5 / 85
5.目印もいらない
しおりを挟む
《プラカードを掲げた女性なんていないけど?》
チョウちゃんからの返事はすぐにきた。
《居ない~?そんな訳ないんだけどな~》
そんな訳あるからこうしてラァインをしているわけで、さらに言えばチョウちゃんが女性の特徴とか車の特徴とかナンバーを教えてくれればプラカードなんて目印もいらないのだ。
そうしないのは多分、チョウちゃんが僕達で遊んでいるから、だ。そこは確信を持って言える。チョウちゃんはそういう性格なのを、長い付き合いの中で知っているから。
さらにいえば、こういう時はヘタに反応するとチョウちゃんを喜ばすだけなので、ムダに怒ったりはせずに聞きたいことを素直に聞く。
《迎えに来てくれている女性の特徴教えて》
それに対してチョウちゃんから返ってきた返事は、
《もう~ヒサコったら~。ちゃんとプラカードを掲げないなんて~》
迎えに来てくれている女性の名前がヒサコさんだとわかったのだが、そのヒサコさんに責任転嫁していた。
《ちょっと待ってね。ヒサコにプラカード掲げるようにラァインするから》
チョウちゃんはまだヒサコさんにムリを押し通そうとしているので、僕のせいでこれ以上ヒサコさんに迷惑をかけることは出来ないし、チョウちゃんにこれ以上好き勝手されるのはめんどうなので、
《迎えに来てくれている女性、ヒサコさんの特徴を教えてくれる気がないなら小説町の最寄り駅まで電車で行くから、迎えに来てくれたヒサコさんには悪いけど、もう迎えは必要なくなったって連絡しといてね》
すると、すぐにチョウちゃんから電話がかかってきた。
なので、
「聞く耳もたん」
その1言で電話をぶっちしてやると、間髪入れずに再度電話がかかってきたので仕方なく電話に出る。
「申し訳ございませんでした!」
こちらが何か言うよりも先にきた大音量の謝罪にスマホから耳を離す。
なんとなくだけど、電話の向こうではチョウちゃんが土下座をしていそうな気がしていた。が、そう簡単に許すわけもないけど。
ってか、そこまでして電車で最寄り駅まで行くことを阻止しようとするなんて、一体なにを考えているのだか。
まぁ、それは直接会った時に聞けばいいし、今の最優先は迎えに来てくれているヒサコさんと合流することだ。
「謝るくらいなら最初から普通に迎えに来てほしんだけど」
どうせチョウちゃんには効かないだろうが、とりあえず文句を言っておく。
「でもさ、久々に帰ってくるコウくんを迎えるわけだし、少しはサプライズというか遊び心を交えた出迎えをしたくてね」
ほら、こっちの文句などおかまいなしだ。
確かにこっちに戻ってくるのは小学校に通っていた時以来3年ぶりに帰ってきたけど、そんな遊び心を交えた出迎えなんて1つも求めていない。
しかも、そういったサプライズは自分でやるから意味があることで、他人に押し付けてやってもらうサプライズなんてなのん意味もない。
それに、サプライズなら昨日の父さん達の海外転勤の話だけでお腹いっぱいになっているので、ちょっとやそっとのサプライズではもはや驚くことすらないだろう。
「だったら自分で迎えに来てすればいいことでしょ?他人を巻き込んで迷惑をかけるのは間違ってるとは思わないかな?」
今こうしてチョウちゃんを説教している間もヒサコさんは待ってくれているわけで、ホントに迷惑でしかない。
「おっしゃる通りです」
ようやくわかってくれたのか、チョウちゃんの声に反省がみてとれたので僕はため息を吐いてから話を進めた。
「それじゃあ迎えに来てくれているヒサコさんの特徴をラァインしてね。あと、ヒサコさんの方にも僕の特徴教えておいてよね」
「わかりました」
そこでふと思った。
中学3年間の間に僕は身長も20センチくらい伸びたし、髪型は昔からあまり変わってないけど顔つきも少し大人っぽくなった。そして、チョウちゃんともここ3年間は会っていないので、今の僕の姿を知らないはずだ。
じゃあなぜチョウちゃんはあっさり、わかりました、と頷いた?
