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第40章
一斉掃射
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敵勢はバラバラと陣を出て、こちらに向かって突進してくる。
「構え!良く狙え。」
さくの号令に従って、おなご達はてつはうを構え、狙いを付けた。敵勢は騎馬武者を中心にして向かってくる。
「まだまだ。まだ撃ってはなりませんよ。出来る限り引き付けるのです。」
さくは平静さを装ってはいたが、不安だった。弥三郎の戦略ではてつはうで防波堤を作り、敵兵を削る。敵勢は2倍。弥三郎の陣の前には重点的に兵を配置している訳なので、こちらの兵数の3倍、それ以上いるかもしれない。出来る限り銃撃で敵勢を蹴散らす。それがこの戦の勝敗の鍵を握ると言って良いだろう。果たして弥三郎の計算通りに行くだろうか・・・・・。敵勢は怒りに任せ、怒涛の勢いで進んで来る。
「まだですよ。堪えるのです。」
敵が接近するにつれ、女たちは銃を構えながら悲鳴を上げた。当然である。捕まったら手籠めにされ、殺されるか売られるかであるのだから。敵が接近してくるのが怖いのだ。だが、さくは未だ、発砲を許さない。
「まだ、撃たないのですか。」
「突っ込んで来るわ。」
女たちは口々に不安を口にした。さくは敵勢を睨み付けながら距離を測る。その額には汗が滲んだ。その時である。敵勢がてつはうで致命傷を与えられる必殺の距離に侵入したのは。その時を待っていた。さくは叫んだ。
「撃て!」
てつはう隊の銃が一斉に火を吹いた。敵勢がバタバタと地に倒れる。一斉にてつはうを撃った事による轟音で、敵の騎馬は後ろ足で立ち上がり、主人を振り落とす。
「第2陣、撃て!」
そこへ再度の掃射であるから堪らない。怒りに逸った敵の先陣部隊は塵尻に壊滅状態に陥った。だが、敵はそれ位では怯まない。死体を踏みつけながら、尚も騎馬を駆って突進してくる。濛々と硝煙が立ち上がる中、さくは目を凝らして敵がてつはうの射程範囲に入るのを待って号令する。
「撃て!」
敵は弾幕が張られた防衛線を突破出来ない。音に委縮した騎馬が前に進まず、そこへ鍛え上げられた狙撃部隊が標的の腹部を正確に狙い打ったからだ。バタバタ倒れる敵兵。襲い掛かる敵と刃を交える事無く、遠距離から倒す。こんな戦があるのか。味方に損害を出す事無く、戦に勝つ。これこそが弥三郎が思い描いた新時代の戦なのだろうか。さくは笑みを噛み殺しながら号令を掛けた。
「撃て!」
「構え!良く狙え。」
さくの号令に従って、おなご達はてつはうを構え、狙いを付けた。敵勢は騎馬武者を中心にして向かってくる。
「まだまだ。まだ撃ってはなりませんよ。出来る限り引き付けるのです。」
さくは平静さを装ってはいたが、不安だった。弥三郎の戦略ではてつはうで防波堤を作り、敵兵を削る。敵勢は2倍。弥三郎の陣の前には重点的に兵を配置している訳なので、こちらの兵数の3倍、それ以上いるかもしれない。出来る限り銃撃で敵勢を蹴散らす。それがこの戦の勝敗の鍵を握ると言って良いだろう。果たして弥三郎の計算通りに行くだろうか・・・・・。敵勢は怒りに任せ、怒涛の勢いで進んで来る。
「まだですよ。堪えるのです。」
敵が接近するにつれ、女たちは銃を構えながら悲鳴を上げた。当然である。捕まったら手籠めにされ、殺されるか売られるかであるのだから。敵が接近してくるのが怖いのだ。だが、さくは未だ、発砲を許さない。
「まだ、撃たないのですか。」
「突っ込んで来るわ。」
女たちは口々に不安を口にした。さくは敵勢を睨み付けながら距離を測る。その額には汗が滲んだ。その時である。敵勢がてつはうで致命傷を与えられる必殺の距離に侵入したのは。その時を待っていた。さくは叫んだ。
「撃て!」
てつはう隊の銃が一斉に火を吹いた。敵勢がバタバタと地に倒れる。一斉にてつはうを撃った事による轟音で、敵の騎馬は後ろ足で立ち上がり、主人を振り落とす。
「第2陣、撃て!」
そこへ再度の掃射であるから堪らない。怒りに逸った敵の先陣部隊は塵尻に壊滅状態に陥った。だが、敵はそれ位では怯まない。死体を踏みつけながら、尚も騎馬を駆って突進してくる。濛々と硝煙が立ち上がる中、さくは目を凝らして敵がてつはうの射程範囲に入るのを待って号令する。
「撃て!」
敵は弾幕が張られた防衛線を突破出来ない。音に委縮した騎馬が前に進まず、そこへ鍛え上げられた狙撃部隊が標的の腹部を正確に狙い打ったからだ。バタバタ倒れる敵兵。襲い掛かる敵と刃を交える事無く、遠距離から倒す。こんな戦があるのか。味方に損害を出す事無く、戦に勝つ。これこそが弥三郎が思い描いた新時代の戦なのだろうか。さくは笑みを噛み殺しながら号令を掛けた。
「撃て!」
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