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第46章
修羅の降臨
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その時である。脳裏に弥三郎がさくを呼ぶ声が聞こえた。弥三郎はさく亡き後、自立して立派にやっていけるであろうか。また引き籠りに戻ったりしないであろうか。脳裏に走馬灯のように、弥三郎との思い出が蘇ってくる。思えば最初の出会いは水浴みを覗かれた事であった。それから用便を足す所を覗かれたり、春画を処分しようとしたら卒倒したり、性処理を手伝わされたり、考え起こせばろくでもない男であった。しかし一方で、戦略に優れ、知識が豊富。心優しい男でもある。今後、誰か弥三郎の良い所を評価してくれる者が現れるであろうか・・・・・・。脳裏には弥三郎のさくを呼ぶ声が木霊した・・・・・・。ん。さくは走馬灯から現実に引き戻された。さくの火処にゆっくりと大刀を入れようとしていた男も動きを止める。
「さく~~。さく~~。どこだ~~。」
幻聴ではない。弥三郎の声であった。それと同時にさくを取り囲む一角が潮を引くように道を開けた。
「弥三郎様・・・・。」
「弥三郎・・・・・貴様。」
さくも男も絶句した。そこには槍を持ち、全身血塗れの弥三郎の姿。脇には左月。背後には敗走した味方の兵士たちを糾合したらしく、かなりの兵士たちが控えている。何という事だ。どうやらさくを助けるために弥三郎は兵を率いてノコノコと敵陣深くまでやってきてしまったらしい。
「左月。何をしておる。今すぐに弥三郎様を連れて退くのです。」
さくは左月を叱り飛ばした。
「皆、そいつは若殿の弥三郎じゃ。首を獲れば大手柄じゃぞ。」
間髪入れず矛無し男が叫んだ。皆が恩賞目当てに弥三郎に襲い掛かる。
「弥三郎様、逃げて~~。」
さくは絶叫した。・・・・のだが、
「えっ!」
「な、何!」
弥三郎は襲い掛かって来た男達を、巧みな槍捌きで瞬く間に突き伏せたのだ。さくも矛無しも想定外の出来事に呆然とする。
「何をしている、行け。首を獲れ。」
矛無しの号令でさくを押さえ付けていた男達も刀を取り、弥三郎に向かっていくが、瞬時に槍の餌食となった。その神速の槍捌きを見た敵勢は腰砕けとなり、及び腰となった。誰も弥三郎に掛かっていく者がいない。矛なしを無視して、さくの元へ悠然と歩み寄る弥三郎は神々しい御仏の降臨のように見えた。
「弥三郎様。」
「さく、火処は無事か?」
さくは呆れた。危険を顧みずに助けに来てくれた事、そして覚醒した様に血飛沫を恐れず槍を振るう姿にときめいたのも束の間、第一声が「火処は無事か。」である。百年の恋も醒めるというか何というか。弥三郎らしいと云えばそれまでだが。
「・・・・・・・まあ、無事と言えば無事でしょうね。」
さくは起き上がりながら、裸体に脱がされた小袖を纏う。そこへ矛無しがさくに襲い掛かった。
「きゃっ!」
「さく!」
男はさくの首に左腕を巻き付け、右手の太刀を首に突き付けた。
「動くな、弥三郎。動いたらこの女を殺すぞ。」
「・・・・・・・。何者だ。お前は?」
「何。貴様、儂を憶えておらぬのか。」
「貴様の様な小物の事などいちいち記憶しておらぬ。」
「小物だと!貴様。」
「さくを放して何処へなりとも落ち延びるが良い。さすれば命までは取らぬ。」
「はざくな、引き籠りが。この女を殺して、貴様の首を獲らねば儂の気が収まらぬのだ。」
「戦場でおなごを手に掛ける等、恥ずべき行為だと思わぬのか。一体、何の恨みがあるというのだ。」
「・・・・・・この女に矛を切られた。」
それを聞いた弥三郎はこの男が誰だか理解した。
「お主はあの時の男か!」