これはしっかりと聞いておかないとね。
「ねぇチョウちゃん」
「なに?」
「チョウちゃんって今の僕の姿知ってるの?」
「それなら大丈夫!先輩から写真貰ったから!」
「母さん………」
チョウちゃんと母さんは幼馴染で、チョウちゃんの方が5歳年下なので、母さんのことを先輩と呼んでいる。
そして、今回の件は母さんもおおいに関係しているので、写真を送っていても不思議ではなかった。なかったのだけど、それを大丈夫と言っていいことなのかはまた別問題な気がしているが、やっぱり最優先はヒサコさんと合流することなので文句は後で言うことにしよう。
「じゃあ、ラァインしてきてね」
「了解しました」
電話が切れた直後、早速チョウちゃんからのラァインがきて、ヒサコさんの写真が貼られていた。しかも、なぜかメイド姿の写真。
「はぁ~」
チョウちゃんはどうせ面白がってこの写真を送ってきたのだろうけど、さっき、他人に迷惑をかけるな、と言った僕の言葉をこうもすぐに忘れて迷惑をかけるようなことをするところは、チョウちゃんの厄介さであり、困ったところだ。
しかし、こうなってくると母さんがチョウちゃんに送った写真がマトモである確率が0%に近くなったので、僕はため息を吐きながらヒサコさんを探し始めた。
チョウちゃんからの返事はすぐにきた。
《居ない~?そんな訳ないんだけどな~》
そんな訳あるからこうしてラァインをしているわけで、さらに言えばチョウちゃんが女性の特徴とか車の特徴とかナンバーを教えてくれればプラカードなんて目印もいらないのだ。
そうしないのは多分、チョウちゃんが僕達で遊んでいるから、だ。そこは確信を持って言える。チョウちゃんはそういう性格なのを、長い付き合いの中で知っているから。
さらにいえば、こういう時はヘタに反応するとチョウちゃんを喜ばすだけなので、ムダに怒ったりはせずに聞きたいことを素直に聞く。
《迎えに来てくれている女性の特徴教えて》
それに対してチョウちゃんから返ってきた返事は、
《もう~ヒサコったら~。ちゃんとプラカードを掲げないなんて~》
迎えに来てくれている女性の名前がヒサコさんだとわかったのだが、そのヒサコさんに責任転嫁していた。
《ちょっと待ってね。ヒサコにプラカード掲げるようにラァインするから》
チョウちゃんはまだヒサコさんにムリを押し通そうとしているので、僕のせいでこれ以上ヒサコさんに迷惑をかけることは出来ないし、チョウちゃんにこれ以上好き勝手されるのはめんどうなので、
《迎えに来てくれている女性、ヒサコさんの特徴を教えてくれる気がないなら小説町の最寄り駅まで電車で行くから、迎えに来てくれたヒサコさんには悪いけど、もう迎えは必要なくなったって連絡しといてね》
すると、すぐにチョウちゃんから電話がかかってきた。
なので、
「聞く耳もたん」
その1言で電話をぶっちしてやると、間髪入れずに再度電話がかかってきたので仕方なく電話に出る。
「申し訳ございませんでした!」
こちらが何か言うよりも先にきた大音量の謝罪にスマホから耳を離す。
なんとなくだけど、電話の向こうではチョウちゃんが土下座をしていそうな気がしていた。が、そう簡単に許すわけもないけど。
ってか、そこまでして電車で最寄り駅まで行くことを阻止しようとするなんて、一体なにを考えているのだか。
まぁ、それは直接会った時に聞けばいいし、今の最優先は迎えに来てくれているヒサコさんと合流することだ。
「謝るくらいなら最初から普通に迎えに来てほしんだけど」
どうせチョウちゃんには効かないだろうが、とりあえず文句を言っておく。
「でもさ、久々に帰ってくるコウくんを迎えるわけだし、少しはサプライズというか遊び心を交えた出迎えをしたくてね」
ほら、こっちの文句などおかまいなしだ。
確かにこっちに戻ってくるのは小学校に通っていた時以来3年ぶりに帰ってきたけど、そんな遊び心を交えた出迎えなんて1つも求めていない。
しかも、そういったサプライズは自分でやるから意味があることで、他人に押し付けてやってもらうサプライズなんてなのん意味もない。
