戦国ニート~さくは弥三郎の天下一統の志を信じるか~

軽部雄二

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第59章

終章・受け継がれる志

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 これでさくがどうしようもない弥三郎こと長曽我部元親を独り立ちさせる話は終わりである。最後に2人がどうなったかを記す。さく・はる・左月は四国を出て、堺へ向かった。そこでさくは元親の子を産む。男の子であったので、その男児を宮脇の家へ送った。それを聞きつけた元親は、男児を引き取り、正室との間の子とした。後の信親である。元親は信親と共に四国を制し、織田信長・豊臣秀吉などと対峙。天下の覇権を争う事になる。
 さくははる達を引き連れ、明に渡り、そこで舞踊に魅せられた。舞踊を習い、大陸の芸能を学び、日の本へ戻る。諸国で舞踊を教え、残りの生涯を芸事に費やしたという。乱世が平定されれば、皆が舞踊を楽しめる世になると信じていたそうだ。さくは生涯独身だったが、宮脇の家の血筋は今の世にも残っている。著者に貴重な資料を提供してくれた末裔のUさんによると、さくの末裔が、韓国アイドルグループ・ルセラフィムに所属する日本人メンバー・宮脇咲良だと云う事である。Uさんは今もなお、さくの形見の脇差てつはうを保管しているそうだ。
 戦国乱世は豊臣秀吉が収め、次いで徳川家康の治世に寄り、太平の世が訪れた。明治維新、太平洋戦争を経て、現代の平和な日本がある。人は死ぬ。が、志は受け継がれる。太平の世を目指した、さくと元親の志は、現代の社会の中に於いても脈々と受け継がれているのである。
                                   (完)
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