「思い出したか。この女のお陰で儂は一生、女を抱けぬ。この怨みを晴らさせて貰う。」
男はそう言うと、さくの首を締めあげた。
「お主にさくは殺せん。悪い事は言わん。早う逃げるがよい。貴様には同情はするが、自業自得ではないか。おなごを集団で辱め、殺害までしていたのであろう。だからさくに報復されたのだ。そんな事を言うなら殺されたおなご達の恨みはどうなるのだ。」
「・・・・・・・。」
男は弥三郎に反論できない。その隙を逃さず、さくは頭を振って後頭部を男の顔面に打ち付けた。
「ぐあっ!」
賺さず男の腕を取ると、宮脇流武術の技で男を背負い、ぶん投げた。刀を取られ、尻もちを着いた男の顔面を弥三郎の槍が襲う。
「言った通りであろう。そなたは弥三郎様に殺されると。」
さくは男を見下ろしながら、冷徹に言い放ったが、絶命した男には既に聞こえていなかった。この状況を見ていた敵の兵士たちは弥三郎に臆し、呆然と立ち尽くすだけである。この機を逃してはならぬ。
「皆、何をしている。弥三郎様、直々のご出馬ぞ。一気に切り崩すのです!」
さくは味方に号令を掛けた。無理だと思われたさくの救出を成功させた弥三郎の武勇を目の当たりにした味方は勇気付けられ、一気に本山の兵士に突撃する。形勢はこちらに有利に傾きつつあった。
「さく、無事か?」
弥三郎がいくさの帰趨を見守りながら、さくの様子を気に掛ける。
「弥三郎様。」
さくは生まれ変わった頼りがいのある若殿に抱き付いた。
「何故、助けに来られたのです。危うく首を獲られたかもしれませぬのに。」
「本山方に儂の首を獲れる輩など一人もおらぬわ。」
なんとも頼りがいのある言葉に、さくは目を見張った。あれ程人を殺す・殺されるを怖がっていた人とは思われぬ変わりように驚くばかりだ。
「もう、怖くは無いのですか?」
さくは全身血塗れの弥三郎の姿を上から下まで眺めまわした。
「左月に言われた。本当に怖いのは殺す・殺される事では無く、何も成せずに死ぬことだと。」
さくは左月を見た。良い事を言った筈の左月は、何故かバツの悪い顔をしてさくの様子を窺っている。
「さくを見殺しにしてのうのう生きながらえる人生などまっぴら御免だ。のう、左月。」
「は、はあ。」
左月は生返事を返す。
「弥三郎様。それ程、さくの事を?」
「勿論だ。初めての火処はさくのものと決めておる。」
結局その事に行き付くのか。さくは苦笑いした。ともあれ処女を何とか守り通して良かった。さくも初めては弥三郎が良かった。さくが敵兵に潮を吹かされて失禁し、堕ちてしまった事を弥三郎は知らない。何としても知られたくはない。弥三郎に知られず、宮脇の娘としての尊厳を守る為にはどうしたら良いか。頭の中には酷く単純な答えが導き出された。根切りだ。卑怯にも集団でさくを抑え込み、囲んでみていた者ども皆殺しにすれば良いのだ。戦は形勢が変わりこちらが攻勢を掛けている。この機に乗じ、口封じする以外に無い。
「さく。何をやっているのだ。」
剥ぎ取られた鎧を拾って装着するさくに弥三郎は声を掛けた。
「知れた事。本山勢を掃討するのは今です。逃してはなりません。」
さくの並々ならぬ闘争意欲に弥三郎も左月もびっくりした。
「姫様。それは無茶です。右腕の傷も手当しませぬと。」
「心配ありません。ほんのかすり傷です。」
「さく、先程まで捕えられておったのだぞ。後の事は私に任せて、退がっておるのだ。」
弥三郎はさくの事を案じて退がらせようとするが、さくは頑として聞かない。
「いいえ。弥三郎様が前線まで出ております時に、おめおめと退く等、考えられません。宮脇の娘として先程、捕らわれた恥辱を晴らす為には、彼奴等を皆殺しにする以外、ありません。」
さくはきっぱりと言った。彼奴等を生かしておいては、先程の醜態を言いふらされる。そうなればもう生きてはいれない。何としても口を封じようと、闘志が漲っていた。
「いやいや。待て待て。」
「姫様。お考え直しを。」
「離しなさい、左月。皆殺しにせねば、気がすま・・・・・・・。」
その時、さくはその驚異的な動体視力で、かなた前方から、矢が弥三郎目掛けて飛来してくるのを察知した。
「危ない!」
さくは咄嗟に弥三郎の前に体を入れる。
「ぐっ!」
矢じりは弥三郎を庇った、さくの左の肩口に突き刺さった。
「さく~~。さく~~。どこだ~~。」
幻聴ではない。弥三郎の声であった。それと同時にさくを取り囲む一角が潮を引くように道を開けた。
「弥三郎様・・・・。」
「弥三郎・・・・・貴様。」
さくも男も絶句した。そこには槍を持ち、全身血塗れの弥三郎の姿。脇には左月。背後には敗走した味方の兵士たちを糾合したらしく、かなりの兵士たちが控えている。何という事だ。どうやらさくを助けるために弥三郎は兵を率いてノコノコと敵陣深くまでやってきてしまったらしい。
「左月。何をしておる。今すぐに弥三郎様を連れて退くのです。」
さくは左月を叱り飛ばした。
「皆、そいつは若殿の弥三郎じゃ。首を獲れば大手柄じゃぞ。」
間髪入れず矛無し男が叫んだ。皆が恩賞目当てに弥三郎に襲い掛かる。
「弥三郎様、逃げて~~。」
さくは絶叫した。・・・・のだが、
「えっ!」
「な、何!」
弥三郎は襲い掛かって来た男達を、巧みな槍捌きで瞬く間に突き伏せたのだ。さくも矛無しも想定外の出来事に呆然とする。
「何をしている、行け。首を獲れ。」
矛無しの号令でさくを押さえ付けていた男達も刀を取り、弥三郎に向かっていくが、瞬時に槍の餌食となった。その神速の槍捌きを見た敵勢は腰砕けとなり、及び腰となった。誰も弥三郎に掛かっていく者がいない。矛なしを無視して、さくの元へ悠然と歩み寄る弥三郎は神々しい御仏の降臨のように見えた。
「弥三郎様。」
「さく、火処は無事か?」
さくは呆れた。危険を顧みずに助けに来てくれた事、そして覚醒した様に血飛沫を恐れず槍を振るう姿にときめいたのも束の間、第一声が「火処は無事か。」である。百年の恋も醒めるというか何というか。弥三郎らしいと云えばそれまでだが。
「・・・・・・・まあ、無事と言えば無事でしょうね。」
さくは起き上がりながら、裸体に脱がされた小袖を纏う。そこへ矛無しがさくに襲い掛かった。
「きゃっ!」
「さく!」
男はさくの首に左腕を巻き付け、右手の太刀を首に突き付けた。
「動くな、弥三郎。動いたらこの女を殺すぞ。」
「・・・・・・・。何者だ。お前は?」
「何。貴様、儂を憶えておらぬのか。」
「貴様の様な小物の事などいちいち記憶しておらぬ。」
「小物だと!貴様。」
「さくを放して何処へなりとも落ち延びるが良い。さすれば命までは取らぬ。」
「はざくな、引き籠りが。この女を殺して、貴様の首を獲らねば儂の気が収まらぬのだ。」
「戦場でおなごを手に掛ける等、恥ずべき行為だと思わぬのか。一体、何の恨みがあるというのだ。」
「・・・・・・この女に矛を切られた。」
それを聞いた弥三郎はこの男が誰だか理解した。
「お主はあの時の男か!」
「思い出したか。この女のお陰で儂は一生、女を抱けぬ。この怨みを晴らさせて貰う。」
男はそう言うと、さくの首を締めあげた。
「お主にさくは殺せん。悪い事は言わん。早う逃げるがよい。貴様には同情はするが、自業自得ではないか。おなごを集団で辱め、殺害までしていたのであろう。だからさくに報復されたのだ。そんな事を言うなら殺されたおなご達の恨みはどうなるのだ。」
「・・・・・・・。」
男は弥三郎に反論できない。その隙を逃さず、さくは頭を振って後頭部を男の顔面に打ち付けた。
「ぐあっ!」
賺さず男の腕を取ると、宮脇流武術の技で男を背負い、ぶん投げた。刀を取られ、尻もちを着いた男の顔面を弥三郎の槍が襲う。
「言った通りであろう。そなたは弥三郎様に殺されると。」
さくは男を見下ろしながら、冷徹に言い放ったが、絶命した男には既に聞こえていなかった。この状況を見ていた敵の兵士たちは弥三郎に臆し、呆然と立ち尽くすだけである。この機を逃してはならぬ。
「皆、何をしている。弥三郎様、直々のご出馬ぞ。一気に切り崩すのです!」
さくは味方に号令を掛けた。無理だと思われたさくの救出を成功させた弥三郎の武勇を目の当たりにした味方は勇気付けられ、一気に本山の兵士に突撃する。形勢はこちらに有利に傾きつつあった。
「さく、無事か?」
弥三郎がいくさの帰趨を見守りながら、さくの様子を気に掛ける。
「弥三郎様。」
さくは生まれ変わった頼りがいのある若殿に抱き付いた。
「何故、助けに来られたのです。危うく首を獲られたかもしれませぬのに。」
「本山方に儂の首を獲れる輩など一人もおらぬわ。」
なんとも頼りがいのある言葉に、さくは目を見張った。あれ程人を殺す・殺されるを怖がっていた人とは思われぬ変わりように驚くばかりだ。
「もう、怖くは無いのですか?」
さくは全身血塗れの弥三郎の姿を上から下まで眺めまわした。
「左月に言われた。本当に怖いのは殺す・殺される事では無く、何も成せずに死ぬことだと。」
さくは左月を見た。良い事を言った筈の左月は、何故かバツの悪い顔をしてさくの様子を窺っている。
「さくを見殺しにしてのうのう生きながらえる人生などまっぴら御免だ。のう、左月。」
「は、はあ。」
左月は生返事を返す。
「弥三郎様。それ程、さくの事を?」
「勿論だ。初めての火処はさくのものと決めておる。」
結局その事に行き付くのか。さくは苦笑いした。ともあれ処女を何とか守り通して良かった。さくも初めては弥三郎が良かった。さくが敵兵に潮を吹かされて失禁し、堕ちてしまった事を弥三郎は知らない。何としても知られたくはない。弥三郎に知られず、宮脇の娘としての尊厳を守る為にはどうしたら良いか。頭の中には酷く単純な答えが導き出された。根切りだ。卑怯にも集団でさくを抑え込み、囲んでみていた者ども皆殺しにすれば良いのだ。戦は形勢が変わりこちらが攻勢を掛けている。この機に乗じ、口封じする以外に無い。
「さく。何をやっているのだ。」
剥ぎ取られた鎧を拾って装着するさくに弥三郎は声を掛けた。
「知れた事。本山勢を掃討するのは今です。逃してはなりません。」
さくの並々ならぬ闘争意欲に弥三郎も左月もびっくりした。
「姫様。それは無茶です。右腕の傷も手当しませぬと。」
「心配ありません。ほんのかすり傷です。」
「さく、先程まで捕えられておったのだぞ。後の事は私に任せて、退がっておるのだ。」
弥三郎はさくの事を案じて退がらせようとするが、さくは頑として聞かない。
「いいえ。弥三郎様が前線まで出ております時に、おめおめと退く等、考えられません。宮脇の娘として先程、捕らわれた恥辱を晴らす為には、彼奴等を皆殺しにする以外、ありません。」
さくはきっぱりと言った。彼奴等を生かしておいては、先程の醜態を言いふらされる。そうなればもう生きてはいれない。何としても口を封じようと、闘志が漲っていた。
「いやいや。待て待て。」
「姫様。お考え直しを。」
「離しなさい、左月。皆殺しにせねば、気がすま・・・・・・・。」
その時、さくはその驚異的な動体視力で、かなた前方から、矢が弥三郎目掛けて飛来してくるのを察知した。
「危ない!」
さくは咄嗟に弥三郎の前に体を入れる。
「ぐっ!」
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