それに、サプライズなら昨日の父さん達の海外転勤の話だけでお腹いっぱいになっているので、ちょっとやそっとのサプライズではもはや驚くことすらないだろう。
「だったら自分で迎えに来てすればいいことでしょ?他人を巻き込んで迷惑をかけるのは間違ってるとは思わないかな?」
今こうしてチョウちゃんを説教している間もヒサコさんは待ってくれているわけで、ホントに迷惑でしかない。
「おっしゃる通りです」
ようやくわかってくれたのか、チョウちゃんの声に反省がみてとれたので僕はため息を吐いてから話を進めた。
「それじゃあ迎えに来てくれているヒサコさんの特徴をラァインしてね。あと、ヒサコさんの方にも僕の特徴教えておいてよね」
「わかりました」
そこでふと思った。
中学3年間の間に僕は身長も20センチくらい伸びたし、髪型は昔からあまり変わってないけど顔つきも少し大人っぽくなった。そして、チョウちゃんともここ3年間は会っていないので、今の僕の姿を知らないはずだ。
じゃあなぜチョウちゃんはあっさり、わかりました、と頷いた?
これはしっかりと聞いておかないとね。
「ねぇチョウちゃん」
「なに?」
「チョウちゃんって今の僕の姿知ってるの?」
「それなら大丈夫!先輩から写真貰ったから!」
「母さん………」
チョウちゃんと母さんは幼馴染で、チョウちゃんの方が5歳年下なので、母さんのことを先輩と呼んでいる。
そして、今回の件は母さんもおおいに関係しているので、写真を送っていても不思議ではなかった。なかったのだけど、それを大丈夫と言っていいことなのかはまた別問題な気がしているが、やっぱり最優先はヒサコさんと合流することなので文句は後で言うことにしよう。
「じゃあ、ラァインしてきてね」
「了解しました」
電話が切れた直後、早速チョウちゃんからのラァインがきて、ヒサコさんの写真が貼られていた。しかも、なぜかメイド姿の写真。
「はぁ~」
チョウちゃんはどうせ面白がってこの写真を送ってきたのだろうけど、さっき、他人に迷惑をかけるな、と言った僕の言葉をこうもすぐに忘れて迷惑をかけるようなことをするところは、チョウちゃんの厄介さであり、困ったところだ。
しかし、こうなってくると母さんがチョウちゃんに送った写真がマトモである確率が0%に近くなったので、僕はため息を吐きながらヒサコさんを探し始めた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
今日の桃色女子高生図鑑
junhon
青春
「今日は何の日」というその日の記念日をテーマにした画像をAIで生成し、それに140文字の掌編小説をつけます。
ちょっぴりエッチな感じで。
X(Twitter)でも更新しています。
ハーレムに憧れてたけど僕が欲しいのはヤンデレハーレムじゃない!
いーじーしっくす
青春
赤坂拓真は漫画やアニメのハーレムという不健全なことに憧れる健全な普通の男子高校生。
しかし、ある日突然目の前に現れたクラスメイトから相談を受けた瞬間から、拓真の学園生活は予想もできない騒動に巻き込まれることになる。
その相談の理由は、【彼氏を女帝にNTRされたからその復讐を手伝って欲しい】とのこと。断ろうとしても断りきれない拓真は渋々手伝うことになったが、実はその女帝〘渡瀬彩音〙は拓真の想い人であった。そして拓真は「そんな訳が無い!」と手伝うふりをしながら彩音の潔白を証明しようとするが……。
証明しようとすればするほど増えていくNTR被害者の女の子達。
そしてなぜかその子達に付きまとわれる拓真の学園生活。
深まる彼女達の共通の【彼氏】の謎。
拓真の想いは届くのか? それとも……。
「ねぇ、拓真。好きって言って?」
「嫌だよ」
「お墓っていくらかしら?」
「なんで!?」
純粋で不純なほっこりラブコメ! ここに開幕!
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる