんな中で無傷でいられるヤツなんてそうそういないし、パーティーにヒーラーが居たとしても状況によってはすぐに傷を治してもらえるとも限らない。
そうなった時、痛みに耐えながらも生き延びることが出来るのか、戦い続けることが出来るのか。その覚悟も問う意味合いも地下の訓練場にはあるのさ」
ルーファさんは楽しそうに僕の肩を叩いてきた。
つまり、僕達は今から実力の確認と冒険者としてやっていく覚悟まで確認される、ということなのだろう。
「ということは、手加減なしで死ぬまでやるってこともあるのか」か。
あるかもね。まぁ、魔物と戦うと決めた時点でその覚悟は出来ているからね。とことんやるほうがいい経験にもなるだろうし。
なんて思っていると、ルーファさんをイサナミさんが叩いた。
「ルーファ。あまり脅すようなことを言わない。それに、今回はダンジョンに潜れるだけの実力があるかどうかの確認だけだから、ちゃんと手加減しなさいよ」
しかし、ルーファさんは気にした様子もなく笑っている。
「ハハハ。ダンジョン内で魔物が手加減するわけないだろ」
その通りなので僕も手加減は必要ないと思っているけど、それを言うとルーファさんの怒りが僕の方へ向くだろうから言わない。
「このはダンジョンでもないし、ルーファ達は魔物でもないでしょ。それに、ルーファ達の実力はギルナキルのダンジョンに出てくる魔物よりかなり上なんだから、手加減してちょうどいいくらいでしょ」
イサナミさんはさらに叩こうとしたが、ルーファさんは今度は避けた。
「それこそイレギュラーが起きたんだよ」
やる気満々のルーファさんは手加減をする気はやっぱりないみたい。
「あんた達クラスの魔物が出るイレギュラーがギルナキルのダンジョンで起きてたまるかー!」
とうとうイサナミさんがキレたが、ルーファさんはそれでも気にした様子もなく笑っていた。なので、今度は1度だけではなく何度も何度もルーファさんを叩こうとしたが、ルーファさんがあっさり避け続けたのでイサナミさんはさらにルーファさんを睨みつけた。
「おぉ、こわっ。ルイくん。ダンジョンにはあれくらい恐い魔物もいるから気をつけるんだよ」
「ルーファ!」
「アハハハハ」
ルーファさんに完全にもてあそばれているイサナミさん。
そんなイサナミさんには悪いけど、僕は気になった点があった。
「ルーファさんのランクってどれくらいなの?」
先頭をフィーナさんが歩き、そのあとをルーファさん達、その後ろをついていく僕達の隣にイサナミさんがつき、さらにその後ろには野次馬の冒険者達がついてくるという形で移動を始めた。
「怪我をすることはないってどういうことなの?」
イサナミさんとルーファさんの会話の中で1番気になったのはそこだった。
「地下の訓練場は特殊な魔法空間になっていて、たとえ死ぬような怪我をしたとしても、訓練場の外の待合スペースで復活するのよ」
「待合スペースで復活ってwww」か。
確かにそう聞くと、1度完全に死んでるのじゃない?、って思うけど、ちゃんと生きてるならいいじゃない。
「でも復活って、復活ってwww」
そこまで笑うことかな?
しかし、死ぬような怪我をしても死なないとなると、1つ危惧すべきことが出てくる。
「死ぬような怪我をしても復活するなら、怪我をすることに対してなんとも思わなくなる冒険者とかが出てきくるのじゃないの?」
「よくわかってるじゃないか」
いつの間にか横に来ていたルーファさんが僕の頭を撫でた。
「確かに、なんの対策もせずに訓練場で訓練をし続けたら、そのうち外でも怪我をしても大丈夫なんて思うヤツも出てくるだろう」
実際、前世の日本でもゲーム内で人を殺しても罪にならないのなら、現実で人を殺しても罪にならないだろう、なんて馬鹿げた考えを持つ人がいるとかテレビで言っていたから、当然対策は必要になるだろう。
「じゃあ、何か対策しているの?」
わかっていて対策をしていないなんてことはないだろう。
「もちろん。
訓練場内でうけた傷は外に出れば全て治るが、受けた痛みは消えないのさ」
ルーファさんの説明になるほどなと思う。
確かに、怪我の痛みを覚えているのなら外で怪我をしても大丈夫なんて思うことはないだろうが、しかし、と思う部分もあった。
「それだと、傷は治っても死ぬような痛みを受けたトラウマで冒険者を止める人も出てくるんじゃないの?」
受けた痛みを忘れることはなかなか難しいと思っている。それが死ぬような痛みならなおさらだろう。
僕の問いかけにルーファさんは苦笑した。
「確かにそんなヤツもいたさ。
でも、冒険者っていうのは常に危険と隣り合わせの職業なんだ。魔物と戦うなんて日常茶飯事だし、時には盗賊なんかの相手をしないといけない時もある。そんな中で無傷でいられるヤツなんてそうそういないし、パーティーにヒーラーが居たとしても状況によってはすぐに傷を治してもらえるとも限らない。
そうなった時、痛みに耐えながらも生き延びることが出来るのか、戦い続けることが出来るのか。その覚悟も問う意味合いも地下の訓練場にはあるのさ」
ルーファさんは楽しそうに僕の肩を叩いてきた。
つまり、僕達は今から実力の確認と冒険者としてやっていく覚悟まで確認される、ということなのだろう。
「ということは、手加減なしで死ぬまでやるってこともあるのか」か。
あるかもね。まぁ、魔物と戦うと決めた時点でその覚悟は出来ているからね。とことんやるほうがいい経験にもなるだろうし。
なんて思っていると、ルーファさんをイサナミさんが叩いた。
「ルーファ。あまり脅すようなことを言わない。それに、今回はダンジョンに潜れるだけの実力があるかどうかの確認だけだから、ちゃんと手加減しなさいよ」
しかし、ルーファさんは気にした様子もなく笑っている。
「ハハハ。ダンジョン内で魔物が手加減するわけないだろ」
その通りなので僕も手加減は必要ないと思っているけど、それを言うとルーファさんの怒りが僕の方へ向くだろうから言わない。
「このはダンジョンでもないし、ルーファ達は魔物でもないでしょ。それに、ルーファ達の実力はギルナキルのダンジョンに出てくる魔物よりかなり上なんだから、手加減してちょうどいいくらいでしょ」
イサナミさんはさらに叩こうとしたが、ルーファさんは今度は避けた。
「それこそイレギュラーが起きたんだよ」
やる気満々のルーファさんは手加減をする気はやっぱりないみたい。
「あんた達クラスの魔物が出るイレギュラーがギルナキルのダンジョンで起きてたまるかー!」
とうとうイサナミさんがキレたが、ルーファさんはそれでも気にした様子もなく笑っていた。なので、今度は1度だけではなく何度も何度もルーファさんを叩こうとしたが、ルーファさんがあっさり避け続けたのでイサナミさんはさらにルーファさんを睨みつけた。
「おぉ、こわっ。ルイくん。ダンジョンにはあれくらい恐い魔物もいるから気をつけるんだよ」
「ルーファ!」
「アハハハハ」
ルーファさんに完全にもてあそばれているイサナミさん。
そんなイサナミさんには悪いけど、僕は気になった点があった。
「ルーファさんのランクってどれくらいなの?」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
侯爵夫人は子育て要員でした。
シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。
楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。
初恋も一瞬でさめたわ。
まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。
離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる