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28.次の店へ
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「おかえり、コウ」「初め見た時はわからなかったよ」「スゴく大きくなったわね」「きゃー」「女性らしくなったわね」「カッコよくもなってるしね」「宝塚の男役かと思ったわ」「きゃー」「キレイになったわね」
「ちょっ!待っ!」
商店街で働くおばちゃん達をどうにかして止めようとするも、360度囲まれてしまったうえに、喋りだしたら止まらないおばちゃん達の圧に太刀打ち出来るはずもなく、おばちゃん達の勢いを止めることが出来ない。
「でもホントに久しぶりよね」「今日のおすすめの玉ねぎ貰っていってね」「きゃー」「うちはサワラ持っていってよ」「今日はいい牛バラ入ったからあげるわ」「きゃー」「揚げてコロッケ食べていきな」「うちの息子貰ってくれないかしら」「それならうちの娘が先でしょ」「きゃーきゃー」「私を貰ってくれてもいいのよ?」「うちの養子にこない?」
なんか話がおかしな方向に向かってるのだけど!さらに言えば、誰か「きゃー」しか言ってないんだけど!?
いや、それより本当にどうにかしておばちゃん達を止めないと!と思うのだけど、止める方法が思いつかない。
そもそも僕の考えでは、それぞれの店先で軽く話をして次の店へ、って感じで帰ってきた報告をすると思っていたので、ここまで一斉に押寄せられるのはホントに想定外なのだ。
そういう意味ではホントにチョウちゃんの言っていたことが正解だったのだろう。
そのチョウちゃんはまだ気絶から復活しておらず、見たがっていた大騒ぎする様子を見れていないわけだけど。
さらに言えば、そんなチョウちゃんを抱えているリンはしっかり逃げていて、おばちゃん達の輪の外から僕を見ていた。
そこら辺はちゃっかりしてるよね。
ってか、自分だけ逃げずに僕も助けるか一緒に逃げてくれればいいのに。
と、思いながらリンへ一瞬睨むように視線を向けたが、リンは気にした様子もなく楽しそうに僕達を見ていた。
そんなことをしても状況が良くなるわけじゃないとわかっているし、どうにかしておばちゃん達を止めないと、ホントにこのままだとどこかの家に嫁に行くか嫁(?)を貰うことが決まってしまいそうだと思っていると、
パン!!!
その大きな音にビクッとしたことでおばちゃん達の喋りが止まり、圧もなくなった。
そのことにホッとしつつも、誰がそんな音を出したのか気になっていると、
「はいはい。ちょっと通してな」
そんな言葉が聞こえてきたかと思えば、おばちゃん達の間からグラサンをかけて手にはハリセンを持った青年が出てきた。その後ろにはさらに20人程の青年達も続いて出てきた。
なるほど。さっきの大きな音はあのハリセンの音か。
納得していると、グラサン青年は僕を見て手を振ってきた。
「おっ!ホンマに姐さんやん!久しぶりやな~!」
『お久しぶりです!姐さん!』
僕のことを姐さんと呼ぶこのグラサン青年と青年達は、今は何をしているのか知らないけど、昔はここら辺では最強の不良と言われていた男の関西ジンとその時の仲間達のモブ達だ。
ちなみに、なぜ彼らが僕のことを姐さんと呼ぶのかというと、それは色々あったからで、それについてはいつか語る機会があると思うからその時に。
「姐さんと呼ぶのは止めてって言ってるでしょ」
色々あったとはいえ、4~6歳も年上の男達から姐さんと呼ばれるのはやっぱりむず痒いものがあるし、知らない人からはおかしな目で見られるからイヤなのだ。
「そうは言われても姐さんは姐さんやからな」
そう言ってジンは笑い、モブ達は頷いた。
「はぁ」
何度言っても聞いてくれなかったことなので、今回も聞いてくれないとは思っていた。
「ちょっとジン。なに横から入ってきてコウと楽しそうに話してるのよ」
今の会話をどういう風に聞けば楽しそうに聞こえるのかは謎だけど、横入りされたことを怒る肉(屋の)おばちゃん。
「俺も最初は横入りするつもりはなかったんやけどな。おばちゃん達みんな自分が自分がと喋り続けるだけでいつまで経っても誰もコウに質問する様子もなかったからな。このまま待ってても何も聞けないと思ったし、こりゃ埒が明かんわと思ったから申し訳ないけど横入りさせてもらったわ」
ジンの指摘にさっきまでの自分達の姿を思い出したのか、おばちゃん達は恥ずかしそうにし始めた。
思い返して恥ずかしくなるくらいなら初めから落ち着いて来てほしかったな。とは思わなくもないけど、それが出来ないのがおばちゃん達だから仕方ないか。
しかし、やっぱりジンは口がうまいからしっかりとおばちゃん達を言いくるめた上で落ち着かせてくれた。
「わかってくれたらよかったわ」
僕もジンが来てくれてよかったとホッとしていると、
「それじゃあコウの質問大会始めるで~!」
『おー!』
ジンの言葉に盛り上がるおばちゃん達。
はい?質問大会?なにそれ?じゃなくて!
「なんでやねん!」
僕はジンのお腹にツッコミを入れた。
「ちょっ!待っ!」
商店街で働くおばちゃん達をどうにかして止めようとするも、360度囲まれてしまったうえに、喋りだしたら止まらないおばちゃん達の圧に太刀打ち出来るはずもなく、おばちゃん達の勢いを止めることが出来ない。
「でもホントに久しぶりよね」「今日のおすすめの玉ねぎ貰っていってね」「きゃー」「うちはサワラ持っていってよ」「今日はいい牛バラ入ったからあげるわ」「きゃー」「揚げてコロッケ食べていきな」「うちの息子貰ってくれないかしら」「それならうちの娘が先でしょ」「きゃーきゃー」「私を貰ってくれてもいいのよ?」「うちの養子にこない?」
なんか話がおかしな方向に向かってるのだけど!さらに言えば、誰か「きゃー」しか言ってないんだけど!?
いや、それより本当にどうにかしておばちゃん達を止めないと!と思うのだけど、止める方法が思いつかない。
そもそも僕の考えでは、それぞれの店先で軽く話をして次の店へ、って感じで帰ってきた報告をすると思っていたので、ここまで一斉に押寄せられるのはホントに想定外なのだ。
そういう意味ではホントにチョウちゃんの言っていたことが正解だったのだろう。
そのチョウちゃんはまだ気絶から復活しておらず、見たがっていた大騒ぎする様子を見れていないわけだけど。
さらに言えば、そんなチョウちゃんを抱えているリンはしっかり逃げていて、おばちゃん達の輪の外から僕を見ていた。
そこら辺はちゃっかりしてるよね。
ってか、自分だけ逃げずに僕も助けるか一緒に逃げてくれればいいのに。
と、思いながらリンへ一瞬睨むように視線を向けたが、リンは気にした様子もなく楽しそうに僕達を見ていた。
そんなことをしても状況が良くなるわけじゃないとわかっているし、どうにかしておばちゃん達を止めないと、ホントにこのままだとどこかの家に嫁に行くか嫁(?)を貰うことが決まってしまいそうだと思っていると、
パン!!!
その大きな音にビクッとしたことでおばちゃん達の喋りが止まり、圧もなくなった。
そのことにホッとしつつも、誰がそんな音を出したのか気になっていると、
「はいはい。ちょっと通してな」
そんな言葉が聞こえてきたかと思えば、おばちゃん達の間からグラサンをかけて手にはハリセンを持った青年が出てきた。その後ろにはさらに20人程の青年達も続いて出てきた。
なるほど。さっきの大きな音はあのハリセンの音か。
納得していると、グラサン青年は僕を見て手を振ってきた。
「おっ!ホンマに姐さんやん!久しぶりやな~!」
『お久しぶりです!姐さん!』
僕のことを姐さんと呼ぶこのグラサン青年と青年達は、今は何をしているのか知らないけど、昔はここら辺では最強の不良と言われていた男の関西ジンとその時の仲間達のモブ達だ。
ちなみに、なぜ彼らが僕のことを姐さんと呼ぶのかというと、それは色々あったからで、それについてはいつか語る機会があると思うからその時に。
「姐さんと呼ぶのは止めてって言ってるでしょ」
色々あったとはいえ、4~6歳も年上の男達から姐さんと呼ばれるのはやっぱりむず痒いものがあるし、知らない人からはおかしな目で見られるからイヤなのだ。
「そうは言われても姐さんは姐さんやからな」
そう言ってジンは笑い、モブ達は頷いた。
「はぁ」
何度言っても聞いてくれなかったことなので、今回も聞いてくれないとは思っていた。
「ちょっとジン。なに横から入ってきてコウと楽しそうに話してるのよ」
今の会話をどういう風に聞けば楽しそうに聞こえるのかは謎だけど、横入りされたことを怒る肉(屋の)おばちゃん。
「俺も最初は横入りするつもりはなかったんやけどな。おばちゃん達みんな自分が自分がと喋り続けるだけでいつまで経っても誰もコウに質問する様子もなかったからな。このまま待ってても何も聞けないと思ったし、こりゃ埒が明かんわと思ったから申し訳ないけど横入りさせてもらったわ」
ジンの指摘にさっきまでの自分達の姿を思い出したのか、おばちゃん達は恥ずかしそうにし始めた。
思い返して恥ずかしくなるくらいなら初めから落ち着いて来てほしかったな。とは思わなくもないけど、それが出来ないのがおばちゃん達だから仕方ないか。
しかし、やっぱりジンは口がうまいからしっかりとおばちゃん達を言いくるめた上で落ち着かせてくれた。
「わかってくれたらよかったわ」
僕もジンが来てくれてよかったとホッとしていると、
「それじゃあコウの質問大会始めるで~!」
『おー!』
ジンの言葉に盛り上がるおばちゃん達。
はい?質問大会?なにそれ?じゃなくて!
「なんでやねん!」
僕はジンのお腹にツッコミを入れた。
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